今、改めて生活保護と扶養義務のあり方を考える~生活保護が空洞化する前に(7/12近弁連研修会まとめ)

7月12日(土)に開催された近畿弁護士連合会の表記夏期研修に参加させていただきました。内容をツイートしたものをまとめましたので、かなり長いですがご覧下さい。 なお、この研修はIWJガネット中継していましたので、下記から動画が視聴できます。 動画(前半)http://www.ustream.tv/recorded/49941308 動画(後半)http://www.ustream.tv/recorded/49944248
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徳武聡子 @Satoko_Tokutake

生田さん)悩んで決断する人や、扶養照会があるなら生活保護を諦める人も。元妻はともかく、子どものところに扶養照会がいくのは死んでもイヤだと、野宿を続ける人もいる。野宿の状態が家族に堪えられない、と隠す人も。自分は(子を)捨てた方だから、という負い目を感じる人もいる。(続

2014-07-12 15:27:23
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

生田さん)一方で20~30代の若い人の野宿が増えている。深夜のマクドナルドには1人はいる、多い店では7~8人も。電話相談も若い人が増加。若年の野宿者の実家は2タイプ。一つはひとり親家庭。親が「あの子には帰ってきて欲しくありません」といったり、実家が生活保護を受けていることも。続

2014-07-12 15:29:45
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

生田さん)もう一つのタイプは虐待があって、帰れないというケース。こういう場合には、扶養照会により家族関係を悪化させることが多い。扶養所解があるために、その人の生活が成り立たないことになるので、扶養照会はない方が良いと現場では感じる。(続

2014-07-12 15:30:45
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

生田さん)逆に扶養照会があるために親との縁が切れないと言うこともある。親や親族から逃げていても、扶養照会により居場所が分かって縁が復活してしまう。相談事例▲親が鬱に無理解でで働けといわれ鬱が悪化▲母親が再婚して義父と折り合いが悪い▲関係が悪く勘当されていて帰れない。等(続

2014-07-12 15:34:02
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

生田さん)本人が精神的に不安定な状態が多い。扶養照会無しで生活保護が受けられれば本人のためにも良い。中には扶養所解がきっかけで家族との関係が修復する人もいるが、1割程度。貧困の自己責任から血族責任に。それは貧困の解消に役に立たない。以上

2014-07-12 15:36:00
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

奥森さん)職場での取り組み。生田さんの紹介した事例は、私たちの職場では扶養照会をしない。国の通知をしっかり運用すれば、そういう場合には扶養照会をしないで済む。なぜそれができるのかを報告する。(続

2014-07-12 15:37:07
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

奥森さん)生活保護法第4条で補足性の原理。資産や納涼の活用は要件だが、扶養は「優先」するとされている。厚労省の実施要領でも、扶養は保護の要件とは異なる位置付けをしている、保護の要件の「その他あらゆるもの」の活用は本人の努力により容易に資産となるものを指していると記載。(続

2014-07-12 15:39:45
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

@Satoko_Tokutake 【誤字】納涼の活用→能力の活用

2014-07-12 23:14:39
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

奥森さん)扶養は、扶養義務者自身が「この人を扶養する」といわない限り要件には含まれない。本人がお願いして扶養が実現する様な場合でない限り、「優先」(仕送りを収入認定して保護費から差し引く)するものでしかない。(続

2014-07-12 15:41:18
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

奥森さん)福祉事務所の調査の流れ。扶養義務者の存否の確認をし、扶養能力があるかどうかを聞き取り、扶養を期待できる人に扶養照会をする。扶養義務の履行が期待できないとわかれば、扶養照会は不要となっている。それが正しい扶養調査のあり方。扶養義務者の存否の確認は戸籍照会をすることも。(続

2014-07-12 15:43:48
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

奥森さん)実際に存在が判明した扶養義務者について、扶養してもらえそうかどうかの聞き取りをする。扶養義務者が自分の生活で手一杯であるなら、扶養が期待できないとして扶養照会しない。親子関係があっても扶養の可能性が期待できないなら、重点的扶養能力調査対象者にならないのが国の考え方。(続

