花婿イエス

随時更新。 ブラント・ピトル『花婿イエス』より。 ヨハネ福音書4:3-26の「サマリア人との対話」の場面。
10
金田一輝(俳詩人) @kanedaitsuki

これら旧約における井戸での「未来の花嫁」との出会いとイエスのサマリア人の女との出会いを比較するといくつかの類似点が見られる。男の方はみな異邦の地にいる。アブラハムの僕はイエスと同様に水を欲する。ヤコブは「正午」にラケルに出会う。 #花婿イエス

2014-06-29 15:20:35
金田一輝(俳詩人) @kanedaitsuki

これらの平行箇所は、モーセ五書の中にあることからも、古代ユダヤ人にとってはよく知られた物語だった。そしてここから一つのパターンが浮かび上がる。すなわち、以下の式。 異邦の男+女+井戸=婚約 #花婿イエス

2014-06-29 15:24:06
金田一輝(俳詩人) @kanedaitsuki

ちょっと脱線。いちおうフランシスコ会訳聖書を参照してみたが、このようなことは一切指摘されていない。 #花婿イエス

2014-06-29 15:28:10
金田一輝(俳詩人) @kanedaitsuki

このイエスとサマリア人の女との会話のシーンに、現代人の多くは「婚約」のニュアンスを感じ取ることはできないだろう。しかし、当時のユダヤ人にとってはどうであろうか。その例証の一つがイエスの弟子たちの反応である。 #花婿イエス

2014-06-29 15:33:49
金田一輝(俳詩人) @kanedaitsuki

「ちょうどそのとき、弟子たちが帰って来て、イエスが女の人と話しておられるのに驚いた。しかし、「何か御用ですか」とか、「何をこの人と話しておられるのですか」と言う者はいなかった。」ヨハネ4:27 新共同訳  #花婿イエス

2014-06-29 15:36:05
金田一輝(俳詩人) @kanedaitsuki

弟子たちがなぜ「驚いた」のかについては書かれていない。しかし、彼らが、単にイエスが「女の人」と話したから驚いたのではないだろうことは確かだ。イエスは至る所で女性と会話しているが、弟子たちは同様の反応はしていない。 #花婿イエス

2014-06-29 15:37:23
金田一輝(俳詩人) @kanedaitsuki

「彼らは、イエスが<井戸で見知らぬ女と話していた>ことに驚いたのだ。弟子たちは時折鈍くはあったが、ユダヤの聖書をよく知っており、この種の出会いが常に男女を結婚へと導くことを十分理解していた」 #花婿イエス p. 62

2014-06-29 15:40:57
金田一輝(俳詩人) @kanedaitsuki

ところで、サマリア人の女が「未来の花嫁」を表すとすると、おかしな点がある。当時のしきたりからすれば、彼女自身語る通り、ユダヤ人はサマリア人とそもそも交際しない。嫁に迎えるならなおさらのことであった。 #花婿イエス

2014-06-29 15:55:51
金田一輝(俳詩人) @kanedaitsuki

「サマリア人」については、クリスチャンの方々には説明不要とは思いますが、いちおう新共同訳の用語解説を引きます。「ユダヤ教に対抗して特別な教派を形成していた、サマリア地方の人々を指す。紀元前721年アッシリアの王サルゴン2世のサマリア攻略後、」 #花婿イエス

2014-06-29 15:58:48
金田一輝(俳詩人) @kanedaitsuki

「アッシリアの各地から集められた人々がサマリアに移住し、自分たちの宗教とユダヤ教徒を混ぜ合わせたものを信じていた。そのことからユダヤ人はサマリア人を正統信仰から離れたものと見なし、交わりを絶っていた。」 #花婿イエス

2014-06-29 16:00:23
金田一輝(俳詩人) @kanedaitsuki

フランシスコ会訳聖書註釈では、「残留者と入植してきた異民族との間に生まれた者の子供」としています。サマリア人は、血においても宗教においても、いわば、ユダヤと異邦人を混交した存在であったといえましょう。 #花婿イエス

2014-06-29 16:04:20
金田一輝(俳詩人) @kanedaitsuki

ここで読解を進める前に、途中で切ったヨハネの引用を再開します。ヨハネ4:13-26です。 #花婿イエス

2014-06-29 16:08:05
金田一輝(俳詩人) @kanedaitsuki

「イエスは答えて言われた。「この水を飲む者は誰でもまた渇く。しかし、わたしが与える水を飲む者は決して渇かない。わたしが与える水はその人の内で泉となり、永遠の命に至る水がわき出る。」女は言った。「主よ、渇くことがないように、また、」 #花婿イエス

