ラバウル少佐日誌:狂信者と殺し屋編其ノ参

艦これ二次創作小説です。 駆逐艦娘のキャラ崩壊・過去捏造注意です。
0
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

(前回までのあらすじ:少佐へ異常なまでの忠誠心を寄せる朝潮。彼女は幼い頃に少女兵として海賊暮らしに明け暮れていた過去を持っていた。何を思い、朝潮は少佐の背を愛するのか……)

2014-10-29 15:41:37
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

眩しい朝の日差しと、不気味なまでに黄色く澄んだ空。 その下に一隻の大型輸送船があり、舳先には一人の男と一人の少女の姿があった。 (1)#ラバウル少佐日誌

2014-10-29 15:45:55
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「いよいよ目的の海域ですね、司令官!」 引き締まった表情から、やや意の汲み取れない笑みを漏らす少女。 彼女は物騒な火器類と詳細不明の機械を身に纏う。 「気を緩めるな、朝潮……ククク」 対して、白い海軍服を着たこのデブの男は、下卑た笑みを隠そうともしない。 (2)#ラバウル少佐日誌

2014-10-29 15:51:54
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

二人の見つめる先から……、 チャプ、 と、小さく不自然な音が、波間から発された。 「様子を伺ってるのかしら?」 「さて、どうしたものか」 わざとらしく、二人は思案する会話をやや大きな声で交わす。 ……。 ドウッ、と数メートル先の海面に、水柱が上がった。 (3)#ラバウル少佐日誌

2014-10-29 15:58:25
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「よくやった、荒潮」 船から海原へと飛び降りた朝潮を 横目に、少佐は通信機へ話しかける。 「それよりも、心配なのは、私達二人だけで倒しきれるかよー」 荒潮は何時も通りの呆けた様な口振りだが、声色がやや硬い。 「肩の力を抜け、爆雷の狙いが定まらなくなるぞ」 (4)#ラバウル少佐日誌

2014-10-29 16:04:49
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「私は平きひッ!?」 軽い悲鳴が聞こえた。 荒潮の方へ、少佐は目を向ける。 艤装の一部装甲が剥がれていた。 小破だ。 「い……痛いじゃない……」 「敵を恐れるな荒潮。私もお前もこの戦争を生き残ろうと、何れ寿命で死ぬ。ここで殺されようと何も変わらん」 (5)#ラバウル少佐日誌

2014-10-29 16:10:13
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「何も……変わらないの?」 「そうだ。だから戦え。死ねば骨くらいは拾ってやろう」 「面白い事言うのね……!」 それきり荒潮は一方的に通信を切った。 直後に水柱が3発上がり、 「うひッ!」 少佐の直ぐ近くへ、潜水ヨ級の上顎から下が千切れた首が降って落ちた。 (6)#ラバウル少佐日誌

2014-10-29 16:19:52
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

全て計算尽くであった。 荒潮が自身へ不信感へ抱いている事を分かった上で、少佐は挑発した。 それが荒潮の戦力を向上させ、彼女を最大限に有効活用する事の出来る、最良の手段であったのだ。 「朝潮、荒潮は俄然やる気だぞ?」 次に少佐は、朝潮へ呼び掛ける。 (7)#ラバウル少佐日誌

2014-10-29 16:25:40
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「それはいい事ですね、司令官!然し今は少し忙しいので失礼致します!」 「あっおい……」 朝潮も一方的に話を終わらせた。 そしてやはり、水柱が5発立ち上り、敵深海棲艦の破片が甲板にも飛んで来る。 (8)#ラバウル少佐日誌

2014-10-29 16:30:30
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「……ンン?」 その時少佐は、異常に気がついた。 飛んで来た肉片の一部が、深海棲艦独特の、あの青白い色をしていないのだ。 仄かに赤茶色をしており、また体液も紅い。 思わず近くの岩礁を少佐は見回した。 ……肌の黒い女が一人、岩陰から此方の様子を伺っていた。 (9)#ラバウル少佐日誌

2014-10-29 16:36:57
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「成る程、つまり敵はかなり急ピッチでこの辺りの兵力を増員した、と」 胡瓜をがりがりと少しずつ食べ進みながら、朝潮は少佐の顔を伺う。 「だがここら一帯で、民間集落が大規模に襲われたなんて話は無いんだ」 対して少佐はスパム缶をほじくりながら、もごもご話す。 (11)#ラバウル少佐日誌

2014-10-29 16:47:08
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「何処からどうやって補充してるんだろう……」 考え込む朝潮へ、 「私は一つの可能性を考えている」 立ち上がった少佐は、遠くの陸地を見つめながら答えた。 「司令官……?」 朝潮は彼の視線を追う……が、意図が読みきれない。 「明日、あの一帯へ上陸するぞ」 (続く)#ラバウル少佐日誌

2014-10-29 16:52:04