地方創生は「百姓創生」
- ShinShinohara
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地方創生が叫ばれる中、農業では大規模農業が推進されています。農業を大規模化することで生産コストを下げ、国際競争力を獲得しようというもくろみです。
2014-10-06 22:41:03農業の大規模化は、一人あたりが耕す面積を拡大することで、コストを下 げようということを意味します。 アメリカ並みとは言わなくても、フランス並みの規模拡大を目指すのであ れば、農業人口は今の10分の1、すなわち20万人もいれば十分でしょう。
2014-10-06 22:41:21しかしこのことは、地方から人がいなくなることを意味します。言わずもがなですが、地方の産業の中心は農業です。大規模化は、その農業が抱える雇用を減らすことを意味します。 地方から人がいなくなるのです。
2014-10-06 22:42:23人がいなくなった地方では、教育や医療、介護福祉などのインフラを維持することも難しくします。政府の方針通り、地方に踏ん張って大規模化にいそしんだ生産者は、誰もいなくなった地方で、子どもに十分な教育を授けることも、医療機関に駆け込むことも難しくなるのです。
2014-10-06 22:43:24そして、農業は食糧を生産する営み。 食糧は誰もが食べられるよう、安価に製造されることが望ましい、という宿命を持っています。ですから、生産者は農作物をさほど高く売りることができません。金銭面でも決して恵まれるわけではありません。地方創生と(単純な)農業大規模化は矛盾すると言えます。
2014-10-06 22:46:01地方創生を進めるには、「百姓創生」が不可欠です。百姓とは、百の職能を持つ人々のことを意味し、決して農業だけを実施する人のことを意味するものではありません。
2014-10-06 22:46:49しかし戦後農政では、地方では農家がいても百姓がいなくなってしまいました。兼業農家がかろうじて百姓的機能を果たし、地方での雇用と人口維持に寄与しましたが、日本農業の施策をねじ曲げたという副作用については、反省が必要です。
2014-10-06 22:47:58さりながら、もし地方が大規模化に成功した専業農家だけになれば、地方は没落し、結果的に大規模農業でさえ、担い手不足で立ちゆかなくなるのは目に見えています。地方創生には、多様な職業をもつ「百姓」が必要です。
2014-10-06 22:49:10従って地方を再生するには、大規模農業により国際競争にも負けない生産者を育てる一方、小さな農地を耕しながら、様々な職能を有する「百姓」を多数育てることで、地方の雇用を維持する必要があります。
2014-10-06 22:50:09矛盾しているかのようですが、一方に偏することなく、大規模化と「小規模百姓化」の両方を推進すべきです。地方に多様性を担保することが、やがては地方創生につながることでしょ う。
2014-10-06 22:50:56