早稲田の今日の授業は「1923年以後の日本の大衆小説」。先週の補足としてエドガー・アラン・ポー(1809〜49年)の紹介から。1841年、天保の改革の年に、アメリカでは新聞・雑誌など大衆のためのジャーナリズムが既に活況を呈していて『モルグ街の殺人』という史上初の推理小説が誕生。
2014-04-12 23:20:56つづいて、恒例のテレビチャンピオン2激辛通選手権のときの自己紹介映像をはさんで、江戸川乱歩(1894〜1965年)の紹介。そして、そのブレーンとしての小坂井不木(1890〜1929年)をクローズアップ。
2014-04-12 23:23:07日本の雑誌で西洋の翻訳小説を掲げたのは成島柳北の『花月新誌』で、そこに掲載された作品はミステリー小説(オランダのJ・B・クリストマイエル著・神田孝平訳の「楊牙児(ヨンゲル)ノ奇獄」)だったという事実。森鴎外も、西洋小説の初体験として語っている。
2014-04-12 23:25:08エドガー・アラン・ポーの翻訳は、饗庭篁村訳による「西洋怪談・黒猫」と「ルーモルグの人殺し」が『読売新聞』で1887年に本邦初出。
2014-04-12 23:26:07黒岩涙香の翻案小説を読んでいた乱歩。探偵小説に刺激を受けた芥川龍之介の「開化の殺人」(1918)、佐藤春夫「指紋」(1918)、谷崎潤一郎「途上」(1920)などなど。
2014-04-12 23:27:19『新青年』の森下雨村、横溝正史、夢野久作、久生十蘭、甲賀三郎、大下宇陀児、稲垣足穂、海野十三、小栗虫太郎、木々高太郎などなどについても。
2014-04-12 23:30:02アラン・パーソンズ・プロジェクトの『怪奇と幻想の物語——エドガー・アラン・ポーの世界』の音楽を紹介しそびれたのがくやまれるところ。
2014-04-12 23:38:27江戸川乱歩のデビューは1923年、大正大震災の年。「二銭銅貨」「一枚の切符」「恐ろしき錯誤」 。名探偵明智小五郎が登場するのは「D坂の殺人事件」(1925年)。D坂=団子坂。
2014-04-12 23:43:50岸田國士も1923年に処女戯曲『古い玩具』を執筆。授業の最後に『パン屋文六の思案』を紹介したところ、ナイロン100℃は本多劇場で見たことがありますと報告してきてくれた女子学生もいたし、出席カードに来週見に行きますと書いてくれる学生もいて、早稲田の学生すばらしいです。
2014-04-12 23:51:37授業の最後には、飴屋法水さんの『ブルーシート』も「以後」の作品として紹介。4月14日(月)が第58回岸田國士戯曲賞の授賞式で、18時からUstream生中継されるということも。
2014-04-13 00:12:32スティーヴン・キングの件、授業で確認したところ、出席カード提出者262人のうち、「知りません」という人は7人。ひと安心。中学生のときから愛読しているという学生や、初めて読んだ洋書ですという人もいて。保健の教科書に『スタンド・バイ・ミー』がのってるというのは事実?
2014-04-13 01:10:24POPの訳語について、授業の最後にアンケートをとってみたところ——「大衆的」「通俗的」「わかりやすい」「親しみやすい」「キャッチーな」「ウケる」「楽しくなれる」「受容された」「明快な」「軽い」「流行の」「概念主義」「嗜好」「万人向け」「みんなの」などなど。
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