不知火に落ち度はない その8

@yamoto 氏の #不知火に落ち度はない をまとめました。 以下本家より抜粋 【不知火に落ち度はない】 続きを読む
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yamoto @yamoto

「着ろよいいから」 「司令は先程、不知火にあれほど情熱的なキスをしたのにですか」 「事故だ──」 と言いかけたらばっさあ、と服が飛んできた。 視界を浴衣が覆う。 よくある手だとは思うものの、アルコールが動きを鈍らせた。 結果── #不知火に落ち度はない

2014-07-17 03:19:26
yamoto @yamoto

身体が後ろに引っ張られる。 ついでどすん、と腹に何か乗る。 そして浴衣カーテンオープン。 じゃーん。 まっぱの不知火が俺にまたがってまーす☆ これアカンやつ。 絶対アカンやつ。 #不知火に落ち度はない

2014-07-17 03:21:12
yamoto @yamoto

「なにしやがる不知火」 「事故です」 100%故意だろこれ!? 「これから起こることは全部事故です。何が起きても事故です」 するり、と身体が寄せられてくる。 「司令が事故だと言ったのだから」 不知火の見たこともない笑顔。 無茶苦茶怒ってる。 #不知火に落ち度はない

2014-07-17 03:24:14
yamoto @yamoto

「あー……弁解させろ。いやさせてください」 「どうぞ」 「寝てました」 不知火の行動は素早かった。 爪で顔をがりっと、ひっかきやがった。 お前は猫か。ワンちゃん不知火どこいった。 「起きましたか?」 今日は山猫キャラらしい。 目が爛々輝いてる。 #不知火に落ち度はない

2014-07-17 03:27:53
yamoto @yamoto

「そうじゃなくてだ。長門とお前を──」 「間違えますか? そんなはずありませんよね。だって不知火は」 ペチャパイですから。 うっわ超根に持ってるし。 いや事実そうだし間違えようなんてないし。 「触ってお確かめください。どうぞ」 無理ッス。 #不知火に落ち度はない

2014-07-17 03:32:34
yamoto @yamoto

実際ペチャパイかどうかについて言えば、そうじゃないとは思う。 一応なだらかながら主張があるのは事実だ。 等と見てる俺が居ると大変ゲスな気分である。 「あのな。夢見てて、長門とだな──」 「不知火に関係はないですね?」 お願い。最後まで言わせて。 #不知火に落ち度はない

2014-07-17 03:34:02
yamoto @yamoto

「それとも司令は肉体関係のある長門さんと間違えるほどに、不知火に何か邪な気分を抱いたのでしょうか」 「さすがにそりゃない」 即答ですとも。 不知火の眉毛の角度、鋭角に変更。 うっわすっげえ顔。 深海棲艦まっしぐらの顔じゃねえかこれ。 #不知火に落ち度はない

2014-07-17 03:42:44
yamoto @yamoto

「ンな顔すんなって。可愛い顔が台無しだぞ?」 「本当に可愛いと思ってないから言える言葉ですね」 「……。絡むなあ」 どうしたらいいのか相談したい。 子供電話相談室あたりに。 いや、俺がやらかしたのは事実ですけどね。 なんで長門と間違えたんだっつの。 #不知火に落ち度はない

2014-07-17 03:44:51
yamoto @yamoto

「俺は俺なりにお前のことは、可愛がってるつもりだぞ?」 目をそらしながら言う。 それは気恥ずかしいから言えない部分だ。 「長門さんを可愛がりながら、不知火もですか。器用ですね」 あー。はい。 むっちゃそこに溝がありますねお前。 #不知火に落ち度はない

2014-07-17 03:49:54
yamoto @yamoto

「昔の話だ。今はしとらん」 「あれほど情熱的なキスをしておいてですか。とても信じられません」 ずい、とさらに前進。 うん。そうだな。誰でもそう言うな。 なんで大人の事情に首突っ込みたがるんですかお前。 まあ、被害者なんだから当然か。 詰み過ぎだろ。 #不知火に落ち度はない

2014-07-17 03:52:08
yamoto @yamoto

「あー……わかった。全面降伏する」 もう無理。俺の夢の内容と不知火からの仕返しの内容全部考えても。 俺の重大な過失ってことになる。酒飲みすぎたのが発端だしな。 「弁解を放棄しますか。では不知火が決めますね」 おう、好きにしろ。 #不知火に落ち度はない

2014-07-17 03:57:52
yamoto @yamoto

「続きをどうぞ。司令」 「……は?」 「先程不知火にしようとしたことを、続けてください」 死刑宣告が来た。 #不知火に落ち度はない

2014-07-17 04:04:42
yamoto @yamoto

「お前言ってる意味、わかってる?」 「わかってますが」 ぜんっぜんわかってねえ。 「どんなことになるかわかってる?」 「流血沙汰は覚悟してます」 嫌な方向の覚悟だなそれ!? 「いやそうじゃなく」 「事故の続きをしましょう」 回避した事故だろ?! #不知火に落ち度はない

