不知火に落ち度はない その8

@yamoto 氏の #不知火に落ち度はない をまとめました。 以下本家より抜粋 【不知火に落ち度はない】 続きを読む
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yamoto @yamoto

「不知火は構いませんよ。長門長門と言われて、正直うんざりしてますんで」 「ンなに言ってねっつの。お前何長門に対抗意識むき出しなんだよ」 「ほら今言いました」 小学生かお前は。 気づいたら椅子から立って、俺の目の前にいるし。 #不知火に落ち度はない

2014-07-17 22:56:34
yamoto @yamoto

「どうぞ、長門さんといちゃいちゃしてください」 「しねえっつの」 「司令室で長門さんと二人っきり、いいですよね」 「よくねえだろ。あいつは拠点制圧の控えだ」 「そうですか。事情がなければ長門さんと二人で──」 「いい加減にしろよ、不知火」 #不知火に落ち度はない

2014-07-17 23:00:38
yamoto @yamoto

「意地になってるのは司令の方ではないでしょうか」 「何がだよ」 「素直に長門さんに頼ってしまえばいいかと思います。待ってるのでは?」 「んなわきゃあるか」 「不知火は長門さんの代わりでしょう?」 「……。あー、わかった」 めんどくせえ。 #不知火に落ち度はない

2014-07-17 23:05:03
yamoto @yamoto

「駆逐艦不知火」 「え?」 「これより副官の任務を解除。待機状態に移行」 「……し、司令?」 お前の望み通りにしてやる。 「後任は長門。引き継ぎは正式に文書で出す」 不知火の顔が一瞬で青ざめた。 ほらな。自分が外されないって思ってる奴はこうなる。 #不知火に落ち度はない

2014-07-17 23:12:27
yamoto @yamoto

「し、司令」 「頭冷やしてこい、不知火。お前が何で秘書艦やってたのかとかな」 顔面蒼白。不知火はカタカタ震えてる。 知ってる。お前意地っ張りで、NG食らうとダメージでかいってな。 「解任理由が必要か? 休養の要請と判断した」 お前そう言ってるしな。 #不知火に落ち度はない

2014-07-17 23:17:40
yamoto @yamoto

「こういう結果になって残念だ」 おきまりの文句も出してやろう。 実際お前優秀だもの。普段文句の付け所ゼロだもの。 だが、ほっといたらお前、かなり不味いことになるぞ。 俺の胃が痛いとか以前にな。 「し、不知火は……」 「書類貸せ。俺が処理する」 #不知火に落ち度はない

2014-07-17 23:30:21
yamoto @yamoto

「今日の分の仕事、俺が済ませる。お前は下がって良いぞ」 解任状も作り出す。この場でちゃっちゃと済ませましょう。 少し離れりゃ、こいつは頭冷やす。 仕事は増えるがしょーがねー。 メスゴリラが受けるかどうかは別問題だしな。 あいつ相当気まぐれだから。 #不知火に落ち度はない

2014-07-17 23:38:34
yamoto @yamoto

「ぃ……や」 ぼそ、と呟く声が聞こえた。 ん? 印判どこやったっけな。 あ、そっか机の中か。 「いやっっ!!!」 と、開けた瞬間手が伸びた。 すぱっとその中から決済印判が抜き取られる。 当然取った奴は一人しかない。 そう── 「不知火」 #不知火に落ち度はない

2014-07-17 23:44:12
yamoto @yamoto

「渡さないわ…ッ…」 震えながら、印判を持つ不知火が居る。 お前ね。 「返せ、それ重大な軍規違反だぞ。独房行きだぞ」 「そんなの、知らない」 立ち上がると、じりじり下がる。 猟犬が子鹿に変わっていく。 仕方ねえな。 #不知火に落ち度はない

2014-07-17 23:47:53
yamoto @yamoto

こいつが何やるかはわかってる。 俺はすぱっと地面を蹴って駆け出す。 不知火は即反応。 横に飛んで回避。 知ったこっちゃねえ。 そのまま真っ直ぐ移動して、ドアの錠を下ろす。 これでこいつはお外に出られません。 #不知火に落ち度はない

2014-07-17 23:51:21
yamoto @yamoto

「不知火。これで逃げ場ないからな」 声にも出して宣言。 そんなことはわかってると言わんばかりに、口元を歪める不知火。 手に印判を握ったままで腰を低くして戦闘態勢に入る。 さーてと。 じゃ、訓練開始な 床を蹴って、そのまま片腕を取りに行く。 #不知火に落ち度はない

2014-07-17 23:53:38
yamoto @yamoto

弾く。取る、弾く。取る。 こいつは基本に凄く忠実だ。 俺の教えた通りのことを、何度も反復練習で覚えてる。 だからこそ、隙は少ない。 動きはコンパクト。 最小限の労力で相手をいなす手を山ほど教え込んだ。 ただ、残念だな不知火。 #不知火に落ち度はない

