【アナ雪】アナとチビ九尾エルサ(1-1)【パロ】

なんか大きな耳にもふもふ尻尾が生えたチビ九尾エルサをアナちゃんが真人間に育てようと頑張るハートフルラブコメディーを書きたかった筈のなにか。なんか導入部だけなのにメチャ長いorz
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万屋和風愉菓子店@絶滅種のポンデ @yorozuya753

「あ、アナ研究員、お、落ち着き」 「あー、もぉ、あったまきた!もういいです!お父様に頼みますから!!」 「はひ!?ちょ、それは勘弁!いやマジ勘弁して!アナ様、あの」 「あー、親の七光りが役に立つときが来るとは思わなかったわー」 「あ、アナ様ぁ!ちょ、ちょっと待ってお願い!!」

2014-07-03 15:36:19
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ふん。いい気味。あたしはそう思いながら部屋を後にする。自分の研究室に戻って荷物を纏め終えてから、あたしはあの子に逢いに行った。 無菌室の中、やっぱり手枷と足枷と首輪で繋がれてた。拘束具から垣間見える赤黒い染みがある包帯が痛々しい。透明なガラス越しにノックをすると、耳と尻尾がピクリ

2014-07-03 15:38:58
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揺れた。あ、かわいい。 薄氷色の瞳にはまだ怯えた光が灯っているけれど、昨日よりは安定してるみたい。あたしは笑顔を浮かべながら無菌室に入り、「調子はどう?」と問い掛ける。けれど、こくんと小さく頷くだけ。あんなに激しく泣き喚いていたのが嘘みたいだ。なんとなく気まずい空気。

2014-07-03 15:41:53
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息を気持ち多めに吸うと、消毒液やら薬剤の匂いが鼻腔に充満した。 「あの、さ」 あたしの声に大きな耳がピルピル動く。なんか妙に可愛い。自然と頬が緩んでいく。 「あなたの名前、まだ聞いてないなって。教えてくれる?」 「……」 迷ったように視線を彷徨わせて、それから小さな口が開いた。

2014-07-03 15:43:50
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「……エルサ」 昨日から思っていたけれど、この子綺麗な声してる。「エルサ?」と聞き直すとまた小さく頷いた。 あたしはベッドに近寄り、しゃがみ込む。視線を合わせて「エルサ」と呼ぶと、また耳が微かに動いて、尻尾の先がふわっと揺れた。 「エルサ、ここを出てあたしの家に来ない?」

2014-07-03 15:45:25
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「え……?」 大きな目が見開かれて、小首を傾げてきょとんとする。すごく幼い表情。いや、年相応の顔が見れて、なんだか嬉しくなってくる。あたしはエルサの頬にそっと手を伸ばした。 「ぁ……」 ビクリと震えて、エルサは体を退く。だいじょうぶと囁いて、そっとそっと優しく頬に触れた。

2014-07-03 15:49:49
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「やめ、て……」 小さい泣き声。「ん?」って問い返すと、涙一杯の瞳に出会った。 「また、きずつけちゃう、から……わたし、やなの……でも、だから……だから、おかあさま、は……」 溢れた涙を指先で拭う。痛かった。昨日噛まれた傷に染みたのかもしれない。 「ごめんなさい、ごめんなさいっ」

2014-07-03 16:02:45
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あたしの体もそれなりに傷だらけ。でもこの子ほどじゃない。エルサは昨日とおんなじように手をペロペロと舐めて来る。あたしはまた苦笑して、小さな頭をよしよし撫でた。 「だいじょうぶ。だいじょうぶだから。もう痛いことも淋しいこともないから。あたしが一緒にいるから。ね?」

2014-07-03 16:05:32
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普通の子みたいに遊んで、勉強して、笑って、泣いて。たまに悪戯してあたしに怒られちゃったりして。でもちゃんと仲直りしたりしてさ。やってみようよ。ね? そう優しく語りかけると、悲しみとか諦めしかない瞳にキラキラ輝く何かが灯った。 「ふつうの、こ?」 「そ。人間の、普通の子供」

