【邪悪の樹】第一戦闘フェイズ――第一の樹

『智の剣』陣営『色欲』(@VIXI_atom) 『理の盃』陣営『無神論』(@ALLbatikaru
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『無神論(バチカル)』 @ALLbatikaru

「コイツ……」 なんて的確に表現してくるのだ。 まるで遠吠えしかできずに、国の端から中央に聞こえないように神託王政を批判していた無神論者。 ふと思い浮かんだ哀れでさえある女そのものではないか! 口喧嘩で完全に敗けたとさえ思った。己が中途半端でしかないと見抜かれた。

2014-08-18 18:08:05
『無神論(バチカル)』 @ALLbatikaru

自分は絶対に凛然とした女だと思っていた扉を潜る前のバチカルを殴り飛ばしてやりたい。 「本当、自分に吐き気がする」と自分に対して呟いた。 剣を握る手がやけに重い。身を守る盾も親しみすぎた。 こんな異常者一人、満足に納得のいく論破をできない自分が、情けないの一言だ。

2014-08-18 18:08:08
『無神論(バチカル)』 @ALLbatikaru

地団駄を踏んだ。 無神論の足場が乱れる。 「……そう、愛を履き違えてる気はするけど、まぁいいわ」 眼尻に涙を浮かべながら剣を握り直して睨みつけた。 「降りてきなさい。それか、引き摺り降ろす!」

2014-08-18 18:08:11
『無神論(バチカル)』 @ALLbatikaru

禍罪をもって色欲の足場を乱す。 「『喪地』。地位と足場を喪う。そういう意味の禍罪よ」 必殺の禍罪の応用はまだ使えない距離だが、落下してきたとろであの仮面を両断してやる。 そう思う無神論は、冷静さを欠いていた。

2014-08-18 18:08:17
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

「…およ?」 ふわりとした浮遊感。足場が無くなったのだと『色欲』気が付いたのはその数瞬後だった。 『無神論』が此方を睨みつけ何かを口にしたが、それに思考を裂いている暇はない。恐らくこの事態も彼女の仕業だ。 このままでは地面に体が叩き付けられてしまう。体を捻り、足を下へと向けた。

2014-08-18 18:43:33
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

足が地面に接する、その瞬間。 ぶわり、と彼の体が浮き上がった。 いや、正確には『跳ねた』と言うべきか、兎にも角にも、彼は着地の際の衝撃音も、地を蹴る音も何もなく、ただ『ギシリ』とした音だけを響かせて、再びその体を宙へと躍らせた。 「…あっぶなかったぁ」

2014-08-18 18:44:31
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

ほっと胸をなでおろす彼の下にあったのは、巨大なトランポリン。 この舞台にはつい先ほどまで確かに置いていなかった筈のそれは、『色欲』がその禍罪により生み出した物だった。 「何なに、口で勝てないから今度は実力行使?酷いなぁ、やっぱり君みたいな人はやる事がどれも同じだね」

2014-08-18 18:45:05
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

もう一度ギシリ、ギシリ、と音を立て、今度は『無神論』たる彼女と少し距離をとるように身を躍らせ、地に足をつける。 このまま特攻をかけるには、自分はまだ彼女の事を知らなさすぎる。さてどうするべきかと思考を巡らせた。

2014-08-18 18:45:50
『無神論(バチカル)』 @ALLbatikaru

落下地点を予測し接近、だが色欲の落下よりも早く視線を下げ過ぎた、一瞬見失ったので足を止める 「……戦場が変化する、か」 跳ねて退る色欲を眺め 「道化の禍罪かしら……」 戦術としては、厄介だった。地の利をとる能力であり、意表をつく変化を可能にする。禍罪の中でもかなり戦闘向きのものだ

2014-08-18 22:05:07
『無神論(バチカル)』 @ALLbatikaru

意表をつかれた事で、口喧嘩の自分に向けた怒りがすっと抜けた。 というより、そうでもしないと確実に殺られる。 (接触の距離まで行って、一撃で屠る!) 駈ける。

2014-08-18 22:05:11
『無神論(バチカル)』 @ALLbatikaru

「逃げてくれないでよね……っ」 距離をとられると剣が得物の、無神論の間合いに入らない。 いたずらに足場を乱すと、禍罪の対抗策を思いつく可能性が大きい。 この場面では、可能な限り自分の足のみで接近したかった。

2014-08-18 22:05:14
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

「逃げるよ!だってお客さん怖いんだもん!」 こちらに向かって駈けて来る彼女と相反するように、『色欲』は後ろへと後退った。 先程自分の足場を崩してきた事から、遠隔操作系の能力を持つものだとばかり思っていたが、近づいてくるという事はそういう訳でもないのか。

