「知ろうとすること。」に思うこと
- nijiiromikan11
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さて早野先生@hayanoと糸井さん@itoi_shigesato の対談も開催されたことですし、遅ればせながらそして僭越ながら「知ろうとすること。」の書評のようなものを連投します。
2014-10-31 00:12:42① “全部「嫌だ」って言ってると、やっぱり大事なことは見えてこないし、頑なに「大丈夫だよ」とだけ言っててもつかめないものがあると思うんです。”この序章の糸井さんの一言だけをとってみても、震災の影響を身近に経験している身として、読む価値があると思います。
2014-10-31 00:13:07② その上で、震災の混乱の中でもデータに基づいた“事実”を“叫ばずに”提示し続け、人に寄り添った取り組みを行ってきた早野先生の姿勢がいかに多くの方の信頼を得たのか、そのことが糸井さんとの対話を通じて浮かび上がってきます。
2014-10-31 00:13:24③ 福島大学の清水先生の言葉「(リスク)コミュニケーションの真髄は説得ではない。信頼だ。結局人なんだよ。」その意味を知ることが出来る、そういう本です。
2014-10-31 00:13:49④ さて、本の中に出てきた早野先生のベイビースキャンについての言葉「これは科学的には必要のない機械です。」について私見を述べます。子どもの内部被曝について知りたい、その親御さんの不安を解消するコミュニケーションツールということは文中に記されている通りです。
2014-10-31 00:14:10⑤ しかしその“副作用”についてもいくつか指摘があります。野尻先生@Mihoko_Nojiriのブログにあるように“すべての検査に人的、金銭的なコストがかかっていて,それは誰かに負担されている。その影響が可視化されていないことがとても不安だ。”というのはもっともな指摘だと思います
2014-10-31 00:14:44⑥ またベイビースキャンに限らず、不幸中の幸いにして放射性物質の影響がほとんど見られない中で、“過剰な”検査を続けること自体が風評被害を起こしているという声が生産現場の一部からあるのですが、これも頷くところがあります。
2014-10-31 00:15:11⑦ 私は早野先生を尊敬してますし、その取り組みにも感謝しておりますが、こういった誠実で論理的な“副作用”の指摘には耳を傾けなければならないと思っています。なぜなら“盲信”は、物事をより良くするチャンスをつぶすからです。
2014-10-31 00:15:47⑧ そういった副作用が指摘される中でも、現時点において、私が早野先生の取り組みをなぜ支持するのか?それには大きく三つの理由があります。
2014-10-31 00:16:04⑨ 一つ目が“データの蓄積”です。嘘・大げさ・まぎらわしいが跋扈する福島県ですが、これらを駆逐する重要な要素が“蓄積されたデータ”すなわち“事実”です。これが欠けたために難解な問題となったのが“甲状腺ガンに対する不安”であることは文中に示されている通りです。
2014-10-31 00:16:29⑩ 二つ目が“腑に落とす”。コープふくしまの野中理事の “偉い学者・先生がいくら正しいことを言ったとしても、「外部から押し付けられる」ということは大変なストレスになる。自らが自発的に学ぶ形をとることで、押し付けられたものという感覚に陥らず、正しく理解できるようになる” との言葉。
2014-10-31 00:17:09⑪ これは開沼博さん@kainumahiroshiも“この人には科学的知識が欠如しているから、こちら側から科学的知識を注入して補ってあげれば理解してもらえるだろう・幸せになってくれるだろう”という、いわば「上から目線」の前提”だけではダメだよと指摘されています。
2014-10-31 00:17:52⑫ 野中専務理事との対談 new-fukushima.jp/archives/12215… 開沼博さんとの対談 new-fukushima.jp/archives/33636…
2014-10-31 00:19:50⑬科学的知識ももちろん必要でしょうが、自分が体験して“腑に落とす”ということは、不安の解消に大きな役割を果たすのです。
2014-10-31 00:20:16⑭ 最後が“時間”です。震災復興にご尽力いただいているやまだひさしさん@yamadamicとの対談での言葉“自分をいくら信じてくれと言っても、それは相手のあることだから、その人にはその人なりの時間軸があるから”まさしくこれです。new-fukushima.jp/archives/19552… …
2014-10-31 00:21:34⑮震災後“知ろうとする”タイミングは人によって全く違います。いち早く“知ろうとする”時間を迎え“腑に落ちた”人にとって見れば、いまさら“知ろうとする”までもないと思うかもしれません。
2014-10-31 00:22:09⑯しかしやっと“知ろうとする”時間を迎えた、あるいはまだ時間がかかる人もいます。その人たちのために“知ろうとすること”の手助けを“事実”に基づいてするのはとても大事だと思います。もうだいたい状況が分かったから打ち切る、まだそれは早いと思います。
2014-10-31 00:23:30⑰もし今まさに“知ろうとする”人に対して“もういろいろわかっているから・もう大丈夫だから知ろうとしなくていいよ”と突き放したら?大きな不信を招くでしょう。ましてや“事実”ではなく“嘘・大げさ・まぎらわしい叫び声”で腑に落ちてしまったら?それは大変な不幸だと思います。
2014-10-31 00:25:11⑱小菅先生@nobuko_kosugeの言葉“藁にもすがりたい人を 藁(なんか)にすがらせてはならない。”のです。
2014-10-31 00:25:35⑲私たち福島の生産者や自治体は“知らせること”ばかり重視して“知ろうとすること”に対して答えきれていなかったのではないか、そのように私は自省しています。
2014-10-31 00:26:04⑳早野先生や糸井さんの対話、五十嵐先生@yas_igarashi の柏での取り組みやうみラボの活動umilabo.hatenablog.com。そういった“知ろうとすること”に答える取り組みに学ばなければならない、私はそう強く思っています。
2014-10-31 00:26:46「知ろうとすること。」ができるまで。
9月27日発売の新潮文庫『知ろうとすること』(早野龍五さんとの対話形式)は、『いちから聞きたい放射線のほんとう』(菊池誠)、『原発事故と放射線のリスク学』(中西準子)、『やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識』(田崎晴明)などと合わせ読むとさらに効果的です。
2014-09-24 23:25:09