不知火に落ち度はない その6

@yamoto 氏の #不知火に落ち度はない をまとめました。 以下本家より抜粋 【不知火に落ち度はない】 続きを読む
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yamoto @yamoto

街郊外のビアホール。 携帯片手にビールを飲んでる俺が居て、対面には楽しげに肉を焼いてる長門がいる。 近頃のビアホールって焼肉バイキングもついてるから素敵。飲めない人でも安心のグルメフェスタである。 「あれで良かったのか?」 「あれ以外やりようねーって」 #不知火に落ち度はない

2014-07-12 16:28:49
yamoto @yamoto

携帯の画面には頭を悩ませる内容のメッセージがさっきから連続で続いてる。 俺は逐一それに返信し、その度にビールをちびちびと飲むことにした。 「どうせ首のすげ替えが起きるだけだと思うぞ」 「やるべき話は全部リークした。表沙汰にならんだけだ」 #不知火に落ち度はない

2014-07-12 16:40:13
yamoto @yamoto

「明日には病気療養でトップが引退、新体勢切り替えって話になるはずだ」 「すっきりしない話だな。ほら、焼けたぞ。あーん」 「あーん」 うむ、肉うめえ。 悩ましいメールを送り返す間の僅かな癒しにはちょうど良い。 行儀が悪いと言われても最優先はこれなのだ。 #不知火に落ち度はない

2014-07-12 16:46:36
yamoto @yamoto

「うまいか?」 「肉サイコー。肉は偉大だな」 「ではもう一つ。あーん」 「あーん」 絶妙な焼き加減である。 ストレス緩和には最高だな、肉。 メールの中の陰惨な現実から目を背ける力をくれる。 『RE: 事情というのをご説明下さい』 陰惨だ。 #不知火に落ち度はない

2014-07-12 16:59:09
yamoto @yamoto

「お姫様はご機嫌斜めなのか?」 「副官だっつの。あれのどこがお姫様だ」 「だったら甘やかしすぎだ。びしっと言ってやるといい」 「怖いからムリ」 『RE: この件に関しては、長くかかるから後日に』 送信ボタンを押す。ちなみにこの文面5回ループしてる。 #不知火に落ち度はない

2014-07-12 17:06:29
yamoto @yamoto

「私が代わりに言ってもいいぞ」 「やめろ下さい。無事鎮火する自信ない」 「はい、あーん」 「あーん」 肉旨し。 携帯が鳴って、メール着信。 開くと副官からの愛のメッセージがポップする。 もういっぺん携帯の電源落としたい。 #不知火に落ち度はない

2014-07-12 17:14:17
yamoto @yamoto

「仕方ないな。ちょっと貸してみろ」 「あ、おい?」 メールの内容を見る前に、長門が俺の携帯を奪取。 カメラの撮影音がし、次にメール送信音が鳴る。 「おま、一体なにしてくれてんの!?」 「食事ぐらいしっかり取らせてやれという当たり前の説教」 #不知火に落ち度はない

2014-07-12 17:20:37
yamoto @yamoto

「……おい。これ」 「何一つ恥じることなどない。事実だ」 奪い返した携帯のメール送信履歴を見ると、 『件名:しょくじちゅう 本文:じゃまするな』 というメールの文面に、箸で肉を掴み若干不機嫌そうな顔の長門の写真が添付されていた。 #不知火に落ち度はない

2014-07-12 17:33:55
yamoto @yamoto

あ、うん。これ俺でも遠慮するわ。 このメスゴリラの餌奪うの、誰でも躊躇するわ。 すまん不知火。多分ビビったろうな。 「もうフォローのメールもいれなくていいぞ。それよりほら、あーん」 「あーん」 おにくおいしい。 明日フォロー入れればいいだろ。 #不知火に落ち度はない

2014-07-12 17:43:35
yamoto @yamoto

「ところで」 「あん?」 肉を食って舌鼓、ビールも美味しく頂ける。 そんな天国的状況の中、長門が自分の分を啄みつつ問うてくる。 「このあとホノルルマラソンする?」 「完走できる気がしねえよ」 「それは残念」 流石メスゴリラ。野生はいつでも残してる。 #不知火に落ち度はない

2014-07-12 17:51:42
yamoto @yamoto

「じゃ、また今度で」 「その今度は一生こねーから」 「あーん」 「肉で懐柔しようとすんな」 そうやってバカな会話を繰り広げつつ、今日一日のことを肉と一緒にビールで飲み下していく。 たまにはそういうことも必要であると知る、そんな1日の終わりであった。 #不知火に落ち度はない

2014-07-12 17:59:29
yamoto @yamoto

「不知火ー。何してるのー?」 「陽炎ですか。ご覧の通りカタツムリごっこです」 「……。ははーん?」 「何でしょうか」 「毛布蓑虫のぬいぬいつむりさん。私これから漫画読む」 「はあ」 「だから何言われても、適当に聞き流すよ」 「……助かります」 #不知火に落ち度はない #おまけ

