資料の山というのは弱者の武器でもあり、強者が責任から身を守るための盾でもある
- lucifer_af
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抗生剤の皮下投与、できたら便利だよなと思う場面も多いし、実際に「もうとっくにやっているよ」と書いている事例とか教科書もあるのだけれど、実際に「これをやりましょう」と紹介するときに、根拠を探すのがけっこう難しい
2014-09-30 10:52:54「こんな報告があります。やりましょう」だとさすがに弱い。「有名な医学雑誌にレビューが載りました。やりましょう」でも、今だと厳しい。やったとしてじゃあ、どんな合併症があるのか。どれぐらいの濃度でやるのがいいのか。痛みはないのか。突っ込みどころはたくさんある。
2014-09-30 10:53:59自分の興味で何かを読むのではなく、誰かに「これをやりましょう」と紹介するときには、調べなくてはいけないものがずいぶん多くなる。マッキンゼーのコンサルタントの人とか、仕事中はほとんど徹夜になるような話を読んだことがあるけれど、要するにそういうことなのだろうし
2014-09-30 10:55:03興味を満たすレベルと紹介するレベル、説得するレベルとで、それぞれ調べ物の深度は異なってくるのだろうと思う。特に説得に必要な調べ物の深度は。診療ガイドラインを作る先生がたとか、一度の会議で段ボールひと箱ぶんの資料を読まないといけないだとか、なんだとか
2014-09-30 11:00:44「面白いでしょう。君もやりなよ」は紹介の段階だけれど、この深度で調べたことでは人を動かすことはできない。「こんなに面白いのに、どうして誰もやろうとしないの?」という疑問の答えは、たいていの場合恐らくは勉強不足で
2014-09-30 11:05:49交渉プロフェッショナル 国際調停の修羅場から という本にも、筆者の人が若手だった昔、山のような資料を紙一枚にまとめる練習を日々やらされたのが基礎になったようなことが書かれていた。「お前ら殺すぞ」とその人を怒鳴りつけた大臣が出てきて、名前が松本で「あぁ」と思ったりも
2014-09-30 11:08:39今結局、ネット関係で一番お金を支払っているのはUpToDate で、毎年5万円ぐらい会費がかかる。結局このお金で何を買っているのかと言えば、知識それ自体というよりも、むしろ「UpToDate にこう書いてありましたから」という説得コストの削減なのだと思う
2014-09-30 11:14:06論文雑誌をめくれば、最新の医学知識は手に入る。教科書を読めば、ほとんどの知識は体系化されている。いずれにしてもUpToDate よりははるかに安価なのだけれど、教科書に基づいて論文の知識をまとめ、誰かを説得するのに要する手間が莫大で、あのサービスはそこを代行してくれている
2014-09-30 11:15:37知識では足りず便利だけだと弱く、ユーザーの興味を満たすためではなく、それが誰かを説得するための道具として役立つぐらいに量と質とが両立すると、世界中のだれもが、否応なしにお金を支払うようになる。
2014-09-30 11:18:01「こうしようよ」という提案には、当然のように現状維持を好む人がいて、問題点を指摘されたり他社の事例を要求されたり、あるいは成果を予測する必要が生まれたりする。コンサルタントのお仕事はそういう突っ込みに根拠を持った回答を用意することでもあって、本来それには莫大な労力がいる
2014-09-30 11:22:23ある業界における「こうしたい」「こうしようよ」という発想はおそらく有限で、説得の根拠は使いまわしができる。同じ根拠を複数のユーザーに販売することが出来るのならば、利幅が生まれる余地がある
2014-09-30 11:24:49十全に手を回していれば、何かまずったとしても身を守れる。それがなんとなくで雰囲気に流されると、いざという時に身を守れない。要するに@medtoolzのそれは意思決定プロセスのルールの話なのだ。一定の手続きを踏まえたコストを支払って履行しているかどうかを請われてるといえる
2014-09-30 19:19:42このあたりの心理解剖というのは極めて処世術かなと思いますね。理系的な感性からするとナンセンスなんでしょうが RT @medtoolz: 強者に賞賛を贈った同じ口で、弱者に逆転の夢を売るのが商売人の心がけなんだろうなぁと。。
2014-09-30 19:25:35@igi 常勤5人ぐらいの狭い所帯で、上の先生の経験をひっくり返すような「こういうことこれからやりませんか?」と提案するときには、やっぱり資料の山と、「白人の権威もこう言ってるみたいです」といった箔付けが欠かせないのです。。
2014-09-30 19:26:59実際問題として、わざわざ英語の論文をひっくり返して何かを調べるときの理由はといえば、誰かに「白人様はこう言っています。だからそれに従いましょう」と言いたいことがほとんど全てだったりもする。統計に基づいた論文の批判的吟味なんてできないし。
2014-09-30 19:28:58アニリール・セルカンが東大で権威になったのもそうだし、カルロス・ゴーンが日産で受け入れられたのもきっとそうなんだろうし、桃太郎の昔話は、あれは鬼が暴力振るったのではなく、ただ神様として崇められ、一方的にお供えを鬼ヶ島に送られていたんじゃなかろうかとも思う
2014-09-30 19:31:16「先生! 白人様はこうおっしゃっています」のやりかたでいろいろ提案していて思うんだけれど、リーダーよりも神主のほうが、立ち位置として強くて楽なんじゃないだろうか。。
2014-09-30 19:35:34説得という言葉ひとつとっても、「影響力の武器」的なやりかたと、資料を積んでエビデンスでごり押すやりかたと、平安京エイリアンとギャラクシアンぐらい違う
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