書評:電子立国は、なぜ凋落したか

電子立国は、なぜ凋落したか 西村吉雄/著 出版社名 : 日経BP社 出版年月 : 2014年7月 BY 中村伊知哉氏 経験談とともに
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中村伊知哉 @ichiyanakamura

西村吉雄「電子立国は、なぜ凋落したか」読む。"大きな産業が一つ、いま日本から消えようとしている。"で始まる、テレビ、通信、PC、半導体。あのころの陰画としての現在を考える。

2014-10-04 09:00:05
中村伊知哉 @ichiyanakamura

電子立国は、なぜ凋落したか:"地デジ特需終了は分かっていたはずなのになぜメーカーは対応できなかったのか。" 理由はあれこれ挙げられるが、要は経営判断の問題ですよね。

2014-10-04 09:02:08
中村伊知哉 @ichiyanakamura

電子立国:"経営、戦略、コスト競争力で負けた。技術では負けていなかった。日本半導体産業の言い分はこの2点に集約される"という。でもそれは社内で技術側が経営側に負けてたってことじゃないですか。

2014-10-04 09:04:14
中村伊知哉 @ichiyanakamura

電子立国:"日本の半導体メーカーは設計と製造の分離を嫌った。設計と製造を統合した事業形態に最近まで固執し続ける。" これで日本は負けましたが、これも経営判断の問題だと思います。

2014-10-04 09:06:08
中村伊知哉 @ichiyanakamura

電子立国:半導体の設計と製造は、雑誌の編集=出版社と印刷=印刷会社の関係。筆者はこの分離論を80年代半ばから説いたが、聞き入れられなかったという。聞き入れられない様子、よくわかるなぁ。

2014-10-04 09:08:05
中村伊知哉 @ichiyanakamura

ぼくが役所で通信放送融合を言い募り始めたのは92年。放送局からコテンパンに叩かれ、それから15年たってもそのせいで番組を降ろされたりした。ネット利用に業界として戦略転換して踏み込み始めたのはまだここ数年のこと。

2014-10-04 09:10:10
中村伊知哉 @ichiyanakamura

電子立国:"インターネットとの整合性を嫌う業界(放送)は、つまるところイノベーションが嫌い"。放送業界はイノベーションが起きないことが最善の戦略だった。でも起きてしまってからどう対応するかは別問題。(つづく)

2014-10-04 09:12:13
中村伊知哉 @ichiyanakamura

「電子立国は、なぜ凋落したか」つづき。"垂直統合型大企業を20世紀に発展させた米国が、それを壊してベンチャーや大学を巻き込んだ水平分業を発展させた。” それこそ「イノベーション」ですね。

2014-10-05 09:00:08
中村伊知哉 @ichiyanakamura

電子立国:"日本ではイノベーションの訳語に「技術革新」が長くあてられてきた。""技術革新はイノベーションではない。新たな分業はイノベーションである。" 東大・吉川良三さんも同じことを言ってました。

2014-10-05 09:02:11
中村伊知哉 @ichiyanakamura

電子立国:"日本はバブル期に基礎研究ブームが置き、企業の中央研究所に力が入った。科学技術に多額の公的資金が投入された。だが経済の活性化にはつながらず、むしろ停滞した。" この「研究と成果との関係」は深く検証すべきと思う。

2014-10-05 09:04:14
中村伊知哉 @ichiyanakamura

基礎研究への公的支援にはぼくも関わったことがあるので反省を要する。研究開発重視が現在の停滞と相関しているなら、早期に検証して軌道修正せねば。

2014-10-05 09:06:05
中村伊知哉 @ichiyanakamura

電子立国:"研究成果を市場に媒介しようとする企業家を発掘しなければならない。” 結局、経営者の育成・確保に帰結する。そのためにはどんな方策があるのだろう?

2014-10-05 09:08:04