対空射撃基礎講座

対空機銃の特性や理論等の基礎を簡単に紹介することを目的としている。そのため内容としてはかなり端折っているので物足りない点についてはご了承願いたい。 細部詳細を知りたい、勉強したいという方は、私のTwitterにDMするかスペースへの参加をお願いします。
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さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

敵機の編隊が一方向より襲撃してきた際の機銃の指向概念図でいわゆる「指向第一」の要領一例。この指向方法は冒頭通り一方向からの襲撃に対して指向可能な全砲火を集中する方法。 pic.twitter.com/MuT0l8YCCK

2016-03-20 18:48:41
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さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

本例の場合、左舷方向より襲撃を受け、指向できる全砲火を集中するわけだが、この際に艦首側の機銃については敵が占める空域の右(青)に指向し、中央部の機銃は空域の中央部上下(赤)に、そして艦尾側の機銃は空域の左(緑)にそれぞれ分担して指向することで効果的な集中砲火を行う。

2016-03-20 18:53:24
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

弾の命中公算には、目標の大きさ、射距離、円形公算誤差及びその平均弾道通過点と目標との位置が関係してくる。下図は円形公算誤差の理論上のもの。実際は気象条件や火器弾薬の状態で変化していく。 pic.twitter.com/B7Ghjuhrcr

2016-05-29 22:43:43
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さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

射弾の散布については平均弾道通過点を中心として方向、高低、射距離方向のそれぞれに対して概ね正規分布する。従って分布範囲が小さいほど精度良好だと言える。円形公算誤差の中でも弾の通過総数の半数を含んだ部分を半数必中界といい、この部分に目標があれば命中が期待できる。

2016-05-29 22:48:45
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

弾丸の命中公算については円形公算誤差に比べ目標が大きく、射距離が短く、なおかつ円形公算誤差が小さい、すなわち精度が良好であるほど命中する公算が高くなる。左図と右図で説明すると左図の方が命中公算が高い。 pic.twitter.com/QEX7BMJd3b

2016-05-29 22:53:37
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さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

一見すると半数必中界内に入っているので命中公算が高いように見えるが前の左図と比べると命中公算は小さい。 pic.twitter.com/NhvlVE52uD

2016-05-29 22:57:17
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さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

射程距離が長くなればなるほど目標は小さくなりそれだけでも命中公算が小さくなることは理解できると思うが、大抵の場合がコレ。いくら精度が良くても結局はこの円形公算誤差内に目標を捉えられていないと命中はしない。 pic.twitter.com/FD0kEXAzu7

2016-05-29 23:00:35
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さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

よくある勘違いであるのが三式弾の弾子。大口径砲用の三式弾には二十五粍弾子が充填されているのだが、これは直径約25mmの長さ約70mmの鉄パイプで中に焼夷剤が充填した物とそうでない物があるが、この弾子を「25mm機銃弾」と読み間違い又は勘違いされてる方が多い。25mm機銃弾とは別物

2016-06-13 23:14:55
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

ちなみに中口径砲用は20cm砲用の二十粍弾子甲と12.7cm砲及び同高角砲用の二十粍弾子乙と弾子の大きさが異なる。前者は20mm×68mm、後者は20mm×50mmとなっている。

2016-06-13 23:17:37
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

三式弾の話が出たので一般的な破片効果について述べる。まず破片効果とは何か。簡単にいえば炸薬の破裂によって飛散した弾体の破片や三式弾のような炸薬内に混在させた金属片等が目標を破壊する効果をいう。

2016-06-16 19:42:40
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

破片効果の度合いについては、破片の数、破片の大きさ、、破片の形状、飛散又は放出速度、破片の分布、破裂位置と目標との離隔距離、目標命中時の破片の存速、目標の強度などによって変わってくる。