2014-07-18 00:00:13
yamoto @yamoto

俺、破り方も熟知してるんだわ。 腕を取るフェイントをかけ、見誤ったところでぱんと足を払う。 不知火の細い身体は宙をぐるりと周り、制御を失う。 そこで腕を取って自分の制御下に置くと、あとはお好きに状態。 床でも壁でも好きな方向に叩きつけられる。 #不知火に落ち度はない

2014-07-18 00:08:43
yamoto @yamoto

当然──しないけどな。 そのままいつものお姫様だっこ。 壊れ物は丁重に扱いましょう、ってな。 「ほい、捕獲成功。お話をしましょーか」 にっこり笑うと不知火は、目を鋭くして言う。 「話す事なんて──」 もうないわ。 不知火は手を振りかぶり。 #不知火に落ち度はない

2014-07-18 00:10:53
yamoto @yamoto

印判を投げた。 小さな「それ」は空を飛んで、窓から外へダイビング。 さあて、どこまで行くのやら。 「早く取りに行かないと大変なことになるわよ、司令」 「あー、そうな?」 すっごいいい顔してるな不知火。 お前なにかいいことあったのか? #不知火に落ち度はない

2014-07-18 00:15:14
yamoto @yamoto

「ま、いんじゃねーか?」 「は──?」 当然ヤバいですよ。大目玉どころじゃないですよ。 下手すりゃ解任とかあり得るかもね。 でもやっちまったもんは仕方ないよなあ。 「今ので気ぃ済んだんだろ?」 「司令……」 ばかじゃないの、と不知火は言った。 #不知火に落ち度はない

2014-07-18 00:19:25
yamoto @yamoto

「何だ。取りに行って欲しいのか?」 「だってそれが当たり前──」 そんな不知火の鼻面を指で押し込んでやる。 むぎゅ、と面白い声が出た。 超ウケる☆ 「タダの印判と優秀な部下、取るなら後者が当たり前だろ」 ウチは人材を重視しますから。 #不知火に落ち度はない

2014-07-18 00:24:47
yamoto @yamoto

「不知火の方を取ったと言いたいの?」 「そうですが何か」 「さっきまで外すって言ってた癖に」 「そうですけど何か」 「司令は何がしたいの?」 「部下と良好な関係を常に目指してますが何か」 「不知火をどうしたいの」 「話し合いたいって思ってますが」 #不知火に落ち度はない

2014-07-18 00:31:06
yamoto @yamoto

「……司令。一番不知火が聞きたいことがあるんだけど答えてくれる?」 「内容次第だ」 「昨日何で、逃げたの?」 えぐりこんでくるなあ。 でも答えんわけにはいかんだろなあ。 「お前、ああ言う形ですぐしなきゃならんと思ったわけ?」 #不知火に落ち度はない

2014-07-18 00:35:20
yamoto @yamoto

「疑問を疑問で返さないで」 涙目で言うな。 なんか悪いことした気分で一杯ですよ。 「事故で済ませるつったろ? それでいいのお前?」 「──っ。それは」 「俺はやだけどな。そんな一晩の関係とか」 うわ、恥ずかしい。なんだこれ。 #不知火に落ち度はない

2014-07-18 00:43:10
yamoto @yamoto

「司令は不知火のこと──どう思ってるの」 涙目で聞くな。 涙目で聞くな。 涙目で聞くんじゃない。 凄い答えづらくなんだろそれ。 プレッシャーというか圧力というか。 ここで肯定的答えを返さないと、もっぺん爆発しますっていう脅しじゃないかこれ。 #不知火に落ち度はない

2014-07-18 00:46:42
yamoto @yamoto

さて、どう答えたもんか。 変な答えだと、大爆発。 普通の答えだと、嘘になる。 こいつの「恋愛」と俺の「愛情」じゃイコールにならない。 その辺を考えた上で逃亡という選択肢を選んだわけだが。 見上げる涙目が言っている。 ──絶対逃がさない、と。 #不知火に落ち度はない

2014-07-18 00:53:56
yamoto @yamoto

「三年経ったらもっぺん聞け。それまでは保留」 そしたら、ちょっとはわかるだろ。 言いたいこととかそういうあれこれ。 この戦争ももしかしたら終わってるかも知れないしな。 ってわけで答えは保留。 今のこいつに手ぇだす気ありません。 #不知火に落ち度はない

2014-07-18 01:03:39
yamoto @yamoto

「……ずるい。そんなのずるい」 「知らなかったか。大人はずるいんだ」 口を尖らせる不知火に答える。 勘弁しろって。 「じゃあ、昨日のは何なの?」 「あー……」 またしても答えにくい言葉を返してきた。 だってお前、あのままじゃ納得しなかったじゃん? #不知火に落ち度はない

2014-07-18 01:10:42
yamoto @yamoto

「手付けってことにしとけ」 それ以上に、ベストな答えが見つからなかった。 そうじゃないと納得しないだろう。 「手付け。そう、そうなのね」 うっすらと微笑む不知火。 あれ? 涙目モードじゃなくなってますよ。 そう思う間もなく、俺の顔を手が挟み込む。 #不知火に落ち度はない

2014-07-18 01:15:45
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