【邪悪の樹】決闘フェイズ――神の樹

『智の剣』陣営『残酷』(@Akzeriyyuth_mm) 『理の盃』陣営『無感動』(@Az2_ady
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【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

そして手から滴る血を気にする様子もなく再び少女の方へ足を進める。 「おうちに帰りたくない?構いませんよ。痛いのは嫌?それも叶えましょう。でも、」 カツン、と足を止める。 「最後のだけは、どうにもできませんね。」 再び形成されていく、冷たき刃。 ちらりと少女についた傷を確認する。

2014-08-30 01:26:34
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

「痛みもなく、終わらせましょう。きっと【無神論】も待っていますから。」 ああ、と両手を合わせて。 「【無神論】なら、貴方の言っていたリンゴのパイもケーキもきっと作ってくれます。」 死ぬことは怖くない、とまるで諭すように。 「私の禍罪、何だか知っています?」

2014-08-30 01:27:08
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

スッと少女に向けて指を差す。 「私は記憶を、感情を、全てをこの罪の為に――」 得てしまった感情、思い出してしまった記憶。 罪人になった起点。全てを奪い、全てを得るための力。 だから覚醒する。眠り眠っていたこの力を。

2014-08-30 01:28:29
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

「――禍罪、『失魂』」 もうヒトの身体では成し得ないこの冷たき力。 ヒトとして生きられなくなっても、私には成し遂げなければならないことがある。 …ねぇ、エル。貴方も、私が救うから。 「さぁ、貴方の傷ついたその身体。どうやって動かしていたのかしら。」

2014-08-30 01:28:52
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

傷つけた対象部位の感覚も、扱い方も奪う、 まるでそこだけ魂が失われたかのように、何もできなくなる禍罪。 「…ごめんね。」 小さく、本当に小さく呟いた。

2014-08-30 01:29:02
【愚鈍】雪 @Setsu_MM

いつも一緒にいて、少女のことをたしなめたり、注意してくれたきつねの「せんせい」が、身の回りのことを熱心にしてくれたクマの「しつじ」が、凍って、動かなくなった。 犬の「きし」と猫の「おうじさま」はばたばたもがいているけれど、刺さっている氷を抜くにはまだ時間がかかりそうだった。

2014-08-30 02:55:54
【愚鈍】雪 @Setsu_MM

「しにたくないもん。しんだらなんにもないもん。にんげんはしんだらあわにならないし、おうじさまのキスでいきかえったりしないもん」 ケーキやりんごのパイが食べられなくなってしまう。それは嫌だ。腕の中の一番大事なうさぎは動かない。

2014-08-30 02:56:03
【愚鈍】雪 @Setsu_MM

「しんだらなんにもなくなっちゃうの!なんにもたべられないし、だれにもあえないの!」 右手が動かず、うさぎを片手で抱いていることに少女は気づいていない。左頬が表情をつくれずに、微妙に呂律が回っていないことにも気づいていない。

2014-08-30 02:56:12
【愚鈍】雪 @Setsu_MM

痛いことをするおねえちゃんの頭上に、ステンドグラスがあった。見たことのない、色のある光を透かすガラス板。ここに来た時に、とてもきれいだと、思った。 「エルがいたいのはいや!」 ぴしり、ステンドグラスにひびが入る。 「エルがけがするのは、いや!」

2014-08-30 02:56:21
【愚鈍】雪 @Setsu_MM

「やだ、やだやだやだ!しぬのはやだ!やだの!」 狂ったように叫ぶ。嫌だと叫び続ける。 叫ぶたびにステンドグラスにぴし、ぴしりと入るひびは広がっていき、やがて、ばりん、と堰を切ったように砕けて降り注いだ。

2014-08-30 02:56:25
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

「まだ、わがまま言いますか。」 お願いだからもう、眠って。 「いい加減――…っ、」 痛みが走る。 形成しかけていた氷の刃がその姿を保てず崩れていく。 肩に…ガラス片が…いったい… 降り注ぐ、光の欠片。 見上げて―――…初めて気が付いた。

2014-08-30 03:50:36
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

急いで氷で壁を作る。 間に合わずにいくらか身体に突き刺さった。 身を守る氷壁の中で、刺さったガラス片を抜く。 思ったより判断力が鈍っている。 はやく…はやくしないと… 血の滴るその手で、少女を指さす。 床と共に少女の足を凍らせる。

