【16】トライピース

このマンガがにごい？ @Nirgoyee_comic

【16】 作品名：トライピース 作者：丸智之 掲載：月刊少年ガンガン リンク：urx.nu/axFq（試し読み）

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またちょっとガンガンの過去の名作をご紹介しようかなと。連載終了から数年経ちますが色濃く記憶の残る個性的な作品です。

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ありとあらゆる記憶を失った超・記憶喪失（本人談）の主人公・ナナは、記憶を求めて彷徨った末辿り着いた小国カントールで、機械帝国ザイエスの起こした侵略戦争に巻き込まれる。カントールで出会った三人の子供達の命を無残にも奪われ、ナナはこの世界から戦争をなくすことを決意する。

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世界にはナナの意思と目的を同じくする『戦争仲裁機関「トライピース」』が存在し、「愛」と「平和」、それに各個人の信念をひとつ足した三原則を信条として、世界各地で戦争を止めるべく活動している。ナナは唯一の特技である「女装」を己の三つ目の原則に掲げ、トライピースの一員となるのだった。

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っと導入はこんなかんじで。リンク先の1話試し読みでそのあたりは読めるのですが、しかし今回の紹介にあたって久々に読みましたがやっぱり読ませる漫画だなあと思いますねえ。

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それぞれ独特な三原則を掲げたトライピースの面々や強大な敵キャラ、ハッタリばかりで弱々なナナがいかに戦うかなど、キャラクター性から見てもとても楽しめる本作ですが、個人的にもっとも引き込まれるのは迫力のつけかたがすっごくすっごく上手なところ。

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上手というとなんかカタいですけど、前述のようにとにかく「読ませる」＝「引きこませる」ことに長けた漫画なんです。平たく言うと演出がいいってことなんですけど、「この展開はエグいな」「このキャラヤバいな」そう思わせるための技の数々がとてもよく表れているように思います。盛り上げ方が上手。

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例としては見開きがよく使われるんですよね。見開きは場合によっては安易な手法になりうるものですが、本作はやっぱりそこが上手なんです。

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それまでのページでじわりじわりと展開をゆっくり盛り上げておいて次の見開きでいきなり最高潮！みたいな、まるでうまく誘導されたようにさえ感じる（つまり引き込まれるということです）ニクい使い方だったり。頻度もけっこう高いんですけど安易な演出に感じさせないのには隠れた計算高さを感じます。

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そうやって丁寧に、かつ表向きには勢いでかっ飛んだ演出に、前述のキャラ性、ストーリー性が、それぞれいい具合に干渉しあって一貫性のあるバランス整った漫画が出来上がるんですね。

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変な話ですけどバランスが不安定な漫画って、読んでて「ここ要らないだろう」「これは冗長だろう」と感じてしまう部分がどうしても出てくるんですよね。トライピースではまったくその感覚に陥ることがないので、読む側のテンションも高いまま、作品に引き込まれたまま読み進められるんだと思います。

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「トライピース」は完結済みで全11巻。そういえば触れませんでしたがキャラの可愛さも大きな魅力のひとつですねえ。物語中盤以降出番の増えまくる「ネコさん」ことヌコ・ネコタンがけっこうお気に入りです。