2016-06-16 19:48:03
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

大きい破片及び速度大の破片は破壊効果が大きく、破片が小さくなると目標への命中数が多くなる。合わせて目標に対して近い距離で炸裂させるほど効果が大きい。

2016-06-16 19:50:33
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三式弾については大川大佐が零式通常弾とを比較して零式通常弾の方が危害容積が大きく、しかもガソリンタンク系統への破壊効力も大きく、弾片が非常に高温を保持する点から能力的に焼夷弾子に劣らないとし、また艦政本部第一部、弾道担任者だった磯恵中佐は計算上利益なしとして三式弾の提案に反対した

2016-06-16 20:14:40
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

三式弾と零式通常弾については炸裂時、前者は円錐状に後者は球状に飛散するようになっている。具体的な例だと呉海軍工廠史料によれば、12.7cm高角砲用三式弾は弾子の燃焼距離が600m、弾子の散開角度は約10度で危害半径54m。

2016-06-16 20:24:07
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

50口径三年式14cm砲用の零式通常弾の場合、水平距離5000m、存速500m/sで危害半径250mという数値。

2016-06-16 20:27:19
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

数字だけでみれば一概に比較はできなくとも零式通常弾の方が有効のように思われるかもしれないが、現場では三式弾は有効であるという声も多い。その理由は先にも述べた三式弾と零式通常弾の炸裂時の断片の飛散の仕方。

2016-06-16 20:34:39
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

これは以前にも述べたことだが、零式通常弾は球状の危害範囲を有するが、全方位に飛散するゆえに急降下や編隊といった直進目標に対して効果を与えるであろう弾片の数は少なくなる。この点、三式弾は危害範囲こそ零式通常弾に劣るものの、上記の目標に対して効果を与えるだろう弾片の数は多くなる。

2016-06-16 20:43:25
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

いずれにしても両者とも、目標に対して効果を与えるには適切な位置で破裂させる必要があり、その点で考えれば三式弾よりも零式通常弾の方が効果的ともいえる。

2016-06-16 20:53:41
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

陸軍では高射砲弾についてどのように考えていたのか。陸軍では高射砲弾は主として側方効果であったので急降下又は直進目標に対する威力が無く、すべての高射砲弾の欠陥であったと、零式通常弾と同様の飛散の仕方をする高射砲弾を欠陥だとまで言っている。

2016-06-17 21:41:28
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

ちなみに七高の側方破片効果はせいぜい20mぐらいである。 反省点としては高射砲弾も野砲の榴霰弾のように前方に弾子を放出できるような砲弾を高射に利用すれば急降下もしくは直進機に対して大きな威力を発揮できたであろうとしており、

2016-06-17 21:46:17
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

海軍の例として三式高射弾、つまり三式弾のような高射砲弾があればと痛感していた。日本陸海軍の共通的な認識としては横行する目標ではなく、こちらに直進する目標及び急降下目標に重点を置いていたことが窺える。

2016-06-17 21:49:00
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

主とする射撃目標が直進目標若しくは急降下目標ということで考えるのであれば現場で三式弾は有効だから増備してほしいと求める声が多く出るのも理解できよう。

2016-06-17 21:58:53
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

50口径三年式14cm砲用の零式通常弾の危害半径について打ち間違いがあったので訂正。 誤:危害半径250m 正:危害半径「25m」

2016-06-18 12:58:09
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

機銃の対空射撃においては、照星環航路と的針角は終始変化ため、常に正確な現在の的針角の調定及び照準基線を目標の航路上に指向させるのは単装だろうが連装だろうが難しい。しかも発射中は機銃の俯仰旋回は思ったようにはいかないのが普通だ。

2016-08-16 20:33:37
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

従ってこれらの理由から発射された機銃弾の一発一発が命中するというのは不可能な話で、各種要因で発生する誤差量をカバーするためには一連射また数連射の射弾を用いて、発射された弾の何れかが命中するという方式を取らざるを得ない。

2016-08-16 20:39:00
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