二日目昼・夜 - 極彩鮮滅

昼は「06/19/22:30」から「06/23/22:30」まで、夜は「06/23/22:30」から「06/27/22:30」までの記録です。
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フィーネ・ゾフィーア・エーデルヴァイス @ve_fine

「『天はこんなに蒼いのに』」 都忘れ。大丈夫、一度再開できたなら次もまた。小さく笑みを浮かべて、花園の進路をこの広場から街全域に向かうように書き換える。足元にもひとつ、青い花。【蒼天】権能、均衡。

2014-06-25 23:48:16
フィーネ・ゾフィーア・エーデルヴァイス @ve_fine

「『こんな世界壊してしまえ!』」 彼には花は似合わない。ならいっそ彼の願いを叶えられる世界を作ってしまえばいい。花園が街を呑み込み、染め上げるように最後に一滴魔力を込めた。【漆黒】権能、同化。

2014-06-25 23:48:23
フィーネ・ゾフィーア・エーデルヴァイス @ve_fine

「これでありったけ!」 魔力の全てを尽くして強大な花園を組み上げた少女は肩で息をしながら言う。 「あとは俺に関係無くこいつらが勝手に夜明けまでに街を埋め尽くす」 その言葉に偽りは無いのだろう。色鮮やかな領域が異様な速度で拡大していく。 「せいぜい呑み込まれないように気をつけな」

2014-06-25 23:48:32
フィーネ・ゾフィーア・エーデルヴァイス @ve_fine

そう言うなりフィーネは俯せに倒れ込み、すぐにその姿が花に埋もれて見えなくなった。 本当に、戦いの勝敗など気に留めぬかのように。

2014-06-25 23:49:11
猩々緋 麻也 @red_shojohi

毅然とした態度を崩さない彼女を見る。「さすが聖女様…と言ったところかね」短く笑い、手元のルビーナイフを弄ぶ。「決着をつけるとは言え、その身体では―――」 ――視界の白が、広がっているような気がした。 「――」気がした、ではない。確かに広がっている。

2014-06-26 15:05:15
猩々緋 麻也 @red_shojohi

いつの間にか、視界の大幅を白が埋め尽くしていた。咲き誇る花が、彼女の支配する世界が広がっている。 危険を予感し、バックステップでフィーネから距離を取る。「お前、まさか」冷や汗を流しながら、呟く。 「お前の、【純白】の能力は、『模倣』か?」

2014-06-26 15:07:29
猩々緋 麻也 @red_shojohi

花弁が吹き荒れるのを見ながら、彼は考えていく。 模倣。それは彼の考えた選択肢の中では最悪の答えでも会った。真似るだけのその能力は、単体で見るならかなり弱い。劣化版にしかならないからだ。しかし、十分に能力を蓄え、それを使いこなした場合元の能力を超えた力を引き出すことがある。

2014-06-26 15:09:31
猩々緋 麻也 @red_shojohi

丁度、絵の具を二つ混ぜて新しい色を作り出すように、新しい能力を繰り出す―――「とすれば、お前はトキワ以外の能力を、」視界の端に、緑色が咲く。 「―――いいや、取り込む必要すら、ないのか」苦笑のように息を漏らす。この考えが正しいかは否かは別としても、なかなかの苦しい状況だ。

2014-06-26 15:12:38
猩々緋 麻也 @red_shojohi

白、紫、青、緑、黄、赤、黒。さまざまな色が、色彩の無い世界を包み込み、侵していく。着色し、染め上げていく。 「この世界を"救う"ためなら、自分の命を投げ捨てても構わないと」なるほど、聖女らしい最後ではある。

2014-06-26 15:18:15
猩々緋 麻也 @red_shojohi

その花は、死者への手向けにも見えた。この世界で散った命の安らかな鎮魂を願い、添えられる花達。 「だがな」目の前に咲く赤い花の一輪だけを、頭の中で握り潰す。それは色相であるために、イメージがそのまま現実に落とし込まれるかはわからない。だが、彼の頭の中で、強く強く握り潰す。

2014-06-26 15:20:10
猩々緋 麻也 @red_shojohi

「俺はまだ死んでないし、壮大な自爆に巻き込まれるつもりも無い」 花達の中心、フィーネに背を向け真っ直ぐ走る。手元のルビーナイフで、塞がりかけていた傷跡をこじ開ける。溢れる赤い色を、鋭く視る。振り向きざまに、そこに赤のイメージを落とす。目の前に描かれる、赤色の簡易な魔法陣。