2014-07-12 18:12:15
yamoto @yamoto

「お、長門。駐めてくれ」 「なんだ? ケーキ屋に用でも?」 「土産。買って帰ってやらんと」 「……。本当、甘やかし過ぎだな」 「うっせうっせ。まだこれぐらいで騙されてくれる歳なんだぞ」 「はいはい。私はもうそれじゃあ騙せないものな」 #不知火に落ち度はない #おまけ

2014-07-12 20:02:10

酒! 飲まずには居られない!! な浜風回

yamoto @yamoto

今日の司令室は俺以外いない。 不知火は今日休みだ。 やることがないから休みと昨日言ったのだから当たり前だし、あいつもこれ幸いと好きに過ごしてるだろう。 「あー、たばこうめー」 秘書艦いない間の一服最高。 #不知火に落ち度はない

2014-07-13 14:46:16
yamoto @yamoto

「ついでだ、一本頂こう」 足下の隠し棚。そこを開いて中からウイスキーを一本出す。 ボウモア25年。こないだの激戦をくぐり抜けた未開封品である。 封を開いて早速グラスに注ぐ。 年数を重ねたグラマラスな芳香が鼻をくすぐる。 ああ、満たされる。 #不知火に落ち度はない

2014-07-13 14:51:10
yamoto @yamoto

口をつけるとその香りは脳の奥まで痺れさせる。 舌の上を転がるアルコールの感触と共に、胃の奥に流れ込む深い香りにしばし酔う。 この酒はバカ飲みのためのものじゃない。こうして一人か、あるいは二人で飲むべきものだ。 昼間っから飲むって最高。 #不知火に落ち度はない

2014-07-13 14:52:58
yamoto @yamoto

「あ、灰皿灰皿」 いかんいかん。ここでトントンと灰を落としたらいくらなんでもバレる。 コーンスープ缶どこいったっけ。 探してると早速司令室のドアがノックされる。 あ、いかん。これヤバいパターンだ。 俺は早急に隠蔽手段を考える。 #不知火に落ち度はない

2014-07-13 14:55:42
yamoto @yamoto

しかし、ない。どこを見てもない。 ドアがもう一度ノックされる。これはいよいよもって不味い。 ええい。しゃーねーな。 煙草の火を指で摘み、一瞬で揉み潰す。 ジュッ、とは言わなかったが充分熱い。 そして、火は消え、指はヤニ臭がくっついてしまった。 #不知火に落ち度はない

2014-07-13 14:58:59
yamoto @yamoto

「どうぞ」 手袋を填めて匂いをシャットアウト。 声をかけるとドアが開き── 「失礼します、提督」 見覚えのある目隠れトランジスタグラマーの姿があった。 お、なんだ浜風じゃん。 #不知火に落ち度はない

2014-07-13 15:24:46
yamoto @yamoto

「よ。何か用か?」 「……?」 俺の言葉を無視し、すんすん、と浜風が鼻を鳴らす。 なんだろうか。気になる匂いでもあるのだろうか。 そんなことを思う間に浜風はドアを閉める。かしょん、と音がした。 ん?かしょん? #不知火に落ち度はない

2014-07-13 16:00:52
yamoto @yamoto

「おいおい、浜風一体……」 そのままつかつかとこちらに向かって歩いてくる浜風。 両手を腰に当ててすう、と息を吸い込み。 「こらああああああああああああああっっっ!!!」 半分裏返ってるぐらいの大声で怒鳴られた。 思わずびくっとなってしまった。 #不知火に落ち度はない

2014-07-13 16:03:17
yamoto @yamoto

え、なに? 俺今なんで怒られたの? 「なんで司令室で煙草吸ってるんですか、提督!!」 「不知火が居ないから?」 バレなきゃセーフだって。 「それになんで真っ昼間からお酒飲んでるんですか!!」 「不知火が居ないからだな」 昼間からの酒、最高。 #不知火に落ち度はない

2014-07-13 16:05:46
yamoto @yamoto

「おっと、巧みな誘導尋問にかかるところだったが、今は吸ってないぞ。匂いがこもってるだけだ」 「ついさっきまで吸ってる匂いですこれ。灰皿どこですか」 ふふふ。よくぞ聞いてくれた。 「無かったんで揉み消した」 「……は?」 煙草の吸い殻を見せる。 #不知火に落ち度はない

2014-07-13 16:09:29
yamoto @yamoto

「そんな怒るなよ浜風。不知火みたいだぞ」 あいつはもっと淡々としてるが。 「不知火さんに言いつけますよ、その件含み」 「泣いて謝る準備はいつでもある。勘弁しろ浜風」 「はあ……とにかく換気しないと」 浜風は呆れたように扇風機の風を外に向けた。 #不知火に落ち度はない

2014-07-13 16:32:05
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