- kuroko_1011
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まず第一に『光と風と夢』です。中島敦の小説作品の最高傑作と言われているほどです。内容はロバート・ルイス・スティヴンソンの人物伝のようなものです。スティヴンソンは『宝島』『ジキル博士とハイド氏』を書いたイギリスの作家です。病気で南国に移ったその間の生活をメインにしています。
2014-05-27 23:06:31忘れられがちなのですが、中島敦は以外にも「耽美派」といわれています。文章が非常に美しく、世界観に引き込むことに定評があるとでもいいましょうか。文章をひとつずつ丁寧に読んでほしいです。一応オススメは一ページずつ注釈のあるちくま文庫です。
2014-05-27 23:07:41「光と風と夢」、わたしにはちょっと読みにくかったな。でも文章はほかにも増して美しかった、たしかに。注釈なしで読んだから、あったら読みやすかったかもな。
2014-05-27 23:15:38「事実、彼には、孔子の前にいる時だけは複雑な思索や重要な判断は一切師に任せてしまって自分は安心しきっているような滑稽な傾向もないではない。母親の前では自分でできることまでも、してもらっている幼児と同じような工合である。退いて考えてみて、自ら苦笑することがあるくらいだ。」
2014-05-27 23:13:09萌えとは別にしてラストの迫力がすきー。それまでわりあい淡々と?してる印象だと思ったんだけど、畳み掛けるみたいなクライマックスで。あと読むうちに登場人物のこと好きになってるので、正直ちょっと寂しくなった(笑)
2014-05-27 23:18:21また『李陵』も名作です。タイトルがどうして司馬遷ではないのか、と言われるほど司馬遷にスポットが当たっています。「歴史を物語るとはどういうことか」「文字で言葉を残すことに何の意味がるのか」という問いかけをしています。文章を書かれる方は一読をお勧めします。
2014-05-27 23:16:10『わが西遊記』は沙悟浄の思考を主に語る『悟浄出世』と悟浄の手記として語る『悟浄歎異』によって成り立っています。前者は「生きている意味」を探す旅、後者は孫悟空の異端さについて感嘆したり馬鹿にしたり、面白い内容で、小説的ではない書式もあって新鮮です。
2014-05-27 23:19:02『悟浄歎異』で沙悟浄は孫悟空をこう描写します。「此の男の中には常に火が燃えている。豊かな、激しい火が。其の火は直ぐに傍にいる者に移る。」「彼は火種。世界は彼の為に用意された薪。世界は彼に拠って燃される為に在る。」 さあ、誰かを連想しましたね? 読みましょう。
2014-05-27 23:22:20中島敦の作品は「文字によって切り取られたが故に欠損した世界は何処にあるのか」「何か大事なものの為に何かを失っていないか」という主題をもって読むと、楽しいと思います。近代文学によくある「人非人たる条件とは」という主題でもいいと思います。
2014-05-27 23:24:20人間でいたいのか、狼になりたかったのか、虎になりたかったのか。中島敦の作品をもう一度読み返してみると、また発見があると思います。
2014-05-27 23:25:00