2014-06-26 15:22:38
猩々緋 麻也 @red_shojohi

自らの魔力を流し込み、起動させる。「"ignis"ッ!!」陣から炎が迸る。その炎に、視線を移し強く強く睨む。トキワの眷族を焼き尽くした時と、同じやり方だ。

2014-06-26 15:25:29
猩々緋 麻也 @red_shojohi

元々の存在が『花』であり『色相』であるならば。この炎は、花すべてを焼き尽くすまでは行かずとも、彼に侵攻するそれの足止めにはなるはずだ。 イメージを落とし込んでいく。炎が途端に肥大化し、彼の周りに炎の壁を作り出していく。それは炎を媒介にした、『赤』の相そのもの。

2014-06-26 15:26:26
猩々緋 麻也 @red_shojohi

「俺はここには残らない」 中心に―――フィーネに向けて、言い放った。

2014-06-26 15:27:49
フィーネ・ゾフィーア・エーデルヴァイス @ve_fine

「模倣か、そういうこともできる」 麻也の背後に姿を現したフィーネは笑う。 「言うなれば実現の力。どんな形になるのかはこちらできちんと描いてやれねばならぬが、お陰でお察しの通りこんな芸当もできるというわけだ」

2014-06-27 01:09:14
フィーネ・ゾフィーア・エーデルヴァイス @ve_fine

炎の壁と、その周囲で灰と化していく花園を眺めながらも少女は構えない。 「――魔術には相性がある」 ただ微笑んで。 「良い判断だ。…けれど  ここでそれは貴様のミスだ」 その言葉と共に、灰から草木が一斉に芽吹く。それも、より強く激しく。

2014-06-27 01:09:34
フィーネ・ゾフィーア・エーデルヴァイス @ve_fine

「よく燃える。たしかに、花の一つ一つは火にはとても耐えられまい。だが、野の花となれば話が違う。焼け落ちた灰は次の命の糧となり、火を受けることで山はより肥沃で豊穣に満たされる」 盛大な賭け。彼が火を使わず、ナイフでの攻撃を選んでいれば破綻していた大博打は、

2014-06-27 01:09:41
フィーネ・ゾフィーア・エーデルヴァイス @ve_fine

真紅の焔を受けて完成する。 「…救済とは、他に言葉がないからそれを使うだけだ。止まってしまったものを、次へと連れて行く。それだけのこと」 生きているか、死んでいるかは些細な問題だと口の中で言葉を転がして、

2014-06-27 01:09:51
フィーネ・ゾフィーア・エーデルヴァイス @ve_fine

「それが俺の、願い」 そして、花園が全てを呑み込む――

2014-06-27 01:10:00
猩々緋 麻也 @red_shojohi

「――――!!」灰の中から草木が芽吹くのを、見やった。生命力を増していくそれを炎で燃やそうとするが―――すぐに、やめた。意図を、理解したからだ。 「――なるほどな。」背後に佇む白の少女へ、振り返りもせず声を投げかける。

2014-06-27 01:50:01
猩々緋 麻也 @red_shojohi

炎が花の勢いに負けていく。燃やす度に勢いを増すそれは、最早侵攻を止める一手にも何にもなっていなかった。

2014-06-27 01:50:42
猩々緋 麻也 @red_shojohi

「お前は賭けに勝ったわけだ」額に手を当てる。つまり、自分の負けであることを、認めるということ。養分を与えてしまった以上、今から攻撃を切り替えても無駄だろう。 「―――ならばせめて、お前の心に、記憶に、呪いを刻んでやる」左手首から迸る血液を、振り向きざまにフィーネへ浴びせる。

2014-06-27 01:51:40
猩々緋 麻也 @red_shojohi

それは少量だが、白き彼女の一部分を紅く染めるだろう。 「『赤』を視る度、思い出せ。『クラースヌイ』を。夜の王たる俺を。――――死の恐怖を。」 彼の気まぐれによっては訪れていた、それを。

2014-06-27 01:52:39
猩々緋 麻也 @red_shojohi

炎の限界が来る。壁を突き破って、花達が押し寄せる。その後は、一瞬。 飲み込まれる。千切れ、霞む思考で、想う。 魔たる俺は、無理だとしても。 『あの子』の魂は、連れて行ってやってくれ。 次の、世界に――――

2014-06-27 01:56:26
猩々緋 麻也 @red_shojohi

花に生命力を奪われ、どさりと倒れ込む。 その眼は、もう赤を映さない。

2014-06-27 01:59:54
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