2014-07-03 16:08:06
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「にんげん、の?」 「そ」 「……わたし、にんげんで……いいの?」 「え、違うの?」 茶目っ気でそう返したんだけど、エルサには通じなかったみたい。エルサは「わかんないの」と首を横に振って哀しそうに目を伏せた。 「そっか。んー。じゃあさ、好きな方を選べばいいんじゃない?」

2014-07-03 16:11:01
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こんなこと、本当は言っちゃいけない事なんだろうけど。でも子供の未来を大人が決めつけちゃってもいかんだろうし。あたしはこの子がどんな風に進むのか見てみたい気がするし。あーぁ。エルサ「え?」ってキョトンってしちゃってる。ちょっと可愛いよね、それ。

2014-07-03 16:13:02
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「でね、エルサちゃん。お返事貰える?」 「おへんじ?」 「そ。さっきの話。あたしの家に来ないって」 「……」 「ここにいたら、たぶんダメになっちゃう。痛いことと苦しいことばっかで……」 「……でも」 「でも?」 「ここにいれば、みんなおかあさまのこと、こうげきしない……でしょ?」

2014-07-03 16:15:51
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「は?」 何の話をしてるんだろう?そんな話、一個も聞いてない。 「なんかキナ臭くなってきたわね……」 「ぅ?」 「うーうん。なんでもない。そっか。じゃあお返事はNOってこと?」 「……」 少し間を空けてから、エルサは小さく頷いた。あたしが大袈裟に肩を落とすと、エルサはまた「ごめん

2014-07-03 16:17:38
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なさい」って繰り返して涙を浮かべた。 「ううん。いいよ。仕方ないよ。行きたくないなら」 「ちがうの。そうじゃないの……でも、こわいの。あなたみたいなやさしいひと、こわいの」 わけ聞きたくて「どうして?」と問い返すけれど、エルサはふるふると首を振って答えない。耳が垂れ下がって眉を

2014-07-03 16:19:48
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下げて、ただ涙を零す。そんな困り顔されると、こっちが困ってしまう。まぁ、あたしのなかで結論は出てるけど。 「泣かないで、エルサ」 「ごめんなさっ……」 「いいよ。ってかあたしも先に謝っておくわ」 「え?」 「あたし、今からエルサのこと誘拐するから」 「……え?」

2014-07-03 16:22:13
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ポカンとしてるエルサにあたしは誤魔化すように「えへへ」と笑う。エルサは更にポカンとした。 「はい。てなわけで行こっか!」 「えぇぇ!?な、わたしいかないって」 「はいはい。NOのお返事は頂きましたよー。だから仕方なく誘拐をするの」 「そ、そんな!いみわからな」

2014-07-03 16:24:58
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「はーい。点滴抜くねー」 「やっ! いっ……!」 「ごめんね。拘束具は……後で外してあげるわ。とりあえず急がないと!追手が来ちゃう!」 「おって?」 噂をすれば影。ってほんとね。遠くから「アナ研究員ー!!」って呼ぶ声が届いてきて、あたしはげんなりした。 「エルサ、行くよ!」

2014-07-03 16:28:47
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エルサを抱き上げると「ひゃぁ!」っていう可愛らしい小さな悲鳴。抱き上げた体が軽すぎてビックリした。これきっと拘束具で重さがあるだけな気がする。不安からか、あたし達の周りに雪が舞った。あー、これじゃあ簡単にバレて追跡されそうだけど。「ちゃんと掴まってて」と耳打ちして走り出した。

2014-07-03 16:32:34
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研究室に篭りっきりの人たちは違い、アナは煮詰まるとジムに通って体を動かしているので、体力には自信がある。施設内は昨日の騒ぎで色々な防犯装置が壊れているのも手伝って、アナはエルサの誘拐にまんまと成功したのであった! 【チビ九尾エルサ 第一部 完】

2014-07-03 16:36:53