シェアード・デシジャン・メイキングとしてのEBMと積極技法

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斎藤清二 @SaitoSeiji

(承前)このような時に最も役に立つ技法は、「自己開示」である。「あなたはこうすべきだ」という「あなたメッセージ」ではなく、「私はこう思います」という「私メッセージ」を用いることが効果的である。(続く)

2014-11-19 18:25:31
斎藤清二 @SaitoSeiji

(承前)「私メッセージ」は、医療者が責任を引き受ける姿勢を示すと同時に、「私はこう考えますが、あなたも私と同じように、あなた自身の考えを主張してよいのです」という、相手を尊重する姿勢を伝えることにもなる。自己開示の例としては、以下のようになる。

2014-11-19 18:26:27
斎藤清二 @SaitoSeiji

「自己開示」の例1: 患者:「先生はどちらの方が良いと思いますか?」 医療者:「あなたの現在の状態ならば、手術を選択することも、放射線治療を選択することも、どちらも間違いとは言えないと思います・・(続く)

2014-11-19 18:27:56
斎藤清二 @SaitoSeiji

(承前)・・しかし、私の個人的な意見としては、まず放射線治療を行ってみて、もし効果が不十分ならばその時点で手術を選択しても遅くないのではないかと思います。私が今話したような考えについて、あなたはどう思われますか?」

2014-11-19 18:28:46
斎藤清二 @SaitoSeiji

自己開示の技法が有力なもう一つの理由は、選択できるエビデンスが少ない、あるいはほとんどない場合にも、対話を続けることが可能になるということがある。架空の例を示す。

2014-11-19 18:29:46
斎藤清二 @SaitoSeiji

「自己開示」の例2: 患者の家族:「うちの娘は、どんどんやせてくるし、このままだと死んでしまうのではないかととても心配なのです。入院させなくてよろしいのでしょうか?」 患者:「私は入院するのは絶対にいやです」 医療者:「エビデンスを調べますと・・(続く)

2014-11-19 18:32:03
斎藤清二 @SaitoSeiji

(承前)・・お嬢さんの病気(神経性食欲不振症)の場合、生命に別状さえなければ、入院治療でも外来治療でも、病気の予後は変わらないということが分かっています。私の考えでは、お嬢さんは今すぐに入院しなければ命にかかわるという状態ではありません。・・(続く)

2014-11-19 18:34:41
斎藤清二 @SaitoSeiji

(承前)・・よろしければ、今しばらく外来に通っていただいて、もし万一命にかかわる状態だと私が判断したときは、また相談させていただくということではどうでしょうか?」 患者:「私はそれでいいです」 患者の家族:「先生がそうおっしゃるのなら、私共もそれで結構です」

2014-11-19 18:35:37
斎藤清二 @SaitoSeiji

医療者:「お嬢さんの病気には、特別の治療が有効だというエビデンスは、今のところ残念ながら分かっていないのですが、あせらずにじっくりとやっていけば、70から80%の人は、良くなるか少なくとも改善するということが分かっています。(続く)

2014-11-19 18:36:52
斎藤清二 @SaitoSeiji

医療者:「私としては、気長におつきあいしたいと思いますので、外来にしっかり通っていただけるとうれしいです。それでいかがですか?」 患者・家族:「はい。よろしくお願いします」 「自己開示」の技法の例示はここまでです。

2014-11-19 18:38:48
斎藤清二 @SaitoSeiji

まとめ:1)EBMのステップ4は、単にエビデンスを患者にあてはめる作業ではなく、医療者と患者が協働して、エビデンス情報を利用しつつ、臨床判断を行う作業である。2)ステップ4は医療者と患者との対話のプロセスであり、そこでは医療面接の各種の技法をうまく使うことが役にたつ。

2014-11-19 18:40:14
斎藤清二 @SaitoSeiji

以上で、連続ツイートを終わります。出典はこちらtomishobo.com/catalog/ca35.h…

2014-11-19 18:41:48