2014-08-18 23:22:17
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

…いずれにせよあの剣との接近戦を持ちかけられるのは少々不味い。 そう判断した『色欲』はその手を道化服の襟元にかけ、大きく広げてみせた。 その中から現れたのは、彼の禍罪によって生み出された数匹の白鳩。 何かしらの曲芸の道具を生み出すだけという彼の力は、禍罪としてはきっと出来損ないだ

2014-08-18 23:23:49
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

けれど、彼の禍罪によって生み出されたものには、不思議と人の目を惹きつけ、楽しませる力があった。彼の性分ゆえか、基本的に子供を相手にして最大の効果を発揮するものではあるが、それでも敵の意識を誘導するのくらいには使えるだろう。 「鳩さんでも見て落ち着いて、クールにいこうよお客さん」

2014-08-18 23:24:38
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

彼の襟ぐりから鳩が彼女に向かって飛び出した瞬間、彼は一本のナイフを新たに生み出し、鳩に紛れる様にしてそっとそれを放った。 それは娯楽道具しか生み出せない彼の禍罪が唯一扱える、武器らしい物であった。

2014-08-18 23:25:45
『無神論(バチカル)』 @ALLbatikaru

(鳩。戦闘の道具でしょうか……) 残酷と同じタイプの武器かしら、と頭を回転させていると、唐突に左腕に激痛が走った。ナイフが突き立っており、盾を取り落とす。 「痺れ薬を使わないだけありがたい、かしら」

2014-08-19 00:04:04
『無神論(バチカル)』 @ALLbatikaru

先ほどの状況を反芻する。 相手の能力は意表をつく状況を作り出す、心理的なもの。 おそらく、意識を自分や得物から逸らす類のものだ。 格闘の間合いであれば、致命傷を受けるのは確実だった。

2014-08-19 00:04:09
『無神論(バチカル)』 @ALLbatikaru

対処は、相手が攻撃すると読んだ瞬間、つまり目眩ましをした瞬間。相手の足場を乱してナイフを安定して放たせない。 剣を床に突き立て、右手で腕のナイフを抜き、地面へ転がす。 (視線は色欲の双眸に合わせる。そこから私の意識が逸れた瞬間、禍罪で足場を乱す  まず、それしかない)

2014-08-19 00:04:12
『無神論(バチカル)』 @ALLbatikaru

「……握れる」 盾を床から取って、剣を地面から引き抜いた。 だが、この盾で防げば左腕が相当痛むだろう。それが隙になりはしないか。 重さと耐久性で選んだ盾である。持っているだけでも凄く痛い。

2014-08-19 00:04:16
『無神論(バチカル)』 @ALLbatikaru

剣の稽古で痛みに耐えるものはあったが、青あざを受けたこともなかった。極め技などで、痛みを覚えたのだ。 何もかもが懐かしい、生ぬるく中途半端な記憶の断片。 (何様なんだろ、私……)

2014-08-19 00:04:20
『無神論(バチカル)』 @ALLbatikaru

そこまで思い出したら、開き直った。 「大義名分は、勝者にあとからついてくる。だから私は、お前を殺すことに集中する」 大義は勝者の結果について回る。27歳だ、負け続けた負け犬の人生と、決別すべきだ。

2014-08-19 00:04:25
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

(…なんで、僕はこんなに苛ついてるんだろ) 放ったナイフは、狙い通りにしっかり相手の身体に食い込んだらしい。 再び剣をとり盾をとり、此方を見据えてくる彼女の姿に、『色欲』が覚えたのは確かな嫌悪感だった。 「大義名分とか、ばっかみたい。君は、そんなものの為に誰かから何かを奪うの?」

2014-08-19 09:26:20
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

禍罪で出した、2体の人形。 それを己の顔を隠す様に手に持ち、己が今まで殺した子供達の声を真似て、男は煽る様に言葉を続けた。 『お姉さんったら、結局は自分の正当性を誇示したいだけなんだね』 『あはは、そうだよ。お姉さんの言う通り、弱者はいつだって間違ってるんだ』

2014-08-19 09:27:16
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

「…でもさ、おかしいよね。それなのに強者はいつだって「弱い人を助けたい」って言うんだ」 彼女は政を習っていたと言った。ならば、きっと彼女は自分よりずっと上の身分だったのだろう。 ぼんやりと頭に浮かび上がる幼少期の自分と比べて、『色欲』は仮面の中で顔を歪めた。

2014-08-19 09:27:46
【醜悪(ヘスリヒ)】 @Akagachi_atom

「僕は大人も、遥か高みからこっちを見下してくる奴も、君みたいに自分のきったないエゴを大義と偽る奴も大っ嫌いだ。だから僕もきっと君を殺す。……大義名分なんていらない。僕自身の我儘の為に、僕は君を殺すんだ」

2014-08-19 09:28:16