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一日目夜 - 極彩鮮滅

「06/15/22:30」から「06/19/22:30」までの記録です。
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ダスク @dusk_v

「どうでもよくない」 【蒼天】を一瞥する。侮蔑の滲んだ冷たい目で、一瞥する。 そうだ。元いた世界で、誰かがダスクを笑った。ままごとに興じる子どもだと、笑った。薄ぼんやりと張り付いているのは、たったそれだけの情報。 確かに記憶しているのは、怒り――

2014-06-17 03:35:26
ダスク @dusk_v

立ち上った苛立ちは、然し思考をクリアにするには充分に役立ったらしい。 「見下さないでよ。どうでもよくなんかない。けど、そうだね。僕も帰らなきゃいけない。だから――殺さなきゃ」

2014-06-17 03:39:56
ダスク @dusk_v

不慣れなことをしてはいけない。有利な状況だとはとても言えなくても――確実に、殺さなければ。 コンクリートの地面が歪な音を立てて穴を開ける。主である女を守るように、三本の剣が宙に浮かぶ。

2014-06-17 03:45:06
ダスク @dusk_v

このまま乱闘になるとすれば、正攻法で勝つことは難しいだろう。 【純白】と【蒼天】は自分を狙っている。直観的に、【漆黒】と組むことは難しいと感じられた。 ならば、どうするか―― 異能で時間を稼ぎ、この建物ごと一網打尽にする。

2014-06-17 03:48:24
鈴木善哉 @Black_zenya

黄昏と話していると何処か懐かしい感触がした。ついこの間の事なのに遥か遠くに感じられる学友との会話、それに似ていたのだ。何かに惹かれるように黄昏へと近づく、近づく事を邪魔するものは何であれ一切の関係なく漆黒達が蝕んでいった。

2014-06-17 12:35:50
鈴木善哉 @Black_zenya

「キミは僕の友達に似てる、不思議だよね性別も見た目も何もかも違うのに。」そう言いながら黄昏に視線を向けて穏やかに笑った。「ありがとう、ちょっとだけ勇気が出たキミのお陰でね。」次に純白を見る。「やっぱり僕は元の世界に帰りたい、フィーネの言ってることは僕にはよくわからないけど…でも」

2014-06-17 12:40:20
鈴木善哉 @Black_zenya

黄昏に背を向けて純白と蒼天に相対する。「もうちょっとだけ頑張ってみようと思うんだ。」穏やかに語りながら笑顔を浮かべる。次の瞬間善哉が見ている前面に漆黒の球体達が降り注いだ、だが背後の黄昏には一切の漆黒はあらわれなかった。

2014-06-17 12:43:29
フィーネ・ゾフィーア・エーデルヴァイス @ve_fine

「そうか」 笑顔で応じたフィーネもまた次の刹那には反射的に後ろへと飛んでいた。 「お前の選択を祝福しよう」

2014-06-17 15:47:27
フィーネ・ゾフィーア・エーデルヴァイス @ve_fine

黒蝕の射程は一度の跳躍で逃れられる程度のものではなく、未だその雨の中で少女は思考する。 (物理的な防御、おそらく無効。ならば遮蔽を利用するのは無意味。黄昏の瓦礫弾を用いれば多少の相殺は…却下。実弾で魔法弾と争うのは非効率的、ならば)

2014-06-17 15:47:38
フィーネ・ゾフィーア・エーデルヴァイス @ve_fine

「結局こうするしか、ないな」 両目を閉じて、思い描く。自らの在り方を、重ねて。少女の色を純白が押し流していく。 「『蹂躙せし純潔』」 野を埋める花の名のままに再び白く染まる少女を、 ――夜の闇が吹き飛ばした。

2014-06-17 15:48:19
フィーネ・ゾフィーア・エーデルヴァイス @ve_fine

更に後方へと距離を離されながらなお純白の少女は笑う。 「これで、まず五分」 自らに上塗りした色彩で漆黒を相殺するという“ごく単純な力業”。その身に受けた衝撃が示すようにその全てをかき消せたわけで無いとしても、即死を避けた、その事実でもってフィーネは十分な収穫と判断した。

2014-06-17 15:48:45
御通ヨサリ @torima_nama

 時間稼ぎという【黄昏】の策は、文字通りに功を奏していた。  空色の娘の身のこなしは軽やかではあるが、【純白】ほどの勢いを持たず、その背に追いつくことすらできない。  利き腕の右手はまだ動くとはいえ、無理は禁物の状態だ。左に持ち替えた肉斬り包丁の荒い動きで、数体の残兵を調理する。

