知育おもちゃに見え隠れする大人の願望

知育おもちゃは単機能のことが多く、「こんな知識を身につけて欲しい」という大人の願望が前面に出すぎ。 それよりも、乳幼児は体験から学ぶことが重要なのではないか。
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shinshinohara @ShinShinohara

初めての子どもなのに親から数点しかおもちゃを買ってもらっていない息子。嫁さんの親戚友人からお古をたくさんもらったのもあるが、元々買う気がなかった。おもちゃ売り場を見ると知育おもちゃばかり。大人目線の願望(こんな知識を身につけてほしい)が前のめり過ぎて、興味が湧かなかった。

2014-06-06 22:06:15
shinshinohara @ShinShinohara

知育おもちゃを見ると、早く文字を覚えさせたいという大人の側の願望が露骨に見える。しかし息子の様子を見ていると、大人の思惑通りに遊ばない。ぶつけて大きな音が鳴るか、ブンブン振り回せるか、意のままに動かせるかが興味の対象。子どもの関心にぴったり来ているものは多くない。

2014-06-06 22:09:46
shinshinohara @ShinShinohara

知育おもちゃは少なからず文字を覚えさせようとする。しかし小さな子どもには文字の知識より体験が重要。たとえば水はとても柔らかく、つかむことのできないもの。常に下向きに落ちようとして、くぼんだ容器にだけ溜まる。そんな水の様子を体験し、観察する。豊穣な体験が「水」の理解を深める。

2014-06-06 22:18:41
shinshinohara @ShinShinohara

体験が知識の裏付けになるのは大人も同じこと。たとえば「鉄」とは何かといったとき、理科の教科書にある原子番号や融点などの文字の情報を覚えてもピンとこない。それよりも、触るとひんやりする、光沢がある、固い、さびが茶色、火であぶると赤く光る、などの体験が鉄のイメージを形成する。

2014-06-06 22:24:08
shinshinohara @ShinShinohara

「鉄」をめぐる様々な体験、それが「概念」を形成する。鉄とは何か、という認識は、鉄が見せる色々な顔(さびやすい、なめると血のような味とにおい、固い、曲げても元に戻る、日に焼けると熱い、など)を体験的に知ることで育まれる。概(おおむ)ねのイメージ、それが概念なのだから。

2014-06-06 22:29:12
shinshinohara @ShinShinohara

「群盲象を撫でる」という逸話は、知識(概念)を形成するために必要なことを教えてくれる。昔、目の見えない人たちが象を触った。耳を触った人は「布だ」と言い、尻尾を触った人は「呼び鈴の紐だ」といい、足を触って「柱」といい、鼻を触って「筒だ」といい、意見が合わず、正体が分からなかった。

2014-06-06 22:33:50
shinshinohara @ShinShinohara

だがもし、象を触った人たちが自分の意見にこだわらず、全員の意見に耳を傾けたとしたら?とても大きな生き物で、それらの特徴をすべてもつものだと考えたら、「象」という答えを紡ぎ出せただろう。柱のような足、布のような耳、長い筒のような鼻などは、象という概念を形成する要素だ。

2014-06-06 22:39:06
shinshinohara @ShinShinohara

幼児が何かを理解するには「体験し尽くす」ことが重要だ。ヘレン・ケラーが水とコップを区別できていなかったという有名なエピソードは、体験の重要さを示す。サリヴァン先生が手に流水を浴びせて初めてヘレンは水の新たな「顔」を体験で知った。体験こそが「概念」を教えてくれるという好例。

2014-06-06 22:48:01
shinshinohara @ShinShinohara

息子の場合、大人のお仕着せの遊びには関心が長続きしない。興味を持ったものを「味わい尽くす」方が関心が長続きする。引き出しの開け閉めは指を挟みそうで危ないのだが、一度軽く挟ませて痛い目に遭わせた後、「指を挟むよ」と声をかければもう挟まない。こちらが閉口するほど繰り返し開閉して遊ぶ。

2014-06-06 22:52:56
shinshinohara @ShinShinohara

お皿をガンガン机に叩きつける。割れて危ないかもしれない。しかし皿が割れるということも重要な体験。ものは乱暴に扱うと壊れる、ということを体験的に知る必要がある。割れたら即座に安全なところに放り込むことに決めて、好きにさせる(高かった食器は遠ざけるけど)。

2014-06-06 22:57:08
shinshinohara @ShinShinohara

水たまりを見たら飛び込む。頭からつま先まで泥だらけになる。洗濯も大変、着替えも常に持参しなければならないし、家にどうやって連れ帰ればよいのかも困ってしまう。しかし「これもお勉強」と、アタマをクラクラさせながら嫁さんは息子を見守る。息子はその代償に「水たまり」を体験的に知る。

2014-06-06 23:01:59
shinshinohara @ShinShinohara

3歳までは文字の知識より豊穣な体験をどれだけ積み重ねられるかを重視したい。水一つとっても、ペットボトルを沈めれば泡立つし、冷たい水を入れたコップは外に露がつくし、乾いた布巾に吸い取られる。身近な体験から学ぶチャンスが無数にある。知育おもちゃよりそちらを大切にしたい。

2014-06-06 23:06:14