敬老の日にちなんだ『江戸時代の老いと看取り』拾い読みツイート

これはなかなか興味深いですよっ!
8
ヤギの人🐐 @yusai00

敬老の日らしいんで、柳谷慶子『江戸時代の老いと看取り』山川出版 から拾い読みツイート。

2014-09-15 11:27:48
ヤギの人🐐 @yusai00

18世紀から19世紀にかけて、日本では社会全体の生産性が上がり長寿者が増加する。死亡率の高い幼児期を乗り越えれば、60歳以上の余命がかなり普通だった様子。地域によっては51歳以上では享年が70歳を超える。この頃から60歳以上の人口が15%を超える村や町が全国に見られるようになる。

2014-09-15 11:26:31
ヤギの人🐐 @yusai00

江戸時代の高齢者は隠居してみんなにチヤホヤされていたかとおもいきや、農村部では貴重な労働力だった。特に農繁期はそれぞれの能力や体力に合わせて共同作業に勤しんだ。また東北や北陸では「死譲り」と言われて、隠居の習慣がなく死ぬまで現役当主を務めたとの指摘も。

2014-09-15 11:32:56
ヤギの人🐐 @yusai00

また、跡取りが居ない家では高齢の当主が亡くなった後、年長の女性が当主となり死ぬまで務める事があった。

2014-09-15 11:34:45
ヤギの人🐐 @yusai00

こうした事は武士でも同様らしく、病気や老衰で役を退くことは認められていたものの、幕臣の場合は病気隠居は40歳を過ぎてから、老衰隠居は70歳を過ぎないと認められなかった。また高知藩・鳥取藩のように隠居自体を認めない藩も。80歳を超えて現役だった例も珍しくない。生涯現役が名誉だった。

2014-09-15 11:40:49
ヤギの人🐐 @yusai00

こうした状況が続くのは幕末までで、ペリー来航以降は隠居年齢が50歳まで引き下げられた。終身雇用が可能なのは安定した一時期だけ、ってのは今も変わらない感じがします。

2014-09-15 11:45:06
ヤギの人🐐 @yusai00

武士の場合、隠居後は隠居料が出て地誌を書いたり人生訓を書いたりする例が多かったそう。伊能忠敬なんかも確かそうだよね。第二の人生を趣味に生きる、みたいなもんか。

2014-09-15 11:48:12
白汀 @hakutei0528

@yusai00 士農工商「死ぬまで現役」のイメージがありましたが、やはりそうだったんですね。仕事中に吐血して倒れて(イメージです)初めて休める。そして手遅れ、みたいな。

2014-09-15 11:58:28
ヤギの人🐐 @yusai00

@hakutei0528 死ぬまで現役の人もいれば、気ままな隠居暮らしの人もいる、って感じでしょうか。

2014-09-15 12:26:38
ヤギの人🐐 @yusai00

いっぽう庶民は隠居料が幕府や藩から出るわけではないので、それぞれの家の経済事情で異なった様子。裕福な家は隠居料が家督世代から出たけど、それでも隠居と家督世代で家督を相続させる替わりに隠居料の中身を契約文書で取り交わす例も珍しくなかった。結構シビアですね。

2014-09-15 11:53:31
ヤギの人🐐 @yusai00

基本的には儒教の孝原理が根底にあるので、家督世代は親である隠居を養う義務があった。長寿を祝う儀礼や習俗が広まるのは江戸時代だが、その儀式や習俗は老人を尊敬する精神を換気させる装置として機能する。同時に藩は藩士や庶民を集めて敬老会を主催、敬老精神の規範を示し藩の秩序維持に利用した

2014-09-15 12:04:11
ヤギの人🐐 @yusai00

また藩内のご長寿家庭に老養扶持が支給された例も珍しくない。中でも会津藩は1663年にこれを施策化している。90歳以上の領民に身分を問わず一人あたり玄米を一日五合、年間で一石八斗二升五合、支給している。ちなみにこの年の該当者は150人ほどいたそう。思ってるよりずっと多い印象ですね。

2014-09-15 12:11:54
ヤギの人🐐 @yusai00

こうした各藩の施策は幕府にも取り入れられ、1868年には80歳以上に三貫文を支給する方策を示している。これも風俗統制が主な目的で、領内での敬老精神を啓蒙し不幸不順のないようにすることが目指されていた。ただ、こうした高齢者の扶養負担が19世紀になると社会全体の問題となっていた。

2014-09-15 12:48:11
ヤギの人🐐 @yusai00

高齢者の介護、看取りの話。これは家や地域が基本で、武士は介護のために勤務を休める制度があった。幕府では「看病断」諸藩では「看病引」「看病願」「看病不参」などと言った。こうした高齢者とその家族に対して幕府は18世紀以降、それぞれに褒賞金を出している。

2014-09-15 12:55:00
ヤギの人🐐 @yusai00

ただ幕末にもなると、人の流動性が高まり相続する家、親族が少なくない武士でも単身で老後を暮らすものが増えていて藩が憂慮する事態になっていた。武士でもそうなので、さらに流動性の高い下層社会は深刻で、例えば17~18世紀の京都では貧困や病気を理由に老人の自殺が後を絶たなかった、とも。

2014-09-15 12:59:00
ヤギの人🐐 @yusai00

以上、敬老の日にちなんで、柳谷慶子『江戸時代の老いと看取り』山川出版から、目についたところを拾い読み連続ツイートしてみました。TL汚し失礼しました。お付き合いいただいた方、ありがとうございます。

2014-09-15 13:03:45
ヤギの人🐐 @yusai00

江戸時代の老いと看取り (日本史リブレット) 柳谷 慶子#アマゾンポチ と入れて@返信でカートに追加・後で買う amazon.co.jp/dp/463454704X/… @amazonJPさんから

2014-09-15 13:03:52