不知火に落ち度はない その13

@yamoto 氏の #不知火に落ち度はない をまとめました。 以下本家より抜粋 【不知火に落ち度はない】 続きを読む
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yamoto @yamoto

そうして、不知火が白焼きをつまみ終わる頃──。 「ではどうぞ。鰻重です」 「どうも、大将。いただきます」 ほっこほこの飯の上の、ふっかふかな鰻が食欲をそそってくれる。 一方不知火。またしても異次元の食い物を見た目になってる。 #不知火に落ち度はない

2014-07-30 09:33:53
yamoto @yamoto

「……?」 箸で軽くつついて様子を見ている。お前は猫か。 わんこキャラが猫か。猫被ってるのか。 「そのままぱくっといっちまえ」 タダのタレかかった飯にそんな反応するの初めて見たぞ。 俺の言葉に促され、不知火は意を決したように一切れパクリ。 #不知火に落ち度はない

2014-07-30 09:37:31
yamoto @yamoto

「……あら」 よし、成功。このうなぎの旨味には勝てまい。 ふっかふかの身とあっつあつ飯の上にかかる、とろぉりとした甘いタレ。 日本人の娯楽DNAが目覚めてとまらんわ。 酒、酒くれ。 代行運転という壁に貼った紙が強烈な誘惑してくる。 我慢である。 #不知火に落ち度はない

2014-07-30 09:42:03
yamoto @yamoto

「どーよ」 「……あんな化物なのに美味しいですね」 とうとう美味しいの言葉が出た。 イメージ払拭の瞬間である。 ちまちまと箸でつついて口に運んでは、表情変えずに、うん、とかあら、とか言ってる。 ただ、見た目が見た目だけに、何かおばさん中学生だな。 #不知火に落ち度はない

2014-07-30 09:46:05
yamoto @yamoto

そうして開始から合計一時間。 綺麗に平らげ終わった不知火がそこにいる。 結構な量だったが、旨味の方が勝ったと見える。 ハンカチで唇に着いたタレを拭ってるのだが、そんなん舐めたらいいだろうに。 ときどきびっくりするほど野生から遠ざかる不知火であった。 #不知火に落ち度はない

2014-07-30 10:00:25
yamoto @yamoto

「で、さんざゲテモノ扱いしてたけど、うなぎは偉いだろ」 「……。非常に遺憾ながら美味しかったです」 まだグロ画像が頭にあるらしい。 しかたない。 そろそろ、封印を解いてやることにしよう。 「ちょっとスマホ貸してくれるか?」 「いきなり何ですか」 #不知火に落ち度はない

2014-07-30 10:07:35
yamoto @yamoto

履歴からぱぱっとあの例のグロ画像ページを開く。 直リンクだからか、大事な部分が抜けてんな。 ちょっとURLを削ってお見せしよう。 「あれ。映画」 不知火が『?』って顔をした。 次に目を丸くして。 一気に顔が赤くなっていった。 よし。 #不知火に落ち度はない

2014-07-30 10:12:29
yamoto @yamoto

次の瞬間である。 俺の顔面目がけて、だな。 不知火の良く鍛え込んだ手がだな。 綺麗に爪を立てる形でだな。 全力でひっかいて行ったんだな。 つまりこうだ。 「いってえええええ!?」 ひっかくひっかくひっかく 山猫びっくり不知火参上。 #不知火に落ち度はない

2014-07-30 10:14:38
yamoto @yamoto

「いや落ち着け止まれ焦るな話をさせろ!?」 フーッ、フーッ と毛を逆立てんばかりに怒りの表情不知火。 両手を押さえても溢れる危険度100%。 虎に育てられました的エピソード付けるぞお前。 「おや、そんなに精が付きましたか」 大将、ひでえ。 #不知火に落ち度はない

2014-07-30 10:24:18
yamoto @yamoto

そうして、不知火に科せられた邪悪な呪いも解けて、俺はお会計をぱっぱと済ませて店を出る。 飛んでいったのは諭吉一人。 流石に毎日は来れないお値段である。 それもしょうがねえんだけどな。 でっけえ『ぎ な う』の看板を見上げて思う。 #不知火に落ち度はない

2014-07-30 10:31:27
yamoto @yamoto

「不知火」 「なんでしょうか。不知火に落ち度でも」 今日のお前は落ち度1000%だったんだが、いいか。 「ねえよ。また連れてきてやろうか?」 「……。是非お願いします」 まかせとけ。 そうして俺達は車に乗り込み、優雅なランチを終えた。 #不知火に落ち度はない

2014-07-30 10:33:59
yamoto @yamoto

今日はそれでお終い。 不知火の鰻クリーチャー説が覆った日。 なかなか貴重なものが見られた日。 来年もまた来ようと、そう約束が生まれた日。 そんな1日であった。 #不知火に落ち度はない

2014-07-30 10:35:38
yamoto @yamoto

「長門さんー。この書類はー?」 「ああ、提督の机の上だな」 「これ、どんな申請です?」 「簡単に言えば、地元と頑張るから金よこせ、だ」 「少々お待ち下さい──ごめん、長門さん、司令宛の電話!」 「はいはい。お電話かわりました、司令代理です」 #不知火に落ち度はない #おまけ

2014-07-30 10:39:14
yamoto @yamoto

「あの……長門さん、ちょっといい?」 「何だ陽炎」 「長門さんって……秘書艦向きなんじゃない?」 「なるほど。不知火より向いてるか?」 「……。ごめん、失言だった」 「いいぞ。さ、ちょっとお茶にしようか」 #不知火に落ち度はない #おまけ

2014-07-30 10:41:38
yamoto @yamoto

そんなわけでおしまし。 寝落ちしててごめんね、こんな時間になっちゃたよ #落ちぬい

2014-07-30 10:42:10
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