【邪悪の樹】第一戦闘フェイズ――第一の樹

『智の剣』陣営『色欲』(@VIXI_atom) 『理の盃』陣営『無神論』(@ALLbatikaru
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【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

朽ち果てる寸前と言って差支えないような、『1』の扉。 立てつけが悪いのか、ノブがしっかりと回った後ですらきちんと開くのに時間がかかったそれを潜り抜け、『色欲』はついにその扉の先へと辿り着いた。 薄暗かった部屋から一変、急に差し込んできた光に目を細める。

2014-08-17 20:11:00
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

「…手紙に書いてあった場所って、きっと此処であってるよね?サーカスの舞台だったんだねぇ、いささか戦いには向いてないと思うけど」 近くに転がるボールを片足で軽く蹴りながら、首を傾げた彼の目の前に広がっていたのは、スポットライトに照らされた何かの舞台だった。

2014-08-17 20:11:33
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

彼の記憶が正しければ、恐らく本で見たサーカスとやらの団体の使うソレだ。舞台の端々にセッティングされてあるショーの道具も、どこかで見た事がある気がした。 実物では初めて見る筈なのに、何処か懐かしい匂いのするそこを見渡して、小さく息をつく。

2014-08-17 20:12:23
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

ここが本当に手紙の通りの場所だと言うのなら、件の異性とやらもここに居る筈だ。 争い事は性分ではないから、どうか勝手に健やかにこま切れ肉にでもなってくれないだろうか。 「…ああホント、『異性』ってのが余り怖くない、出来れば子供だと嬉しいのだけど」

2014-08-17 20:14:23
『無神論(バチカル)』 @ALLbatikaru

スポットライトが一つ降り、 鉄棒の足場があるブランコを手で掴んだ"女性"が遠くの扉より、下弦の弧を描いて飛来する。 「ごきげんよう。男の方。私の名は"無神論"よ。生きて帰すことはないから、覚えてもらってもしょうがないけど」 弧の軌道が地面に最も近くなった瞬間(とき)に、降りた。

2014-08-17 21:21:17
『無神論(バチカル)』 @ALLbatikaru

「ほお。男の人は、仮面をつけてるんだ……?  えっと、紹介するわ。こっちが友達の剣、槌もあるの。で、こっちが身を守る盾」 で、と続ける。 「もう一人、"友達"がいるの。後でご覧にいれるね」

2014-08-17 21:21:20
『無神論(バチカル)』 @ALLbatikaru

「ものは相談なんだけど、悪いようにしないし、あなたが得をするように取り計らうから自殺してくれない?  そうしたら新しい、楽しくって死にたくなるような人生に生まれ変われるかもしれないわ」 軽く剣を握る手をひらいて、前方20メートルの距離から差し伸べてみせる。

2014-08-17 21:21:24
『無神論(バチカル)』 @ALLbatikaru

「まあ、そんな度胸があるならだけど」 にこりと笑んで、挑発する。男が冷静でないほうが有利に戦えるからだ。

2014-08-17 21:21:30
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

ひらり、と。 上の方からゆっくりと飛来した『誰か』。 降りる早々にその人物は色々と言葉を並べ立てたが、いったんそれは置いておいて、『色欲』はその天使よろしく現れた姿をまじまじと観察した。 「…ふぅん」

2014-08-17 22:12:56
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

ぱっと見て、髪は長く、体格は己よりは小柄だが恐らくそれなりに成長しきった人間だろうという事が見て取れた。…少なくとも、子供ではない。 声は高いが子供のそれと比べるとやはり違う。 一通り彼女の姿を目にいれた後、道化は大きく溜息をついた。 「なぁんだ、子供じゃないの、残念」

2014-08-17 22:13:36
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

子供じゃないなら、『色欲』にとっての『彼女を殺す意味』やら『楽しみ』やら、とにかくそういった類の物は半減してしまう。 『色欲』は拗ねたように頬を膨らませたが、なにぶん仮面の中でであるのでそれは表面上殆ど分からないだろう。 「…で、えっと?なに、僕が死ぬ話だっけ?」

2014-08-17 22:14:36
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

一応最初の話はきちんと聞いてはいたらしい。彼女の言葉に軽く首を傾げ、肩を竦めた。 「僕が死ぬのはこの世の可愛い子が全員死んでからになるからそれは難しい話だなー。生きたままの柔らかいお腹に手を入れるのがいいんだよ、まぁ死体でも僕は大歓迎だけど」 …差し出された剣には、触れず。

2014-08-17 22:15:33
『無神論(バチカル)』 @ALLbatikaru

「いいご趣味ね。流石に擁護できない。聞いてて気分悪くなったわ。でも、一ついいお知らせがあるわ  無神論(わたし)は、悪気のない善人は殺せない。でも悪気のない悪人外道は殺すのに遠慮しない  天秤は後者に振りきれたわ。だから、躊躇せずあなたを殺せる」 自分と相手に、そう宣告した。

