3月28日 京屋双子と津田

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--- @tune_sig89

@tometis_story 京屋】「こっちも、これですっきりしマシタ」ケースを二つ現金の入ったものと鍵の入った軽いものを手にし、キャップ帽を指にひっかっける。 彩雅】「また、よろしくおねがいします」同じようにケースと帽子を取って拳銃をそこに残して立ち、小さくぺこりと頭を下げる。

2014-12-30 01:21:05
―― @tometis_story

@tune_sig89 津田】男は何も言わず、静かに頷く。二人が出て行くのを見ながら、拳銃を触りもせずに、一瞥し、見送るのだ。二人が出ようとする前に、使用人が扉を開ける役目を果たすのだ。

2014-12-30 01:23:40
--- @tune_sig89

@tometis_story 京屋】用が終われば荷物を持って、使用人の開ける扉を通って部屋を後にする。(ごひいきに)最後に扉の前で振り返って小さくお辞儀をするさまは会社の人間のようだ。それが過ぎれば真っ直ぐ彩雅と共に外へと向かう。

2014-12-30 01:28:27
―― @tometis_story

@tune_sig89 津田】相手の礼に対し、視線を再び送れば、扉は閉められる。その中に残された男は、隣にある拳銃を見て、電話機を取り出した。「庶務課に繋げ、私だ」淡々と拳銃は処分される。何事も無く。「それから、小田原を呼び出せ」電話を切れば、男は書類に再び目を通す。

2014-12-30 01:30:49
―― @tometis_story

@tune_sig89 津田】使用人は、外へ出た二人を最後まで見送ってから、音もなく扉を閉めた。

2014-12-30 01:31:09
―― @tometis_story

誰もいなくなった部屋で、男は何事もないように職務を続ける。何かあったとしても、日常で何一つ、外れはしない。同じ行動を繰り返し、積み重ねる。

2014-12-30 01:42:16
―― @tometis_story

ここに、社会の悪性腫瘍たる癌は、息づいている。

2014-12-30 01:43:29
--- @tune_sig89

京屋】部屋を出て、廊下を歩きエレベーターに乗る。二つの鍵の入ったケースは彩雅に透視して貰ったのち、鍵とメモだけ取って指紋をふき取り路地とも言えない建物の間の細い空間に投げ捨てておくだろう。残りの一つのケースも透視で安全さえ分かればぶら下げて人混みに紛れるようにして街に消えていく。

2014-12-30 01:34:02