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root(XY) @xyhibi
素朴な疑問ですが、前の週のことを先週といいますよね。なぜ先(さき)という漢字を使うのでしょう?
風霊守 @fffw2
「前の週なのに、なぜ先(さき)の週と書いて「先週」なのか」という問題の答えは簡単だ。「先」には『未来』の意味だけでなく『過去』の意味があるから。「先人」「先例」といった熟語を思い浮かべれば、「先」が『過去』の意味をもっているのは明らかだ。
風霊守 @fffw2
さて、じっくりと考えてみよう。「先」という言葉を時間について用いる場合、「これから先」「3年先」というような『未来』の意味と、「先日」「先月」「先祖」「先の世界大戦」のような『過去』の意味がある。これはとても不思議なことだ。なぜ「先」は正反対の意味を持っているのだろうか。
風霊守 @fffw2
「先」を「セン」と音読みする場合(「先週」など)は必ず『過去』の意味だが「さき」と訓読みする場合(「これから先」「先の大戦」)は『過去』の意味にも『未来』の意味にもなるということに気がついた。この差は一体何を意味しているのか。
風霊守 @fffw2
(音読みについて)漢字の「先」(セン)は人(儿:にんにょう)の上に足あとの形を描いた会意文字で、「進んでいく方向で前に位置すること」が元の意味だ。そこから、場所としての前側(例:先端)、順序としての前側(例:先頭)、時間としての前側(例:先日)、と意味が派生していった。
風霊守 @fffw2
(訓読みについて)日本に漢字が伝来し、「さき」という言葉に「先」という漢字が当てられた。「前」と書いて「さき」と読む場合もあるように、日本語の「さき」にも、場所としての前側(例:道のさき)、順序としての前側(例:さきに立つ)、時間としての前側(例:さきの帝)といった意味があった。
風霊守 @fffw2
【問題】「時間の前側」とは、『過去』か『未来』どちらなのだろうか。「以前」「以後」「1年前」「1年後」という言葉があるから『過去』が前なのか。はたまた、「前途」という言葉や、時間の進む向きのイメージから『未来』が前なのか。
風霊守 @fffw2
「先」の音読みに『過去』の意味しかないことや、「さき」から転じた「さっき」が『過去』を表す言葉であることなどから、やや大胆に予想すると… 昔の人は「時間の前側」は『過去』だと考えていたが、のちに時間の流れの認識が変わり、時間軸の進む向きである『未来』の意味が現れたのではないか
風霊守 @fffw2
検証。『日本国語大辞典』で「さき」の用例を調べてみた。『過去』の意味の用例は奈良時代には既に見られるが、『未来』の意味は室町時代になってようやく現れ、積極的に使われだすのは近代に入ってからだ。そして、現代では「さき」といえば、もっぱら『未来』の意味で使用されることが多い。
風霊守 @fffw2
古事記(712年)上「其の八上比売は先(さき)の期(ちぎり)の如くみとあたはしつ」 源氏物語(11世紀初頭)夕顔「さきの世の契しらるる身のうさに行末かねて頼みがたさよ」 (『過去』の意味の用例)
風霊守 @fffw2
柳生の徳政碑文(1428年か)「正長元年ヨリサキ者カンへ四カンカウニヲヰメアルヘカラス」 春〈島崎藤村〉(1908)「是から将来(さき)奈可(どう)する積なんでせうや」 (『未来』の意味の用例)
風霊守 @fffw2
「さきざき」(先々/前々)という言葉は、『竹取物語』(平安初期)では『過去』の意味で用いられているが、『太平記』(室町初期)では『未来』の意味で用いられている。「あと」(後)という言葉は、古くから『未来』の意味で用いられているが、江戸時代頃には『過去』の意味の用例も見られる。
風霊守 @fffw2
日本語の用例を見ると、やはり昔は『過去』が前で『未来』が後だったのが、のちに『未来』が前で『過去』が後になったようだ。(ただし『過去』の意味の「あと」は現代では滅多に使われないが)
風霊守 @fffw2
「先」の音読みの「セン」は、訓読みの「さき」と違い、日本語の意味変化の影響を受けなかったので、現在も『過去』の意味で用いられているのだろう。はい、先の週と書いて「先週」になる問題については、ひとまずここまで。
風霊守 @fffw2
ちなみに、『過去』の意味の「さき」と、『未来』の意味の「さき」は、現代ではアクセントで区別されることが多い。(『過去』は頭高アクセント/『未来』は平板アクセント)
風霊守 @fffw2
「さき」の問題は、かなり深い題材らしく、認知言語学の分野で研究も行われている。|「空間語彙と時間語彙への意味文化の考察 ─日本語の「サキ」の分析─」repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstre… 「時間表現における「先」について」repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstre…
風霊守 @fffw2
西暦1年、2年、…、2013年、2014年、… と時間が列になって順番に私たちのもとに訪れてきている、と考えると、最初に訪れる西暦1年が先頭(順序としての前側)であり、『未来』に行くほど順序としての後ろ側に位置する。
風霊守 @fffw2
西暦1年、2年、…、2013年、2014年、… と並んだ時間の上を私たちが一歩一歩歩いている、と考えると、進む方向(進行方向前側)にあるのは『未来』であり、後ろを振り返れば『過去』が見える。
風霊守 @fffw2
「時間の前側」の認識が昔と今で異なっているようだが、なぜ認識が変わったのだろうか。東洋と西洋の宗教的時間観の違いや、自然科学の発達など、いろいろな原因が思案されているが、答えは謎。私は、近代、西洋時計の普及にともなって、時計の針の進む方向(『未来』)が時間の前になったのだと思う。
風霊守 @fffw2
時間の前側問題は、「過去が前 未来が前」などと検索すると、たくさん出てくる。明確な答えはないので、ディベートの題材に向いているかもしれない。| logsoku.com/r/gengo/992067… okwave.jp/qa/q7433965.ht… detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_de…
つくし なづな @Do_like_her
@fffw2 「先」という単語には「現在地点から見て奥の方向」というニュアンスがあるので、未来を向いた時でも過去を向いた時でも、現在から遠い方向へ向かうのだと思います
風霊守 @fffw2
@Do_like_her 私もそう思います。ただ、古代人と現代人で、未来を向くか、過去を向くかの傾向が異なっているのが、なかなか興味深いところです。時間観に何らかの差異があったのでしょうかね。
風霊守 @fffw2
Wikipedia「時間」( ja.wikipedia.org/wiki/%E6%99%82… )に「時間の向き」という節があるが、「時間は未来から過去へ流れている」とする時間観の説明の文末がことごとく「…と苫米地は指摘する」になってる…( ・̆‸・̆ )
風霊守 @fffw2
@nanasi_toraziro 返信ありがとうございます。私も時間を見る方向の違いだと思います。ただ、日本語の用例を見てみると、古代人と現代人で、未来を向くか、過去を向くかの「傾向」が異なっていて、そこを興味深く感じた次第です。

コメント

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