rsbs日誌#33

レズボス日誌。第三三巻 ツイ鎮SS
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﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 「…やれやれ。それが貴様の正体かや。深海棲艦に身を売り、深海棲艦を滅ぼそうなどと…笑い話も良い所じゃな」「ちょっと…!笑ってる場合じゃないんじゃない!?」龍田は恐れ、比良坂の腕へと軽く抱きついた。眼前のソレは最早人間に在らず、体躯は3mは在ろうかと言う化け物だ。

2014-10-10 19:23:21
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#rsbs日誌 「安心せい。所詮あやつは紛い物よ」後ろに下がる様にと比良坂は言ってやり、青白い肌の化け物と対峙した。「では一つ、貴様に本物の魔術と言う物を見せてやろう、このド三流」右手を掲げ、比良坂の呪文が大気を震わせる。十重二十重に精霊文字が煌めき円を紡いだ。瞬く間の時間だった

2014-10-10 19:29:09
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#rsbs日誌 「うつし世から疾く去ぬがよい!落ちよ火神鳴り!」雷鳴が轟き、路地を覆っていた幾重もの屋根を突き破り、轟音と共に閃光が辺り一杯に満ちたと思うと巨大な化物は火に焼かれていた。「ア゙ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙!!?!?」焼かれて、燃えて、化物は小さく縮んで行ってしまった…

2014-10-10 19:35:43
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#rsbs日誌 焼き焦げた地面と、踞る人間程度の化け物の成れの果て…比良坂は冷やかにそれを見つめていた…「お主もわしの様に、明るく化け物を楽しめたのならばまだ良かったろうに、のう…」懐から刀を取りだし、鯉口を切ろうとした。「待って…」静寂を守っていた龍田がポツリと喋る…

2014-10-10 19:40:21
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#rsbs日誌 「御別れを、言わせて頂戴」静かに囁く龍田に、比良坂は頷いて見せた。「よかろう」そっと前を明け、眼前にたたせた。「…ショーコちゃん…」呼び掛けども、声は帰ってこない。「苛められてた私を守ってくれてた時の事、今でも感謝しているわ。だけど…」対艦用薙刀を展開し、構える…

2014-10-10 19:44:25
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#rsbs日誌 「私の心はもうとっくに、奪われてしまっているの」「…………ぅ…ァ…」「さよなら」薙刀が素早く振り回され、焼け焦げた青白い死に損ないの化け物をバラバラに切り刻む。斬られ、裂かれ、燃えて爆ぜて、憐れな憐れな化け物はこの世を去った…一人の艦娘に傷の記憶を残して…

2014-10-10 19:48:39
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#rsbs日誌 静寂。遠くに聞こえる雨の音が、弱まって来た様に思えた。「…さて、どうするかや?」ジュッ。と燐寸が燃える音が響き、甘く優しい香りの紫煙が龍田を包み込んだ。「何を、かしら」「提督であったモノは死んだ。悪事も働いておった故、今頃鎮守府は憲兵が踏み込んで大騒ぎじゃな」

2014-10-10 19:54:49
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 「望めば、他所の鎮守府に再配備して貰えるのじゃよ」「……」龍田は無言だった。そして…「…嫌よ」カラン、と薙刀が手から離れ、地面に転がる。「…夜鷹を装っていた龍は死んだ。それじゃ駄目かしら…?」囁き、か細い指が比良坂の頬に添えられ、唇を小さく擽る。

2014-10-10 19:58:40
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 「…フムン…小さな龍よ。この魔女に何を望む?」「…平穏と、恋のお薬…胸がね…いたいの…」「ならば応えてやらねばなるまい。おいで…小さな龍よ。わしの世界を見せてやろう…それはどす黒く、真っ赤な血で満ちているが…」「悪い世界ではないのでしょう?いいわ。付いていくから」

2014-10-10 20:02:26
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 「其処まで言うのならば良いじゃろう。おいで、小さな龍よ…わしの島へと連れていこう…」広げられた外套に包まれ、少女は唐傘を指した小さな魔女と共に暗い路地へと消えていった……その日、横須賀のとある鎮守府から、一人の龍田が永遠に消えた。人知れず…雨だけが、知っている。

2014-10-10 20:06:36
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