デビルサマナー 葛葉あきつ丸vs亡霊戦艦 #1

新年早々馬鹿話
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劉度 @arther456

「おのれ……!」次々と倒される部下たち。自慢の艦隊が為す術もなく倒されていく様に、鹿屋元帥は歯ぎしりする。その時だった。『鹿屋艦隊旗艦・山城!準備完了!出撃します!』燃え上がる残骸の間をすり抜けて、海上を疾走する小さな陰が現れた。その上には、更に小さな飛行物体。 23

2015-01-05 22:17:12
劉度 @arther456

これが、日本最後にして最強の戦力。かつての戦争で散っていた軍艦の霊を降ろし、その力を最大限に引き出す魔法兵装・艤装を背負った年端もいかない少女たち。彼女たちは、艦娘と呼ばれていた。「頼むぞ山城!航空隊、支援攻撃開始!」 24

2015-01-05 22:20:24
劉度 @arther456

『了解ッ!艦載機の皆、お仕事お仕事ッ!』後方から龍驤が式神を発艦させる。手のひらから飛び立った紙片は空中で旋回、光と共にその姿をレジプロ戦闘機へと変える。艦上攻撃機・流星を模したその姿は、手のひらに収まるサイズでありながらも、性能は寸分違わない。無論、雷装も。 25

2015-01-05 22:23:38
劉度 @arther456

攻撃機部隊に向け、大和が対空砲火を放つ。小さくて当たらないが、砲弾の衝撃波だけでバランスを崩し落ちていく機体もある。それでも一群が肉薄し、雷撃を放つ。酸素魚雷が懐中に投下されてから数秒後、大和の右舷に一発の水柱が上がった。しかしそれでは、大和は沈まない。 26

2015-01-05 22:26:54
劉度 @arther456

『負けるもんですか!肉薄して砲撃戦を敢行しますッ!』「待って下さい、大和、潜行を開始!」「何ッ!?」傷一つついていないはずの大和が、海中に沈み始める。「逃げる気か……山城、撃てぇっ!」『了解!主砲、よく狙って!……撃てぇーっ!』山城の背中の重厚な主砲が火を吹く。 27

2015-01-05 22:30:17
劉度 @arther456

斉射された砲弾のうち一発が、大和の艦橋を掠めた。窓ガラスが数枚砕け散る。しかしそんなものは傷のうちにも入らないと言わんばかりに、大和は悠々と海中に没した。「山城!ソナーで大和は追っているな!?」『はい!……ああっ?』「どうした!」『海中の大和から、何かが放出されました!』 28

2015-01-05 22:33:37
劉度 @arther456

今度は何だ。元帥は考えを巡らせる。ミサイルを平然と撃ち落とし、海中潜行もできる大和だ。『元帥、追撃許可を!』山城からの要請。それで、元帥は相手の次の狙いに気づいた。「……駄目だ」『何故です!?』「敵は恐らく、機雷を撒いている。……クソッ、最初からそれが狙いだったな!?」 29

2015-01-05 22:36:51
劉度 @arther456

事実、鹿屋基地の湾口は、既に無数の機雷で封鎖されていた。元々大きい基地ではないのが災いした。更に運の悪いことに、この基地に掃海艇は無い。佐世保か呉から掃海艇が来るまで、鹿屋基地の艦隊は閉じ込められる。謎の戦艦大和は、追撃を受けること無く、悠々と海の向こうに消えた。 30

2015-01-05 22:40:05
劉度 @arther456

【デビルサマナー 葛葉あきつ丸vs亡霊戦艦】#1おわり#2へ続く

2015-01-05 22:40:58