筍提督と僻地の泊地 (3) 2014春

艦雄となった副業提督・筍の、新作戦(という体の春イベント)に振り回される日々を綴る日記。 ※こちらは「筍提督と僻地の泊地」の(1)や(2)の続編です。そちらを先に読むことをオススメします。
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筍提督と僻地の泊地@新時代鎮守府 @storyoflingga

聞けば、私は酒を飲まされた後にデザートはなんとか食べたらしいですが、その後、ステージの席で真っ白に燃え尽きたので、大和に頼んでここまで連れてきてもらったようです。鳳翔さんは書類を抱えていたので、手間を省くために同じ蒲団に……。 それも大和に頼めばよかったのに。 #僻地の泊地日記

2014-05-06 23:51:09
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「そのようなことはともかく、まだ挨拶を返していただいてません」 『あ、そっか』 挨拶の徹底は私が始めたことです。ちゃんとやります。 『おはよう…ございます』 ちゃんと言ったのが逆に可笑しくて、二人で笑ってしまいました。 #僻地の泊地日記

2014-05-06 23:53:23
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その時です。窓の外から黄色い声が聞こえました。 「ぴゃああぁぁぁ、いい雰囲気! 秘書なのかな?」 『ちょっと待て誰お前』 「ぴゅ?」 『お前だよ!!』 #僻地の泊地日記

2014-05-07 00:07:28
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「ここ開けてくれる?」 『そっから入るの?……まぁいいけど』 私が開けた窓の縁を長い脚で跨ぎ、そういえば何処かで見たような服に身を包んだ彼女は、私たちの目の前でゆる~い敬礼をします。 「阿賀野型軽巡4番艦、酒匂です!」 『ああ、思い出した、阿賀野型の服だ!』 #僻地の泊地日記

2014-05-07 00:17:30
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阿賀野型の末っ子の突然の登場にびっくりしました。しかし……。 『何でこんな僻地にいる? 迷子にでもなったか?』 「わぁ、ひっどーい! 迷子じゃないよ、今日からここに配属!」 『配属 #とは』 「本土から派遣されたんだよぉ!」 『えっ』 #僻地の泊地日記

2014-05-07 20:42:18
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「何も聞いてないの? ピーコック島攻略のプレゼントに、私、最新鋭軽巡の酒匂が運用できるようになるんだよ!」 自分で最新鋭と言うか…って、あれ? 今、彼女は何と言いました? ピーコック島がどうのこうのと……。 刹那、秘書艦室と執務室を繋ぐ扉が弾け飛びました。 #僻地の泊地日記

2014-05-07 20:59:18
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屋内の扉を主砲で吹き飛ばす艦娘などアイツしかいません。『金剛!』 「Wow! 撃つだけで私だと分かってくれるとは光栄ネー!」 『建物の中で撃つなっつーの!』 馬耳東風といった感じで胸を張る金剛の後ろから榛名が出てきます。 「提督、今日ばかりはお許しください!」 #僻地の泊地日記

2014-05-07 21:06:04
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今日ばかりは、とはどういう意味でしょう。扉はいつものように粉々ですけど。 「それは陸奥から報告させます」 すると、今度は廊下側の扉からノックの音が転がり、ビックセブンの片割れが入って来ました。 「帰投したわよ」 『お、おう』 #僻地の泊地日記

2014-05-07 21:11:31
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陸奥が私の前で仁王立ちをすると、開いた二つの扉から鶴姉妹と飛龍が顔を出しました。なんだなんだ。 「私たち第1艦隊は、ピーコック島の離島棲鬼を破壊、同島の制圧並びに攻略に成功したわ」 #僻地の泊地日記

2014-05-07 21:17:29
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突然のニュースに対する驚きと、後から沸々と押し寄せる喜びに、すぐには声が出ませんでした。そんな私を叩き起こすように瑞鶴が「提督さん!」と一言。 「一日遅れの誕生日プレゼントよ!」 「Oh, no! それはワタシが言いたかったのに!」 どうやら嘘ではないようです。 #僻地の泊地日記