2014-08-17 23:08:43
『無神論(バチカル)』 @ALLbatikaru

「死体遊びは百歩譲って、許すわ。価値観の違いだし、知らないところでする分には誰も傷つかないし  けどね、生きてる人に拷問まがいのいじめをするのは、度し難い悪よ。死んだほうがマシなんて心にするのは、悪  その基準で云えば――神サマだって悪だわ」

2014-08-17 23:08:46
『無神論(バチカル)』 @ALLbatikaru

「……"無神論"として明言しておきます。あなたを許すつもりはない  神を否定するのが無神論なら、悪を否定するのも無神論たる私の本性だ」 語気は荒く、しかし返答を聞くためか、剣は構えず、ゆっくりと両手を腰の位置までさげた。

2014-08-17 23:08:50
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

「…っぷ、」 無神論と名乗る彼女の言葉を暫くはポカンとした様子で聞いていた『色欲』は、自分へのその宣戦布告が終わると同時にぶふっ、と音を立てて盛大に吹き出した。 「あは、あはははははははは!お客さん、面白いこと言うね。許す許さないなんて、…君にそんな権利あるわけないじゃないか!」

2014-08-18 08:05:36
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

はらがよじれるとはこのことか、笑ながら大きく身をひねらせた彼は、必死に笑いを堪えながら彼女に言葉を返す。 …余程ツボに入ったのか、その合間合間に、抑えきれない笑い声がダダ漏れしてはいたが。 「…奪い返していいのは、いつだって奪われた者だけさ。」

2014-08-18 08:06:38
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

「ふふっ、それなのに当事者でもない君が僕を許すだの許さないだの…僕を裁くつもりかい?あは!だったら、無神論とか名乗っておいて、それこそ君が神様気取りだ。あはは、おっかしいねぇ!」 ゲラゲラと、ひとしきり声を震わせて、ようやく満足したのか『色欲』はピタリと大人しくなった。

2014-08-18 08:08:02
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

仮面の隙間からチラリとだけ見えるその目は、赤い。 「そもそも、死体を漁るのは価値観の違いと君は言ったけど、生きた者を殺すのもまた価値観の違いさ。この世に悪なんて無いんだよ、お客さん。君が一方的にそんな偶像を創りあげて、自分が不愉快だから殺してるだけさ。……ねぇ?神さま」

2014-08-18 08:08:44
『無神論(バチカル)』 @ALLbatikaru

色欲の言葉に、肩を震わせる 「神さま気取りですって……?」 確かに筋のある説明だとは思う。だが、そこで気づいた 「あなた、子供の『助けて』って言葉に耳を傾けたことはあるかしら。そして、その助けてという言葉が一度でも放たれたならば、私とあなたは殺し合う当事者に、間接的になったのよ」

2014-08-18 12:55:09
『無神論(バチカル)』 @ALLbatikaru

「私は民衆を助けるための教育を受けてきた。政治ね  だから、もし『誰でもいいから助けて』ってあなたが苛めてきた子供が思ったら、もう私は無視できない、当事者になったつもりで貴様を殺す」 少しずつ、"無神論"と過去の何もできなかった"無神論者"が綯い交ぜになってきていると思った。

2014-08-18 12:55:13
『無神論(バチカル)』 @ALLbatikaru

「無力な人間を一人でも救えるなら、命を懸ける価値は、あるわ」 そう言い切ることで、自分の中の冷静さを取り戻した。 生来理屈を捏ねるのは得意ではない。だが、この男は悪だ、殺すしかない。 そう、思ったのだ。その判断が狂わぬうちに、殺す。そう決めた。

2014-08-18 12:55:17
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

「うふふっ、可哀想に、人間のエゴに凝り固まった教えを受けて、君自身も囚われてしまってる。きっとストリートチルドレンになけなしの施しを与えるタイプだ、僕の大っ嫌いなタイプ」 吐き捨てる様に、言葉を紡ぐ。 世界の大半をどうでもよいと切り捨てる彼が、唯一嫌悪するものがこの手の輩だった

2014-08-18 16:01:33
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

吐き気がする、と聞こえない程の声で呟いて、彼は大きく手を伸ばした。 「僕知ってるよ、そういう同情で動いてる奴ほど、中途半端にしか救えないんだ。」 手を伸ばしたその先にあったのは、彼女が此方に降りて来る時にも使ったブランコ。その棒をしっかりと握り、素早くその上に身体を滑らせる。

2014-08-18 16:03:37
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

「それに、僕の子供達は一度も『助けて』なんか言わなかったよ。僕を見て、ただ『化け物』って言って石を投げるだけさ」 ゆらゆら、ぶらぶら、空中を大きく行ったり来たりを繰り返し。 終いには、道化師は呑気に先程拝借したボールで遊び始めた。 「可愛いよね。そんなところも、愛してるのだけど」

2014-08-18 16:04:30
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