「千の想いを」~最終章03「意志」~
- mamiya_AFS
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左腕を下ろし、空になった拳銃を適当に放り捨て、天龍が龍田の元に歩み寄る。姉の目でなくとも、妹が疲労と負傷で足元がおぼつかないのが見て取れた。
2014-06-21 19:47:13龍田の髪を血にまみれた左手で軽く撫でてから、天龍が前にでる。 倒れたままの千歳を見詰める。 いや、倒れている千歳の傍らに座り込んでいる存在を。
2014-06-21 19:50:02常盤が落ち着いて起き上がり、樫野が伊吹に支えられながら立ち上がる。 千歳は呻き声すら上げる事もなく。 千代田が、膝を床に着けたままで、ゆっくりと顔を上げた。 佇む黒の姉妹の方へと。
2014-06-21 19:53:42遅れて甲板に現れた夕張と提督も、驚きに足を止めざるを得ない。 来ればわかるだろうと思っていた状況が、まったくわからない。 倒れている黒幕と、いるはずのない仲間。 何よりも、空気が歪む程の殺気を放つ千代田の存在に。
2014-06-21 19:57:30動こうとした夕張や伊吹へと険しい目線を向けて、天龍が一歩ずつ前へ出る。 武器は何も持っていない。 同じく手ぶらの千代田が、一度姉を見下ろしてからふらふらと立ち上がる。 雨は強くなっていくばかりで、闇もますます濃くなっていく。
2014-06-21 20:02:06千代田が、首を動かし周囲を見回す。 2度目の事である。 彼女が『自らの意志で』、『選択』を行うのは。 緩慢な動きではなく、はっきりと明確な意思を込めた瞳で選ぶのと捨てるのを繰り返す。
2014-06-21 20:07:45夕張の叫びに、提督が我に返り千歳に駆け寄る。 それを横目で見下ろし、千代田がぶつぶつと何かを呟く。 聞き取れたのは天龍だけだった。
2014-06-21 21:21:32@Yubari_Yasaka @tiyodadayo 分かりました! …っ、急所は……? 外れているか…!
2014-06-21 21:21:43「関係無いわ。殺す。絶対に殺してやる…!」 千代田が唸り、周囲を見回していた目線をまっすぐに天龍に向け、殺意を隠そうともしない。相手は面倒くさそうな、哀しそうな片目で小さく溜め息を吐いた。
2014-06-21 21:25:31樫野と伊吹、そして龍田が声を掛けるも、千代田の殺気には影響を与えない。 「千歳お姉を撃つ事情? 無いわ、そんなの」 千代田がゆらりと動く。船には必需でありあちこちに掛かっている輪状に巻かれているロープを手に掴む。
2014-06-21 21:29:18