2014-06-29 16:16:31
金田一輝(俳詩人) @kanedaitsuki

「ここにくみに来なくてもいいように、その水をください。」イエスが、「行って、あなたの夫をここに呼んで来なさい」と言われると、女は答えて、「わたしには夫はいません」と言った。イエスは言われた。」 #花婿イエス

2014-06-29 16:18:40
金田一輝(俳詩人) @kanedaitsuki

「「『夫はいません』とは、まさにそのとおりだ。あなたには五人の夫がいたが、今連れ添っているのは夫ではない。あなたは、ありのままを言ったわけだ。」」 #花婿イエス

2014-06-29 16:20:08
金田一輝(俳詩人) @kanedaitsuki

「女は言った。「主よ、あなたは預言者だとお見受けします。わたしどもの先祖はこの山で礼拝しましたが、あなたがたは、礼拝すべき場所はエルサレムにあると言っています。」」 #花婿イエス

2014-06-29 16:22:32
金田一輝(俳詩人) @kanedaitsuki

「イエスは言われた。「婦人よ、わたしを信じなさい。あなたがたが、この山でもエルサレムでもない所で、父を礼拝する時が来る。あなたがたは知らないものを礼拝しているが、わたしたちは知っているものを礼拝している。救いはユダヤ人から来るからだ。」 #花婿イエス

2014-06-29 16:24:17
金田一輝(俳詩人) @kanedaitsuki

「しかし、まことの礼拝をする者たちが、霊と真理をもって父を礼拝する時が来る。今がその時である。なぜなら、父はこのように礼拝する者を求めておられるからだ。神は霊である。だから、神を礼拝する者は、霊と真理をもって礼拝しなければならない。」女が言った。」 #花婿イエス

2014-06-29 16:27:18
金田一輝(俳詩人) @kanedaitsuki

「「わたしは、キリストと呼ばれるメシアが来られることは知っています。その方が来られるとき、わたしたちに一切のことを知らせてくださいます。」イエスは言われた。「それは、あなたと話をしているこのわたしである。」」 #花婿イエス

2014-06-29 16:28:44
金田一輝(俳詩人) @kanedaitsuki

再び寄り道。フランシスコ会訳聖書の註釈では、ヨハネ4:26「このわたしがそれである」は、「直訳では単に「わたしはある(在る)」」と。この含意はご想像におまかせします。 #花婿イエス

2014-06-29 16:32:35
金田一輝(俳詩人) @kanedaitsuki

サマリア人との出会いの場面が「婚約」を想起させるにもかかわらず、当時のユダヤのしきたりからしてサマリア人の女が通常考えられる「花嫁」ではないことは、サマリア人であることのほかにもう一点あることがここまでの引用で分かる。すなわち彼女は、複数の男性と結婚したことがある。 #花婿イエス

2014-06-29 16:41:06
金田一輝(俳詩人) @kanedaitsuki

今日において、結婚と離婚を繰り返すことは必ずしも珍しいことではないが、当時においては、推奨すべき行動とは考えられていない。実際、少なくとも「五回の離婚」を経た彼女は、現在は、夫ではない男性(つまり結婚していない男性)と生活を共にしている。 #花婿イエス

2014-06-29 16:44:37
金田一輝(俳詩人) @kanedaitsuki

「それでは、この奇妙な出会いから何が言えるだろうか? 一方で、イエスは意図的に、未婚の異邦の女性と、古代のユダヤ人にとっては衝撃的にみえる仕方で話しかけている。他方で、イエスは普通の意味で彼女に関心を持っているわけではまったくない。」 #花婿イエス p. 65

2014-06-29 16:48:27
金田一輝(俳詩人) @kanedaitsuki

「いろいろな事情があるとはいえ、イエスは独身の預言者であり、彼女は五回離婚し、現在別の男と暮らしているサマリアの女なのだ。この見かけ上奇妙な状況でのイエスの行動について何が言えるだろうか?」 #花婿イエス p. 65

2014-06-29 16:50:55
金田一輝(俳詩人) @kanedaitsuki

「多くの聖書学者が示唆していることだが、このサマリアの女は、サマリア人全体の象徴である。イエスは、彼らと花婿かつ救世主として関係を持ちたいと願っている。」 #花婿イエス p. 65 ここでピトルは重要な点を三つ指摘する。

2014-06-29 16:59:35