#日刊小説 まとめ 7＆8週目
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りんねさん
@tmn15679
おはようございます 昨日は低気圧で死んでたのでこれから水曜日分の #日刊小説 をやっちゃいます 木曜日分も水曜分を終えて朝ごはん食べたらやります。
2014-09-25 08:47:04
りんねさん
@tmn15679
65：小物の妖魔たちは日差しが遮られている場所から出てくる気配はない。と、ここまで沈黙を保っていたコッペリアが口を開いた。 悪魔ノ気配ヲ出シ過ギデス。 それに対して、セバスチャンは微笑む。 こうして格の違いを見せつけておけば、襲ってこようなどと思わないでしょうからね。 #日刊小説
2014-09-25 08:51:44
りんねさん
@tmn15679
66：ナルホド。理解シマシタ。 コッペリアはそれだけを言うと再び黙りこむ。が、心持ちエスティとセバスチャンの距離を引き離し、その間に自分が割って入ったのであった。 そして、しばらく歩いて行くと聖マルグリット救貧院に辿り着く。 なんてみすぼらしい…… エスティが呟いた。 #日刊小説
2014-09-25 08:59:08
りんねさん
@tmn15679
67：聖人の名を戴いた救貧院は、その聖人の名には見合わないほどにみすぼらしい外見をしていた。 庭の草は伸び放題。外壁には蔦が絡み放題。外壁にしても所々欠け落ちているような有り様だった。 まあ、それはさしあたりいいでしょう。きみ、院長を呼んできてもらえますか？ #日刊小説
2014-09-25 09:05:09
りんねさん
@tmn15679
68：セバスチャンは子供に1ペンスを渡すと、院長のウィリアムを呼びにやらせた。 しばらくすると、頭が禿げ上がった一人の男がやってきて、院長だと名乗った。 レディ、気がついていますか？ シエルが耳打ちをしてくる。 ええ、子共はやせ細って血色が悪いです。でも…… #日刊小説
2014-09-25 09:14:02
りんねさん
@tmn15679
69：この院長は豚のように太っていて、血色も良いですね。 シエルが言葉を引き継いだ。 着ているものも子どもたちは粗末ですが…… ええ、この豚は貧民街にしてはずいぶんと上等なものを着ているようだ。 二人が話している間に、セバスチャンが院長から情報を引き出していた。 #日刊小説
2014-09-25 09:17:15
りんねさん
@tmn15679
70：どうやら、子供がいなくなっているのはこの救貧に限ったことではないようです。 話を聞き終えたセバスチャンが、耳打ちで伝える。 いかがわしい魔術結社の奴ら共が生贄目的にさらってるんじゃないですかねえ？ ウィリアムはヘラヘラ笑いながらそう言った。 #日刊小説
2014-09-25 09:19:42
りんねさん
@tmn15679
71：それだけでもエスティに気分が悪い物だったのに、この豚の男は更にこんなことを言ってのける。 食い扶持が減りますが働き手も減りますからねえ……痛し痒しってところでさぁへっへっへ。 そんなふうにへりくだって笑う豚のような男にエスティは嫌悪を覚えた。 #日刊小説
2014-09-25 09:21:44
りんねさん
@tmn15679
72：どうやらこの男は教区からの給金や子共達が働いて得た金を着服し、文字通り豚の様に私腹を肥やしているようですね。 シエルは、エスティに耳打ちを続ける。彼の声にも、嫌悪の色がにじみ出ていた。 ふと、エスティが眉を顰める。尋常じゃない子供の泣き声が聞こえてきたのだ。 #日刊小説
2014-09-25 09:25:49
りんねさん
@tmn15679
73：あの泣き声は何ですか？ エスティが尋ねると、院長はお客様には関係にないことでさぁ……と言いつつ取り合わない。 その態度に腹を立てたエスティは、コッペリアに呼びかけた。 コッペリア！ イエス！ コッペリアがかけ出す。エスティと大神もそれに続いた。 #日刊小説
2014-09-25 09:29:55
りんねさん
@tmn15679
74：追いすがろうとする院長を、セバスチャンとシエルが押し留める中、エスティたちは泣き声の発生源に辿り着いた。そこでは、まだ10歳にもならないであろう痩せこけた少女が、女性職員から鞭打ちを受けていた。 なにをしているのですか！ エスティは人生初の、怒りの声を上げた。 #日刊小説
2014-09-25 09:34:29
りんねさん
@tmn15679
75：エスティは女王陛下の紋章の入った短剣を、コッペリアは聖堂騎士団の紋章が刻まれたハンカチーフを取り出して、女性職員につきつける。 救貧院とは、貧しい人々を救うための施設だと伺っていましたが、ずいぶんと現状は違うようですねえ…… 大神の皮肉が、エスティには痛かった。 #日刊小説
