rsbs日誌#17

﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌　「わしは高雄らに御馳走を喰わせる。…何人たりとも近付けさせるでないぞ？お主らの精神が紛れもなく傷付き壊れるからな」正直に事の全貌を提督は話した。「…其れ程、壮絶な事をしようと言うのですか」「そうしなければ、あやつらの渇きは癒せぬのよ」

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#rsbs日誌　車椅子に乗せられ、運ばれてきた二人を見やり、提督は煙管の火を落とした。「では時間じゃ。暫しの間、耳と眼を閉じ口を噤んで居るがよい。此れよりは狂った童話の世界じゃ。尋常なるモノが立ち入ってはならぬぞ」提督の言葉に基地司令は素直に頷き、踵を返した。

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#rsbs日誌　「初春、利根。見張りを任せたぞよ」「早々に終わらせてくりゃれ。退屈は敵わん」「利根と将棋でも打っておれば良かろう。天龍、龍田。すまぬが他の事は頼む」「任された。あんまり無茶はするなよ」天龍の言葉に、提督は苦笑した。「無茶なぞ、茶飯事じゃよ」

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#rsbs日誌　重々しく、コンクリの部屋に三人を残し…そして二枚扉は閉じられた。利根が札を取り出し、封印を為す。「さて…彼岸と此岸の防人となろうではないか」どっかりと床に腰を下ろし、彼女は将棋盤を取り出した。遠く聞こえる雨は未だ、止みそうもない…

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#艦娘にHさせてと土下座してみる　「…と言うタグが転がっていたのね」藪から棒じゃな。イク「提督さんは寧ろ抱かれる方なの」否定はせんがのう…「提督」「今から」「抱かせてください」えぇい。だまらっしゃい陽炎飛鷹足柄。土下座カットインなんぞ見とうないわ。

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#rsbs日誌　打ちっぱなしのコンクリートの壁。冷ややかな部屋…音はなく、ただ蚊の様に弱い呼吸が僅かに耳に届くばかり…痩せ細った高雄と愛宕は、静かに椅子に腰掛けられて居た。提督は静かに懐に手を伸ばす。細やかな彫刻が施された金色の小さな鐘が、握られていた。

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#rsbs日誌　指先が僅かに揺れる。鐘が鳴る。鐘が謡う。リリリ…ルルル…この世の物と思えぬ様な、鐘が出せる様な物では無い音が部屋に木霊する。十重二十重に連なる音に、高雄と愛宕は見動いだ。「起きるがよい。目覚めるがよい」提督は静かに言葉を紡ぐ。

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#rsbs日誌　「憐れな鬼よ、腹を空かせた憐れな鬼よ、肉が在るぞ。酒が在るぞ。空いた腹を満たすがよい。喰って酔って満ち満ちて…再び海神に立つがよい。憐れな鬼よ…今一度、わしの為に目覚めておくれ」紡ぎ終えた提督は、短刀で手首を切り、血を流した。「そうだ。肉も酒も『此処』に在る」

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#rsbs日誌　芳醇で余りに新鮮な赤々とした血が滴り落ちる。ポタポタと床に落ちる音さえも確りと耳に届く程。そして其れはオニキスと翡翠の瞳が射抜く程に見詰めていた。爛々と、眼光が光る。がたり…椅子から転げ落ちる音。息も荒く、ぴちゃり…くちゅりと舐め取る音が響いた。

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#rsbs日誌　「はぁ…はぁっ…」高雄は焦るように、床に広がる命の水を舌に絡ませる。微塵も、１ピコリットルも残さない…残してはならないとばかりに。「焦るで無いよ。高雄や」頤に指を絡ませ、提督は顔上げさせる。「思う存分、呑み喰らえばよいのじゃから…衲？」

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#rsbs日誌　「ちゅぶ…んむ…ぷぁ…」愛宕が、血の溢れる手首にすがり付き舐めとる。かぷりかぷりと噛みつき、啄み、肉を噛みきって。その端から、新たに流れる血を飲み込んでいく。喰う度に、呑む度に、あれ程細っていた身体は、輝きを取り戻してゆく。枯れた花が逆しまに瑞々しく成る様に…

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#rsbs日誌　「そうとも、喰え。呑め。ぬしらにはその資格がある。そして義務がある。わしを喰らえ。腹が満ちるまで…」がぶり、ぶちゅ…と肉が裂かれ、血の溢れる音が響く。ゴキッ…ボキッと濁った音が木霊する。ぐじゅっ…ぢゅぐっ…と咀嚼され、ごくり…と飲み込まれる。