2014-07-17 04:07:16
yamoto @yamoto

「後悔すんぞお前」 「後悔なら先程たっぷりしました」 半目で睨まれる。 何があったんだろうか。 いや、何かしたのはわかってるんだけども。 俺にはさっぱりなのである。 ただ、不知火がここで引かないってのはなんとなくわかった。 #不知火に落ち度はない

2014-07-17 04:14:22
yamoto @yamoto

あー、もー。腹くくるか。 俺は身を起こす。 バランスを崩した不知火が、俺に寄りかかろうとする。 俺はそれを受け止めて──かつ、唇を重ねた。 「!?…んっ…!!っ」 もがき出す不知火を無視。 そのまま布団に押し倒していく。 #不知火に落ち度はない

2014-07-17 04:20:58
yamoto @yamoto

腕を押さえ、身体を逃がさないように押さえ。 くったりするまで散々口腔を蹂躙する。 要は電撃戦だ。 相手が身構える暇は与えない。 相手が逃げる余裕も与えない。 相手がペースを奪うタイミングを与えない。 不知火はやはり、その辺の技術は全然ない小娘だった。 #不知火に落ち度はない

2014-07-17 04:25:10
yamoto @yamoto

口を離すと、ぷあ、と可愛らしい声を上げて、こちらを潤んだ目で見上げる。 今度は酒の不埒じゃない。こいつの記憶は飛んだりしない。 だったらもう、やるっきゃねえだろ。 「不知火。俺風呂入って酒抜いてくる」 「し……れい?」 不知火が見上げ。 俺は言う。 #不知火に落ち度はない

2014-07-17 04:29:01
yamoto @yamoto

「今晩のことは事故。夜が明けるまではそうなんだろ?」 「……は…はい、司令」 今更か。少し頬を染めて言う。 「じゃ、思いっきりそそる恰好して待ってろ」 「そそる? 今の不知火じゃ、ダメ?」 「大人ってのはそういうもん」 俺は乱れた服を整えて立つ。 #不知火に落ち度はない

2014-07-17 04:32:29
yamoto @yamoto

「じゃ、風呂入ってくる。準備しとけよ」 「……わかった。そそる恰好して待ってる」 恥ずかしくなったのか。緊張からか。 不知火は布団をつかみ、身を隠してそう言った。 うん。うん。 そういうのは悪くない。 俺は風呂へと向かっていく。 まず酒を抜こう。 #不知火に落ち度はない

2014-07-17 04:35:26
yamoto @yamoto

そして、風呂。 やっぱここの風呂はいい。 空が広々天高く。月は遙か向こうにあり。 そんな光景を独り占めできる侘びた宿はほぼない。 旅番組でいかにも『大自然です!』を主張してる風呂はあるが、 そんな中で芋洗いなんざ無粋極まる。 一人風呂、最高。 #不知火に落ち度はない

2014-07-17 04:38:58
yamoto @yamoto

身体に溜まった酒も、風呂に肩まで浸かってノンビリすれば次第に抜けていく。 今回の過ちの原因は、あのモグリ野郎とやりあったことだな。 深く反省しつつ、今度原潜を見かけたら嫌がらせ通信を送ろう。 具体的にはあいつの、初恋相手に捧げたラブレター朗読とか。 #不知火に落ち度はない

2014-07-17 04:41:55
yamoto @yamoto

「酒を抜くにはあと30分はかかるな」 不知火の様子を思い出す。 きっと今頃──お得意のスマホ操作でいろいろ調べているとこだろう。 案外陽炎に相談を送っているのかも知れない。 どのみち時間はたっぷりやろう。 朝までがこの事故の有効期限なのだから。 #不知火に落ち度はない

2014-07-17 04:43:34
yamoto @yamoto

原因の長門にも一応言いたいことはあるが、今回は俺の落ち度が多すぎる。 あいつになんとかしろといっても無駄だろう。 やるべき事を頭の中にまとめだす。 それは30分あっても足りそうになかった──。 #不知火に落ち度はない

2014-07-17 04:46:18
yamoto @yamoto

そうして、風呂から上がった俺は、自販機で牛乳を購入。 腰に手を当てて一気に頂くのが習わしだ。 やっぱこれは、必要不可欠。 おそらく浜風あたりは激しく同意してくれるだろう。 あれから30分の時間は有に過ぎ、酒は完全に身体から抜けていた。 #不知火に落ち度はない

2014-07-17 04:47:42
yamoto @yamoto

そうして、俺はそのまま足を運ぶ。 迷いなく、自分の目的を果たすべく。 まっすぐ、まっすぐと。 #不知火に落ち度はない

2014-07-17 04:50:27
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