2014-06-17 19:18:31
御通ヨサリ @torima_nama

 【黄昏】は、当初の目的を取り戻したかに見える。しかし、その行動、その叫びは、危険な不安定さで揺らいでいた。  同じく生と死の境界に在る【黄昏】と【蒼天】のありようは、その実、全く正反対の本質を持つ。 「あなたはそうやって――生きることも、死ぬことも、受け入れられないんですよ」

2014-06-17 19:25:21
御通ヨサリ @torima_nama

 刃の届かぬ相手に、言葉の切っ先を突き付ける。……あちらが時間を稼ぐなら、こちらに稼げるものもある。 「だからうまく生きられないんです。そして……それじゃ絶対にうまく死ねません。あなたは。絶対に」  近づく【黄昏】と【漆黒】に向けて、淡々と娘は語る。

2014-06-17 19:33:30
御通ヨサリ @torima_nama

「わたしだって、愛する人がいたというのを理解できます。それを失う憎しみを想像できますよ? けれどあなたは、それさえ受け入れなかったんじゃないですか。――愛したというその方を、うまく愛せていなかった。だから、『死んだ程度』でその人を見つけられなくなる」

2014-06-17 19:34:24
御通ヨサリ @torima_nama

 死に神は当然の世間話でもするように、人間にとっては呪いでしかない言葉を謳いあげる。  侮蔑の視線すら真っ直ぐに受けて。 「そうやってずっと、全てを拒絶しているのも――」  最上級の、柔らかい笑みで。 「別にいいと思いますよ? わたしは」

2014-06-17 19:37:22
御通ヨサリ @torima_nama

 そして。その言葉を押し流すように、【黄昏】を守るように、【漆黒】の奔流が来た。

2014-06-17 19:38:28
御通ヨサリ @torima_nama

「――ああ、来ましたか」  あの正体不明の攻撃を、とてもフライパンや鍋で受ける気にはなれない。  空色の娘は一瞬の判断を下す。  【純白】の力を前提に、彼女が妥当な策を取ることを仮定すれば、この場に生まれえる安全地帯は――

2014-06-17 19:40:50
御通ヨサリ @torima_nama

 【蒼天】による侵略を完全に解く。このあと起きる一連の流れを考えればもはや無意味だ。  そして、動きを止めた人形兵を、すぐ右手に迫った【漆黒】の球体に投げつける。盾にはならないが、その反発力をもって自分の身体を転がる動作へ持っていく。

2014-06-17 19:44:41
御通ヨサリ @torima_nama

 その移動はスムーズともエレガントとも言い難い。左手の肉斬り包丁は手放さざるをえなかったし、温存していた右手も、ついに筋が割けるような悲鳴をあげた。  しかし、娘はなりふりを構わない。この場で唯一生まれえる死角――【純白】の、ちょうど背後の一点へ。

2014-06-17 19:47:29
御通ヨサリ @torima_nama

 【純白】が【漆黒】を映し、ぎりぎりの相殺を成し遂げるのを、空色の娘は視認できなかった。ただ、その恩恵にすがって、即死を免れる結果だけを拾った。  だから娘が次に視認したのは、「吹き飛んでくる」【純白】の背だ。  ……協力以前の問題として、これはこれで当たればただでは済まない。

2014-06-17 19:51:38
ダスク @dusk_v

殺さなければ。そう、決意で意志をつないだ。 しかしダスクは未だ混乱の最中にいた。 彼女を混乱させるものは【漆黒】の能力である。【純白】の身体を飛ばし、自らの造った人形兵を破壊したそれを目の当たりにして言葉を喪った。 あれに、どうやって勝てばいい?

2014-06-17 19:53:03
御通ヨサリ @torima_nama

 娘がとっさに割烹着の裾から取りだしたのは――弾力のある針状の金属が密集し、しかし刃物としての性質を持たない、異形の金属の構造体だった。 「業務用泡立て器――」  その用途にしては巨大な一振りを横に構えて、彼女の衝撃を受け止めるように。 「宴会用ですよ!」

2014-06-17 19:56:16
ダスク @dusk_v

【純白】は恐らく自らの能力を用いて、【蒼天】は【純白】の背後に転がり込み、事なきを得た。然し、それは即死を免れたというだけに過ぎない。 彼女たちの動作が少しでも間違っていればただでは済まなかっただろうということは、ダスク自身の能力の残骸を見るだけでも容易に察することができる。

2014-06-17 19:57:10
ダスク @dusk_v

麻酔でも打たれたように身体が重い。現実感がない。 何故、【漆黒】の能力は自分に向けられない? 前方にしか放てない能力なのか。 使用することに相当な集中力が必要――否、この能力がそんな不安定なものなら、今の【漆黒】がそんなものを使えるはずがない。

2014-06-17 20:01:47
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