2014-07-12 15:45:23
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

奥森さん)扶養義務者への調査は、扶養義務者が管内にいるなら実地調査、管外なら文書照会。重点的扶養義務能力調査は、回答期限を付して書面調査。返送がなければ、「それをもって扶養の可能性がないと取り扱って良い」なっている(別冊問答集5-12)。(続

2014-07-12 15:47:24
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

奥森さん)直接の扶養照会が適当でない場合は、扶養の可能性がないものとして取り扱う。扶養の可能性が期待できない人とは、被保護者、施設入所者、長期入院者、主たる生計維持者ではない稼働者、未成年、70歳以上、20年以上の音信不通、DVや虐待の場合など。課長通知問5-2、別冊5-1(続

2014-07-12 15:49:38
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

奥森さん)これらの規定をちゃんと活用すれば、先ほどのような事例は扶養照会をしないでいい。扶養の可能性が期待できない場合は、生活保持義務関係者でなければ個別に慎重な検討をした結果、扶養の可能性がないと取り扱って良い。検討結果はケース記録などの記載。扶養照会をするのはごく僅か。(続

2014-07-12 15:51:18
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

奥森さん)重点的扶養能力調査をすることになっているが、例えば、子どもが居る場合など就学費用のために長期の家計の状況は変わらないので、就学費用がかからなくなった場合の調査でよい。住宅ローンの場合なども。毎年やる必要もない。(続

2014-07-12 15:52:32
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

奥森さん)自分の居る福祉事務所では、仕送りを収入認定する事例は1件のみ。扶養照会にどのような意味があるのか。一律に扶養照会を行うのは、厚労省の通知にも反している、極めて残念。扶養照会により保護申請の意思が萎縮させられることに一番の意味があるのではないかと危惧。(続

2014-07-12 15:54:24
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

奥森さん)ただし、家族関係の復活になる場合もある。自分の福祉事務所では、扶養照会をする場合に必ず職員が手書きの手紙を添える。失われた親族関係の修復や改善に対して、扶養調査は意味がある。社会的孤立を防ぐ、そういう支援という意味で、とっかかりを作るというのは重要と思っている。以上

2014-07-12 15:55:43
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

本日の近弁連夏期研修会「今、あらためて生活保護と扶養義務のあり方を考える」の中の扶養照会のあり方については、連TWもしましたが、文字ばかりではわかりにくいので、中継動画(00:26:25あたり)を見ていただいた方がいいかもしれません。ustream.tv/recorded/49944…

2014-07-12 21:32:54
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

竹下博將弁護士)家事事件における生活保護の問題。主に養育費と婚姻費用について。生活保持義務について、どの程度の養育費を払えばいいか算定表が発表されるまで、各家裁で試行錯誤。算定表は子どもの年齢、人数などごとに19の表を作成し請求者・非請求者の収入を見れば算定できる。これが定着。続

2014-07-12 16:00:34
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

竹下弁護士)この算定表が作成されるにあたって生活保護は、必要な生活費指数を出す際に生活扶助基準を用いたという以外には何も考慮されていない。父の額面収入17万だと可処分所得は11万、最低生活費は10万7000円なので養育費を支払えば最低生活を割り込むのに、生活保護は利用できない。続

2014-07-12 16:06:06
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

竹下弁護士)婚姻費用や養育費を支払うと最低生活費を下回っても、それを補填するシステムはない。裁判所に支払を命じられば、最低生活以下の生活を強いられる。母子家庭の方が生活保護を利用していれば、養育費をもらっても保護費が減るだけ。行政の負担が減る以外のメリットがない。(続

2014-07-12 16:07:44
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

竹下弁護士)もう一つの問題がある。父親の収入が多い場合、養育費・婚姻費用を負担しても最低生活費以上の生活ができるが、母子世帯は養育費をもらっても、やはり生活保護を利用せざるを得なくなることもある。その場合に、養育費をもらうより、生活保護を利用しようと言うことになる。(続

2014-07-12 16:10:45
徳武聡子 @Satoko_Tokutake

竹下弁護士)父母の生活水準は大きく異なることになる。それなら、父親の方がもう少し、(母子世帯の収入が最低生活費以上になるように)し多く養育費を払ったらいいのではないか。より実質的に子どもにお金を使えることになる。(続

2014-07-12 16:12:33