2014-09-25 09:37:13
りんねさん
@tmn15679
76：いくら何でもこの教会の、聖堂騎士の紋章ぐらい間見たことがあるわよね？ さあ、答えなさい。貴女はなにをしていたの？ 狼狽える女性のところに、新たに女性が入ってきた。こちらは鶏ガラのように細い女だが、血色は院長に負けず劣らず良く、陰湿そうな顔立ちをしていた。 #日刊小説
2014-09-25 10:00:16
りんねさん
@tmn15679
77：その子は粗相をしでかしたので折檻をしていたのですわお客さま。それよりも、そのような格好で女王陛下の紋章や聖堂騎士団の紋章を出すあなた方のほうがおかしいと思いませんこと？ この言葉を聞いてエスティは理解した。この女は自分が幼い頃にいた大嫌いな家庭教師と同類だと。 #日刊小説
2014-09-25 10:04:32
りんねさん
@tmn15679
78：人の話は聞かないくせに自分のことばかりをしゃべり続け、しかも何かと借り物の権威を盾に威張り散らすタイプの古い女性。 コッペリア、落ち着かせてあげなさい。 ハイ、御嬢様。 コッペリアの声を聞いて、女はさらに興奮したようだったが、平静を与える奇跡をコッペリアが施す。 #日刊小説
2014-09-25 10:07:06
りんねさん
@tmn15679
79：私達は女王陛下の密命を受け、イーストエンドを歩き回るのに相応しい格好をしているだけです。 それよりミセス、貴女はずいぶんと良い服を着て、とても良い食事をしておられるようですけど、子共達の服はみすぼらしく、骨と皮ばかり……一体どのような待遇をしているのです？ #日刊小説
2014-09-25 10:10:52
りんねさん
@tmn15679
80：今は密命中ゆえ忙しくあなた方の相手をしている暇はありませんが、落ち着いたら再び視察に参ります。 場合によっては給付金も大幅に減らさねばなりません。そして、院長や職員の大半も解任しなければならないでしょう。そうならないように、次までに処置を施しておくこと。 #日刊小説
2014-09-25 10:15:42
りんねさん
@tmn15679
81：エスティは力強い声でそう告げると、コッペリアに子供を奇跡で治療させたあと、ちゃんとした食事を与えるようにと女性職員たちに命じて再び院長のところに戻ると、先ほどと同じ言葉を告げて、院長の血色の良い顔を蒼白にさせたのだった。 院長は平身低頭で処遇の改善を約束した。 #日刊小説
2014-09-25 10:20:16
りんねさん
@tmn15679
82：ところでレディ、あちらで子供達が食事中のようですよ？ セバスチャンが、悪魔の囁きをエスティに吹きこむ。 目論見通りエスティは食堂に行き、子供達が食べているものを見て愕然とする。 底の浅い丼に入れられた薄い粥のようなものを、僅かでも残すまいと食べていたのだ。 #日刊小説
2014-09-25 10:30:36
りんねさん
@tmn15679
83：こんな…… これが貧民街の子供の一般的な食事というものですよ、レディ。そして、それでも食べられるだけ、まだましなのです。 セバスチャン！！ シエルが怒鳴りつけるとセバスチャンはおしゃべりを止めた。 ヤハリ、貴男ハ悪魔デス。 ええ、悪魔で執事ですから。 #日刊小説
2014-09-25 10:33:34
りんねさん
@tmn15679
84：コッペリアの批判も、セバスチャンは微笑んで躱す。 ですがレディ、そして坊っちゃん、これがスラム街の現実なのですよ。 おっと、その懐に入れた手はなんです？ 小切手ですか？ 拾った猫に気まぐれで餌をやったところで、貴女はその猫に餌を与え続けることができるのですか？ #日刊小説
2014-09-25 10:38:21
りんねさん
@tmn15679
85：……もっと根本的な対策をしろ、と？ さすがは聡明なレディでいらっしゃる。もう少しだけ心の苦痛の声を聞いていたかったのですが……いえ、冗談ですよ機械仕掛けのお嬢さん。ともあれ、これが現実です。 セバスチャンはコッペリアが水晶の瞳で睨みつけたので囀りを止めた。 #日刊小説
2014-09-25 10:41:07
りんねさん
@tmn15679
86：まあ、それはともかく、本題に戻りましょう。子供たちがいなくなっているのは事実らしいです。とは言えそれとオカルティストたちとの関係性は見つけられない。そして、今は懐中時計の回収が最優先です。救貧院も心が痛む問題ではありますが…… そうですわね、ミスタ・大神。 #日刊小説
2014-09-25 10:44:58