暗礁艦隊その5

その5完結。次はその6になります
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CF型マシニーカhir @hir_CF

隼鷹は事前に脳内へ叩き込んできた周辺地形図を思い出した。 適当な洞窟をピックアップ。その周辺を重点的に捜索する。 ―あった。 建物―というよりは輸送ワ級が変形したかのような形状の物体が、木々の合間に隠されていた。 「キモいねえ」 座標を山城へ送り、更に捜索網を広げる。 #暗礁艦隊

2014-06-22 23:34:59
CF型マシニーカhir @hir_CF

「OK。やるわ」 山城の待ち望んできた情報が来た。 「榛名、準備はいい?」 「ええ、榛名は大丈夫です」 担当区域を定め、照準。 「撃てぇ!」 「主砲、斉射!!」 轟音とともに14発の砲弾が発射される。 それは音速の二倍を超えて弧を描き、山の向う側へと着弾。爆発する。 #暗礁艦隊

2014-06-22 23:49:39
CF型マシニーカhir @hir_CF

発射。発射。発射。発射。発射。 ただ主砲を撃つだけの機械と化したかのように、黙々と二人は砲弾を吐き出し続けた。 やがて―― 「残弾1割を切ったわ」 「私もです」 山向うはほぼ更地と化していた。燃料製造工場だけでなく、地下とつながる洞窟もあらかた吹き飛んでいる。 #暗礁艦隊

2014-06-22 23:52:18
CF型マシニーカhir @hir_CF

「隼鷹、どうよ?」 「成功…といっていいぜぇ」 実際観測できる範囲の施設は全部消し飛んでいる。見つかっていないものもあるだろうが、それでも相当な効果をあげたのは間違いない。 そこで提督より連絡。 「一度補給に戻ってこい。隼鷹は監視を千歳・千代田と交代しろ」 #暗礁艦隊

2014-06-23 00:00:42
CF型マシニーカhir @hir_CF

大地が揺らぐ。 「何?地震なの!?」 こんな地下で落盤でも起こったら一巻の終わりだ。 「いや─予定通りおっぱじめやがった」 霞の問いに答える天龍 「これで私達も動きやすくやるわね~」 深海棲艦も攻撃への対処に忙殺されるだろう。 「霞、お前の耳が頼りだ」 「任せなさい」 #暗礁艦隊

2014-06-23 07:05:37
CF型マシニーカhir @hir_CF

無音のまま破壊した深海棲艦は10を越えた。皆に流石に疲労が蓄積している。 「あらぁ?」 脇道に気付いた龍田が声を上げる。 「皆、来てぇ?」 ぞろぞろ 何かいる。だがこちらに気づいた様子はない。天龍は意を決すると電灯をつけた。 「こいつは─」 異様に肥大化した肉の塊。 #暗礁艦隊

2014-06-23 07:28:35
CF型マシニーカhir @hir_CF

見た目は輸送ワ級に似ている。妊婦にも似た腹。 ボコ その下。細い棒? ずるり ずるり ここまできて艦娘たちも理解した。ワ級の下腹部から生えているのは手だ。 目が離せない。 ぞわっ 出てくる。 幼いが整った顔。 天龍はそれを資料で見たことがあった。 飛行場姫─ #暗礁艦隊

2014-06-23 09:56:01
CF型マシニーカhir @hir_CF

天龍は本能的な恐怖に突き動かされた。 生まれたばかりの深海棲艦に歩み寄ると、鼻と口を手で塞ぐ。 「ちょ─」 止めようとする霞を龍田は制止。 深海棲艦も艦娘も、酸素を供給されなければやがて機能停止する。潜水艦でもそうなるまでの時間が長いだけだ。 やがて─ #暗礁艦隊

2014-06-23 10:02:51
CF型マシニーカhir @hir_CF

生まれたばかりの深海棲艦は、太陽の光を見ることもなく、死んだ。 「…ふぅ。8」 「うん。持って帰るのね?」 スク水白ストッキングメガネ幼女は本を取り出すと、押し花でも作るかのように飛行場姫の死体をページで挟んだ。 するするする 本の中に死体が吸い込まれていく。 #暗礁艦隊

2014-06-23 16:36:58
CF型マシニーカhir @hir_CF

「わりぃ。待たせた」 天龍は謝罪すると、懐から代用葉巻を取り出した。と、それを押し止める手。 「まだ、駄目よ~?」 「分かった。後でな」 やりとりの間も時間は経過する。 「来た。数…多すぎ!」 霞が叫ぶ。 「ここまでだ!ずらかるぜ」 天龍は即時撤退を選んだ。 #暗礁艦隊

2014-06-25 14:31:49
CF型マシニーカhir @hir_CF

部屋を出ると左右から駆逐イ級。 「灯火制限解除!」 全員が電探とライトをつけた。暗闇が一気に真昼の明るさに。 「しゃー!」 天龍の鋭い刺突が駆逐艦を貫く。洞窟内で火砲は使えない。落盤でも起きればジ・エンドだ。 一方、反対側では龍田の槍が振り回され、敵を近寄らせない。 #暗礁艦隊

2014-06-25 15:52:58
CF型マシニーカhir @hir_CF

攻め倦ねたか─そう思った瞬間、駆逐艦は跳ねた。槍を突き出した体勢の龍田は間に合わない。 「っしゃーあ!」 霞の突き出した拳は、一撃で駆逐艦を粉砕。 それは連装砲というにはあまりにもおおきすぎた。大きく分厚くそして大雑把すぎた。それはまさに鉄塊だった。 #暗礁艦隊