2014-05-07 21:24:42
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私が「みんな……」と言いかけると、鳳翔さんが蒲団から抜け出し、「総員、注目!」と号令をかけます。第1艦隊の面々が気をつけの姿勢で私に向きました。 私も背筋を伸ばし、一つ息を吸います。 『貴艦らの働きを誇りに思う。御苦労であった』 第1艦隊の敬礼が返ってきました。 #僻地の泊地日記

2014-05-07 21:34:09
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「提督」鳳翔さんが近付きます。「どうでしょう、本作戦に従事した子たち全員を集めて慰労会をするのは」 『沙号作戦の後と同じようにな。是非やろうじゃないか』 「えっ、本当ですか!?」 飛龍と翔鶴が同時に叫びました。損傷回数が多かった二人は、特に疲れているでしょう。 #僻地の泊地日記

2014-05-07 21:48:23
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『ただ、いつになるかは分からん。今月中にはやりたいと思うが、最近忙しいんだ』 「構いませんよ。そういう会を開いていただけるだけで、努力した甲斐があるというものです!」 詰め寄る翔鶴の目は充血していました。縁の下の力持ちという意味では一番の功労艦かもしれません。 #僻地の泊地日記

2014-05-07 21:51:17
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「司令!」不意に背後から酒匂の声。「そろそろ会いたい人がいるんだけど」 『ああ、分かってる。これから行こうか』 私は蒲団の片付けを手伝うと、第1艦隊のささやかな凱旋パレードのついでに酒匂を軽巡寮まで案内しました。酒匂が会いたい人なんて決まってますから。 #僻地の泊地日記

2014-05-07 22:07:54
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寮の入口を抜け、とある部屋の扉の前に立ちます。そうです、阿賀野型の部屋です。私がノックをする前に、酒匂が「矢矧ちゃん!」と声を上げました。ほとんど間を置かずして扉が開かれ、矢矧が飛び出してきました。 「酒匂!?」 「わあ、凛々しい矢矧ちゃん。70年前と一緒!」 #僻地の泊地日記

2014-05-07 22:17:38
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「提督! この子、酒匂よね!?」 『間違いない。さっき本土から来たんだ』 「間違いないよ! さっき本土から来たよぉ!」 突然、矢矧が酒匂に抱きつきます。酒匂は矢矧の腕の中です。 #僻地の泊地日記

2014-05-07 22:52:36
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「酒匂、ごめんね、一人ぼっちなんかにして」 「え……」 「一緒に行くって聞かないあなたを呉に置き去りにしたじゃない。…でも、仕方なかったの。上の命令でね、連れて行けなかった。そのせいで寂しい思いをさせたこと、申し訳ない」 #僻地の泊地日記

2014-05-07 23:11:21
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今にも涙を零しそうな矢矧の頬を、酒匂は優しく撫でました。 「そういえば、酒匂、呉でも舞鶴でもずっと泣いてた。みんなに置いてかれちゃうし、自分じゃ何もできなかったし……でもね、今は寂しくないよ。矢矧ちゃんがいるもん」 「酒匂……」 「やっと会えたんだよ、笑ってよ」 #僻地の泊地日記

2014-05-07 23:16:20
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矢矧は涙目のまま笑って言いました。 「もうすぐ姉さんたちが戻るわ。部屋で待たない?」 「ぴゅー、そうする!」 酒匂は軽い足取りで部屋の奥に消えました。 「提督、ありがとね」 『陸奥に言え』 #僻地の泊地日記

2014-05-07 23:46:04
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レズカップルが増えたおかげで忘れていましたが、この鎮守府にも姉妹愛があって安心しました。就役した時には既に旅立っていた阿賀野や能代に会えば、最初は戸惑うでしょうが、すぐに打ち解けるはずです。だって姉妹ですから。 さて、私は慰労会の準備をしなければ。 #僻地の泊地日記

2014-05-07 23:50:56

筍提督と僻地の泊地 (3)/完

まとめ リンガ燃ゆ 春の大海戦が終わる日、ちょっとした行き違いで起きた、鎮守府焦土化も辞さない実戦演習……のはずだった 4553 pv 3

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