2014-08-30 03:50:56
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

足から、膝へ、末端から中枢へ。 徐々に、徐々に、じわりじわりと少女を氷が覆う。 絶対に、逃がさない。確実に、その心を、脳を、喉を。 少女の周りには鋭く、輝く氷刃。 どうか彼女が痛みを感じないうちに、一瞬で眠らせてあげる為に。 「――…エル、」

2014-08-30 03:51:16
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

あとはその刃を少女へ突き立てるだけ。 なのに。 …いや、私は決めたはずだ。 感情を閉ざし、氷のように生きると。 手が、震える。 「―――…エル、」 声も、震えていた。 身を守るその氷の殻の中で、彼女は身を震わせていた。

2014-08-30 03:53:31
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

分かっている、ここで躊躇えば私が死ぬと。 決断しなければならない。私は。 「――、エル!!!」 叫ぶ。 全てを救う為に、私は。 刃が一気に、少女へ向かっていった。

2014-08-30 03:54:08
【愚鈍】雪 @Setsu_MM

「しんじゃえ、しんじゃえしんじゃえしんじゃえしんじゃえ!」 足が冷たい。冷たいを通り越してひりひりする。それでも、死にたくないから、叫ぶ。叫べば誰かが、何かが、ぬいぐるみたちのように助けてくれるから。 「アディおねえちゃん、エルのことがきらいなんでしょ!」

2014-08-30 20:31:05
【愚鈍】雪 @Setsu_MM

「だからエルにいたいことするんでしょ!ころそうとするんでしょ!だったらおねえちゃんなんかいらない!エルのことがすきじゃないなら、いらない!しんでよ!エルのためにしんでよ!」 生えた氷のさらに下、教会の床材が砕ける。いくつかの重たい破片が宙を漂い、そして女めがけて突っ込んだ。

2014-08-30 20:31:15
【愚鈍】雪 @Setsu_MM

やっとのことで胸に刺さった氷を抜いて壁から下りると、犬と猫のぬいぐるみは刃に取り囲まれた少女の元へ走る。犬は「騎士」、猫は「王子様」。ぬいぐるみにとっての姫は少女で、何よりも守らねばならないものだった。こぼれる綿も構わず、少女を氷刃から守るべく覆い被さった。

2014-08-30 20:31:20
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

こちらを目掛けて飛んでくる破片を氷壁をつくりつつ避けて、距離を置く。 この小さな身体のどこにそんな力があるのか。 彼女の禍罪?…わからない、わからないが今度は視認できたから反応できた。 少女を守ろうと飛び出してきたぬいぐるみ達に勢いは衰えず、その凶器は無残に突き刺さる。

2014-08-30 22:23:36
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

ぬいぐるみとはいえ、自分の身を顧みずに。 ――…大っ嫌いな行為だ。 少女にはそうやって少女を守るものがある。 私には何もなかった。 しかしただ単にぬいぐるみを操るものだと思っていたが… ぬいぐるみだけでなく、そのモノ自体を操るものなら厄介だ。 この地全て彼女の味方となってしまう。

2014-08-30 22:24:48
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

自分の支配下に置けているのは、この氷のみ。 ――…頭が、いたい。 氷刃が突き刺さったぬいぐるみ達を、そのまま先程と同じように氷漬けにする。 これで少女の使いはもういない… いや、それでも、そこまでしても、少女にはまだ、味方が――…

2014-08-30 22:25:50
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

――…どうして。 私はずっとひとりぼっちだった。 ―――…どうしてあなたはそんなに沢山のものを持っているの。 「…どうして。」 愛されて、可愛らしい笑顔を持って、 そうだ、屋敷でもそうだった、私には無いものを沢山持っていた。

2014-08-30 23:25:09
【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

「…私は、貴方が嫌いよ、エル。」 ただの妬みでしかないのに。 キッと少女を睨む。

2014-08-30 23:25:14
【愚鈍】雪 @Setsu_MM

「きらいならいなくなってよ!エルのまえからきえてよ!」 昂ぶった子供の癇癪は止まらない。 「エルはだれからもすきっていわれないの!おとうさんも、おかあさんも、おうちからでようとしたらエルをぶつの!だからおうちからでちゃいけないの!」 屋敷にいた時は、忘れていたけれど。

2014-08-30 23:47:50
【愚鈍】雪 @Setsu_MM

屋敷もまた、外に出ることを許されないという点で、「おうち」と同じだった。 それに気づいてしまった。 「おねえちゃんも、エルが『おうち』からでたからおこってるんでしょ?エルがきらいで、エルがへんなことしないように、エルがめいわくかけないように、エルを『おうち』にとじこめるの」

2014-08-30 23:48:01