不知火に落ち度はない その8

yamoto @yamoto

ドアを抜け、入口をくぐり。 そのまま道路に足を運んで──通りかかったタクシーに向けて手を上げた。 「旦那、どちらまで？」 「24時間やってる喫茶店かバー、どっちかで」 「あいよ」 そうして俺は時間つぶしの旅に出た。 約束朝までだし。悪く思え、不知火。 #不知火に落ち度はない

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提督の決断：撤退戦　#落ちぬい

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そうして、俺はタクシーの運ちゃんオススメの喫茶店で朝まで時間をたっぷり潰し、モーニングセットなどを頂いた。 すげーなこの店、コーヒーに100円足すだけで超ボリュームのトーストとサラダと卵が付いてくる。 当然携帯の電源はオフ。 マナー大事ですしおすし。 #不知火に落ち度はない

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チェックアウトの時間になり、戻ってみると不知火はすっかり寝ていた。 恰好は、なんと驚き。普通に服着てた。 これは陽炎の仕込みがあったと見える。 携帯電話の履歴を見ると、朝の6時とあり、不知火と眠気との戦いが伺えた。 #不知火に落ち度はない

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そうして、寝てる不知火を起こさぬように、バーから引っ張ってきた車にのっける。 シートベルトをかっちりしめて、安全確保。 約束の有効期限は朝までで時間切れ。 これで起きても何の文句も出ないだろう。 さあて。 とっとと帰るとするか。 #不知火に落ち度はない

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車は朝のハイウェイを飛ばしていく。 もう二度と、あの間違いは犯さないようにしなければ。 隣の「愛しの副官殿」を見やる。 暢気な物で、風を浴びながらすやすやと眠っていた。 こうして寝てりゃ随分可愛いのだけども。 昨晩は相当気が立ってたんだな。 #不知火に落ち度はない

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ラジオから流れるBGMはプリティウーマン。 うっせ黙れ空気読まないラジオめ。 アクセルを踏み込みながら、車が速度を上げていく。 その日はそんな日。 俺の過ちで、不知火が事故ったりした日。 後が死ぬほど怖そうな結果を引いた、そんな日だった。 #不知火に落ち度はない

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「やあ、司令。どうだった、不知火は」 「やっぱお前の仕込みかメスゴリラ」 「優しくしてやったんだろう？ 私と同じように」 「するかバカ。お前と一緒にすんなっつの」 「……え？」 「なんだそりゃ？」 「いや……う、うん。予想以上というか……」 #不知火に落ち度はない #おまけ

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「司令。しなかったのか？」 「途中で不知火が正気に戻してくれたわい。ったく…」 「うわ……ああー。これは責任感じるなあ」 「お前まだやる気じゃないだろうな」 「いや、さすがにこれは……」 「すんな。俺で何とかする」 「無理だなぁ……」 #不知火に落ち度はない #おまけ

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というわけでおしまし。 予想を超えられてしまったビッグセブンのうわぁ感が凄い。 是非このダメな駄提督にお怒りのFAXお待ちしてます。 #落ちぬい

🌝ひろみち🌞 11/23 東３ ア55ab @p__hiro

どうして？ あの人にはしたのに 不知火が子供だから？ #落ちぬい絵姿 提督の気持ちが分からなくて悶々として泣いてそうだあ...₍₍ (ง ˘ω˘ )ว ⁾⁾ pic.twitter.com/Z90Yk6NlD4

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パチン パチン と 音が執務室に響く。 俺の爪切りの音である。 目の前には黙々仕事をこなす不知火の姿。 こいつは今日も朝早くから執務室にいて、今もなお仕事中である。 昨日のことなどすっかり忘れてるご様子にも見えるだろ？ だけどな。 #不知火に落ち度はない

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「月次報告書の件だけどな」 「不知火は知りません。司令でどうぞ」 これである。 怒気たっぷりの低音で返すのである。 不知火の周りだけ温度が20度は低い。 やっぱこれ俺のせいですかね？ #不知火に落ち度はない

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朝から昼を過ぎ、夕方を迎えてもこの有様である。 いや、怒ってるのはわかる。 約束を破ったわるーい大人は俺であるからして。 しかし、それでボイコットしないのって何でだという疑問湧かないか？ なお、会話はとりつく島もないので二言以上続かない。 #不知火に落ち度はない

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あん？ 間違ってただって？ んなわきゃあるか。対応としちゃ上々だ。 あそこで手ぇ出すような奴になりてーとは、到底思えんわ。 不知火の年齢をちゃんと考え直せ。 「コーヒー頼むわ」 「司令でどうぞ。不知火は忙しいので」 突っぱね回数20回目である。 #不知火に落ち度はない

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諦めてコーヒーを煎れる。 あ、ウチの司令部豆から派なんで旨いぞ。 そこの優秀な副官様が趣味で煎れるから。 結果、今インスタントに成り下がって俺のクオリティダダ下がりである。 あー。煙草すいてえ。 吸うかいっそ。 #不知火に落ち度はない

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早速煙草に手を伸ばす。 くわえてるだけだからセーフだと思ったんだが。 「禁煙です」 と、不知火が怒り120％の顔でしゅばっと煙草を引っこ抜いた。 唇の皮ごと持っていったあたり、こいつわかってる。 なにこれすっげえ怖い。 あと痛い。 #不知火に落ち度はない

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よっぽどのバカもでないなら、この状況が不味いのはわかる。 ただ仕事時間中に話を持ち出すのは、いかんともわかる。 結果、仕事を潰していくだけの時間になる。 大変空気が宜しくない。 「演習の件だがな……」 「資料はまとめてあります。それで充分かと」 #不知火に落ち度はない

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資料はまとめてあるが、いつもの不知火クオリティではなく、必要最小限をまとめましたという感じだ。 調べるにネットワークなどを見りゃいいわけだが。 仕事に手は抜かないはずのこいつが、投げやりになってる。 早いところ解決しないとまずくね？ 現状そんな感じ。 #不知火に落ち度はない

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「あー、不知火君、とりあえずだね」 「司令。私語禁止です。うざい」 会話のスタートを折るなよ。 うざいって、それ摩耶とかの得意分野だからキャラとるなよ。 こちらからの歩み寄りを完全スルーするなよ。 「話ぐらいさせろって」 「話は昨晩で尽きました」 #不知火に落ち度はない

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「あのな。長門と間違えたあれはな……」 「司令は長門さんがお好きなのですね。昨晩何度も何度も囁いてますし」 ぐ。酒入ってる俺何言った。 「それはもう不知火には想像も付かないことなんでしょう」 「付き合いが長いだけだっつの」 それだけじゃないがな。 #不知火に落ち度はない

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がり、がり、ざりり。 そんな音が目の前からする。 不知火ー。万年筆をそんなに扱うと壊れるぞ。 「マドンナって言ってますし。メスゴリラじゃなかったんですか？」 「あの集まり限定でマドンナって言われてるだけだ、ぬいぬい」 「気安く呼ばないでください」 #不知火に落ち度はない

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どうすっかな。正直な話──これで仕事させるってのは、不安がある。 原因俺だけどさ。 「落ち着けよ。そんな焦ってもいいことないぞ」 「長門さんならもっと落ち着いてるかも知れませんね。生憎不知火は落ち着きがないので」 #不知火に落ち度はない

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「長門とお前を比べンな。お前はお前、長門は長門だろ」 「長門さんの方が優秀ですものね」 お前な。 「比較してねえだろが」 「長門さんの方が優秀だと司令は前に言ってました。そんなに長門さんが好きなら、秘書艦異動をすれば良いと思います」 かちーん。 #不知火に落ち度はない