2014-06-25 22:45:59
CF型マシニーカhir @hir_CF

砲塔の機能を全部削除してただの鉄塊となった連装砲と魚雷発射管。これが霞の今回の武器だ。 強度だけなら集中防御方式戦艦のバイタルパートを凌駕する化け物である。 もちろんそんなもんで殴られて済む深海棲艦など存在しない。 #暗礁艦隊

2014-06-25 23:03:23
CF型マシニーカhir @hir_CF

深海棲艦にも知能らしきものがあることは確認されている。そもそも駆逐イ級ですら十キロ先から砲撃を命中させられるだけの計算能力があるのだ。 だからこそ、彼女─部下を統率する戦艦タ級は攻め倦ねていた。 砲撃すれば侵入者を粉砕することなど造作もないが、落盤で共倒れだ。 #暗礁艦隊

2014-06-26 07:17:42
CF型マシニーカhir @hir_CF

タ級は冷静に戦況を分析する。 今前衛で戦っている駆逐艦は惜しくない。どちらにせよ破壊されるだろう。既に数体が撃沈されている。 ─いや、あれも使えるか。 そこまで考えたところで彼女は最前列の駆逐艦以外に後退を命じた。 #暗礁艦隊

2014-06-28 06:57:35
CF型マシニーカhir @hir_CF

─何だ? 違和感。急に後退する深海棲艦ども。かし自分達を挟んだ駆逐イ級はそのままだ。 「生き埋めにする気です!後方へ退避を!」 浜風の叫びへ天龍は即答。 「ずらかれ!」 もう損害など気にしていられない。龍田は片腕を食いちぎられながらも背後のイ級を三枚に下ろし、退路確保 #暗礁艦隊

2014-06-28 07:16:54
CF型マシニーカhir @hir_CF

轟音。 脇目も振らず走り出した一同の背後から、暴風─否、爆風が迫る。 「きゃっ」 「よっと!おっさきぃ」 躓いた伊8を背後から脇に抱えてダッシュする川内。夜戦直後のため夜戦パワーが残ってるのかもしれない。 バラバラと石が落ちてくる中、一行は駆け抜ける。 #暗礁艦隊

2014-06-28 14:39:56
CF型マシニーカhir @hir_CF

青葉「号外、ごうがーい!」 魔法使い提督「なに何、変ぬい提督ついに艦むすに殺されかける?」 山城「そりゃそうよねえ……」 提督「うちは健全だから大丈夫だな」 山城「とか言いながら時雨を首輪につないで犬小屋に住まわせないでよ!?」 時雨「くぅん?」 #暗礁艦隊

2014-06-28 22:53:13
CF型マシニーカhir @hir_CF

「うぎゃああ!」 「いいから走れ!」 元来た道を真っ直ぐに。 と。 「止まれ!」 落盤。前方が塞がれる。 「出口は…!?」 ない。前も、今来た道も落盤で閉ざされた。 ─ここまでか。 皆の心に落ちる絶望。 #暗礁艦隊

2014-06-30 06:59:24
CF型マシニーカhir @hir_CF

偵察隊は、覚悟を決めてその瞬間を待った。 一秒後か。一分後か。 十分待っても天井が落ちてこない、と分かった時、ようやく一同の肩の力が抜けた。 「し、死ぬかと思ったぁ…」 思い思いにへたり込むみな。 「…て、どうしようかねえ?」 川内がそう呟いた時には結構経っていた。 #暗礁艦隊

2014-06-30 07:03:32
CF型マシニーカhir @hir_CF

「下手に動いたら崩れないでしょうか?」 浜風の疑問ももっともだ。 「けどな、救援がこられる状況じゃないだろ?」 「う~ん、ちょーっと、待ってね?」 8は壁に手を当てると超音波を発した。 ─数分後。 「うん、近くに別のトンネルあるから、掘ろう」 彼女は壁に手をかける。 #暗礁艦隊

2014-06-30 07:23:36
CF型マシニーカhir @hir_CF

「手伝おうか?」 「ううん。みんな、休んでて」 意外と素早くトンネルは掘られていく。 小一時間程して。 「できたよ~」 「早いね!」 実際早い。だが8は首を振る。 「落盤、怖いから。ゆっくりしました」 「いや、それでも大したもんだ。じゃあ行けるか?」 「はい」 #暗礁艦隊

2014-06-30 07:26:44
CF型マシニーカhir @hir_CF

「きついな…」「おさないでね~?」「こらっ!ちょ!?スカート!」「早くしようよ」「…」 何とか全員がトンネルをくぐり抜けた。いや。全員? 「あれ?浜風は?」 「むぐぐ…」 見れば浜風は引っかかってた。おっぱいが。 天龍も巨乳だが浜風はそれ以上だ!ヒドイ!! #暗礁艦隊

2014-06-30 10:19:24
CF型マシニーカhir @hir_CF

「お前もそれのせいで苦労してんなあ」 「す、すみません」 苦笑しながら浜風に手を貸す天龍。 …動かない。 「ふっ!おりゃあ!?」 動かない。 「手伝うよ」 川内が加わっても動かない。 「え?何やってるわけ」 霞も引っ張るがやはり動かない。 「ど、どうしましょう」 #暗礁艦隊

2014-06-30 16:49:25
CF型マシニーカhir @hir_CF

「よ~し、息を合わせろ」 「せーの、」「「「「「よいしょ~」」」」」 すぽっ ゴロゴロ 5人がかりで引っ張って、ようやく浜風は穴から抜け出した。 そのせいか、衣類はボロボロになってしまっている。 「くっ…こんなにこの乳が憎いのは初めてです」 贅沢な悩みかもしれない。 #暗礁艦隊

2014-06-30 17:24:37