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#rsbs日誌　四肢がもがれ、骨を折られ、しゃぶられ、啜られ、喰われる。腹を開かれ、臓腑を暴かれ、喰われる。ただただ愛しそうに、高雄と愛宕は体を血で塗れさせて、提督の体を貪った。次々に食っていった。テラテラと鈍く光る赤色のそれを、自らの胃に納めていった。

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#rsbs日誌　肋はへし折られ、ぽりぽりと食われていく。腕は手羽先の様に肉を削いで喰われていく。次々と赤い紅い血液を送り出す心臓は噛み切られて仲良く別けられ、ついに提督は…首だけになってしまった…高雄は泣いた。愛宕は泣いた。悲しむ狗の様にキュンキュンと泣いた。

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#rsbs日誌　あっという間に喰ってしまった。あっという間に呑んでしまった。何もかも。そして終わってしまった。楽しい食事は終わってしまった。甘いモツも、柔らかい子袋も、みな食べ切ってしまった。二人は悲しく、寂しく、提督の首を抱き締めた。

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#rsbs日誌　血が渦巻く。壁に、床に、迸り、飛び散った血が蠢く。腹を満たしてうつらうつらと夢心地に浸る高雄と愛宕を包んでゆく。肌に残った傷跡も、治りの遅い古傷も、何もかもを消してゆく。廃棄間際のボロ船が、新造艦の如き輝きを取り戻す。時を逆しまに回転させてゆく…

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#rsbs日誌　一切合切の理を無視した狂乱の宴が、時の理をねじ曲げた。肉付きのいい、力に溢れた二人の重巡洋艦は…鮮血のドレスだけを纏い、眠りこけた。幸せに包まれ、そして小さな匣に収まってしまいそうな姿になった提督を大事に抱き抱えて…

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#rsbs日誌　…暗い夜が明けた。目を醒ます。こんなに身体が軽いのは初めてだ。まるで羽の様だ。それでいて、鋼の様に頑丈で、大地の様に力が沸き上がる。生まれ変わったかの様に。「お目覚めかや」腕の中で声がした。それは、首だけになってしまった提督だった。

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#rsbs日誌　「提督…ああ…おいたわしや…」「私達なんかの為に…」二人は涙を流した。鬼となった自分達の為に、身体を捧げてくれた提督に只只震えた…「構わぬ。時にわしの服からガラス管を出してくれんか。紅いのが入っておる」

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#rsbs日誌　投げ捨てられた服から出されたガラス管。それを提督は静かに飲み干した。紅い霧が提督を覆い、やがて霧が晴れる頃、其処には情欲を掻き立てる白い身体の提督が立っていた。「何も法がないまま、お主らに身体を喰わすと思うたかや？」浮かぶ笑みは悪戯っぽかった。

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#rsbs日誌　血と肉片、骨片に塗れた部屋を後にし、提督は基地司令へ別れの挨拶に伺った。「事は終えた。彼女らはわしが引き取ろう」「……終わった、のですか」疲れ窶れた顔で、基地司令は言葉を返す。「うむ。無事に終わった」「……」沈痛な面持ちで、彼は提督をじつと見つめた。「なんじゃ？」

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#rsbs日誌　「…あなたは、何を為したのですか」震える声を、彼は絞り出した…「言ったであろう。腹一杯肉を喰わせる、と」「…私の部下達が、怯えていた。地下から凄く怖い気配がすると。深海棲艦が相手でも、彼女らはあれ程怯えた事は…」「無かったかや。良い部下じゃ。大切にするが良い。」

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#rsbs日誌　「『そう言う物』が分かる艦娘は貴重じゃ。何れお主を守る事に成るじゃろうて。努々、気を付ける事じゃ基地司令殿」提督は淫靡な瞳を彼の視線に絡ませた。「此の世には埒外の理や下法が渦巻いておる。其れらに呑み込まれぬ様、常に牙を研ぐが良い」基地司令は暫し沈黙し…

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#rsbs日誌　「ならば…冥府魔道の術を使う貴女は、何者なのですか…？」クハハハハッ！と嘲い声が上がった。「わしか！わしは何者であろうな。わし自身皆目見当が付かん。強いて言うなれば『魔女』と呼称するか『バケモノ』と呼ぶ他在るまいて」腹が痛いとばかりに嘲い終え、提督は腹をさする。

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#rsbs日誌　「では基地司令殿。おさらばじゃ」「すみません。最後に一つ…彼女らは、どうなっていたのですか。どうして私達では救えなかったのですか？」「…聞いても後悔するだけじゃぞ？よいか？」頷く彼に、提督は酷く詰まらなさそうに溜め息を小さく吐いた。