古鷹青葉を見守る衣笠さんbot　#46

古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

夕張ねーさんがごそごそと何かを取り出す。私たちが怪訝な目を向ける中、それに気づいた青葉だけが慌て始める。 「ゆ、夕張さんっ！待ってくださいそれはっ！」 「じゃーんっ！ねえねえ、これなんだと思う！？」 夕張ねーさんは青葉に構わず手に乗せた小箱を楽しげに私たちに見せてくる。

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「確か衣笠は見てたわね？前に青葉が『古鷹さんに進水日記念に何かあげたいんです』って相談してきたから夕張お姉さんは頑張っちゃったわけよ！」 そう言えば、食堂で青葉と夕張ねーさんが何か話していたことがあった。青葉は古鷹ねーさんから逃げ回っていたくせにそんなことを考えていたのか。

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そのことを言うと、夕張ねーさんがけらけら笑いながら暴露を始めた。もちろん泡を食う青葉にはお構いなしに。 「青葉ったら『誰が贈ったのかわからないように古鷹さんの部屋の前に置いていくつもりです。日取りも進水日から何日かずらして』なんて言うのよ！私もしぶしぶだったんだけどねえ」

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夕張ねーさんが楽しそうに笑いながら小箱を青葉の手に乗せた。 「『青葉がちゃんと古鷹と話せるようになるまでこれはお預けね』って言ってたんだけど、もう解禁でいいわよね？はい、じゃあ青葉、ちゃんと自分の手で古鷹に渡してあげて？」 うう、と青葉が顔を真っ赤にしながら小箱を差し出す。

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「えっとその……進水日からだいぶ日が経ってしまったんですけど、夕張さんに古鷹型のマークのペンダントを作ってもらったので……」 そう言いながら青葉が小箱を開いた。箱の中身を見た古鷹ねーさんの目が見開かれる。私も思わず両手で口をおさえた。加古が口笛を吹く。 「え、どうしたんですか？」

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「だって、青葉これ！」 私が小箱を指さすと、青葉も中身を確かめるように覗き込む。そして、素っ頓狂な声を上げて小箱を取り落さんばかりに動揺した。 「なななななんですかこれぇ！？」 小箱の中身は、白銀色のペアの指輪。一つには古鷹型の翼のマーク、もう一つには狼の横顔が刻まれている！

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「ゆゆゆ夕張さんっ！？」 青葉が夕張ねーさんに食ってかかるけれど、夕張ねーさんはしてやったりという顔で笑う。 「やー、ただペンダント作るだけじゃなんかつまんないじゃない？そしたら古鷹からも頼まれたのよ。『青葉をモチーフにしたアクセサリーを作ってもらえませんか』って！」

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私は驚きに目を見開いた。休暇の過ごし方も知らなかった古鷹ねーさんが、アクセサリーを欲しいと思うなんて考えもしなかったからだ。 「あのね、衣笠に貸してもらった雑誌があったでしょう？あれに載ってた広告で素敵なのがあって、それで夕張お姉さんにお願いしたんだけど……」

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古鷹ねーさんが照れくささと嬉しさの入り混じった笑顔を私に向ける。私も喜びで胸が一杯だった。古鷹ねーさんに無理やりにでも雑誌を貸して良かった。さっそく青葉に水を向ける。 「さ、青葉？」 「な、なんですかぁ！？」 なんですかも何もあるもんですか。こうなったらやることは一つでしょ。

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私たち全員からのプレッシャーに耐えられなくなったか、顔を真っ赤にした青葉が止める間もなく身を翻して逃げだした！ 「あっ！ちょっと待ちなさい青葉！」 「そ、そんなの無理ですよぉおおおぉお！」 すかさず夕張ねーさんが言った。 「追うのよ古鷹！」 「は、はい！」

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青葉が食堂の廊下を駆け抜け、古鷹ねーさんと夕張ねーさんがそれを追う！ 「何！？夜戦！？」 騒ぎを聞きつけて、他の艦娘たちも集まってくる！ 「青葉とっ捕まえて！捕まえた子には魚雷でも砲でも何でも作っちゃうわよ！」 夕張ねーさんが煽り立て、ますます騒ぎが大きくなる！

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その光景を見て、私は思わずあはははっとお腹を抱えて笑った。まったく、これじゃあ何にも変わってないみたいじゃない。でも、確かに変わっている。私たちは前に進めたんだ。ねえ？と横にいる加古に問いかけると、「そりゃあまあ、な……あいつらもそうだし、あたしたちだって」とか呟くのが聞こえた。

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「今なんて言ったの？私たちが何？」 そう聞き返すと、何故か加古がしまったと言わんばかりに頬を赤らめ、顔をそらした。 「な、何でもない！」 「何よ、気になるじゃない」 にじり寄ると、加古がばっと駆けだした。 「あたしより先に青葉を捕まえられたら教えてやるよ！」

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「あっ、待ってよ！」 加古に続いて私も走り出す。すでに鎮守府中から青葉を探す声が聞こえる。まったく、大事になっちゃって。でも、今くらいはいいわよね？昨日出撃から帰ってきたばかりだと言うのに、体が軽い。今ならどこまでだって行けそうな気がする。さあ、行こう。未来へ向かって！

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～古鷹青葉を見守る衣笠さんbot　了～

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『古鷹青葉を見守る衣笠さんbotの中の人、伊佐と申します。この度は拙作をご覧いただき、本当にありがとうございました。昨年の二月にこのアカウントを始動させて連載を始め、早一年近くになりました。まさかお話がここまで長くなるとは、またここまで続けて来られるとは夢にも思いませんでした』

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『一重に読者の皆さんのおかげだと思っています。ふぁぼ、リツイート、感想いずれも言葉に尽くせないほど励みになりました。絵やMMDで作中のシーンを表現してくださった方もいらっしゃり、喜びにのた打ち回るとともに、ここまで続けて来られる原動力になりました。伏して御礼申し上げます』

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『さて、衣笠さんbotの今後ですが、お話はまだ続きます。ここまでは言わば青葉編で、次は古鷹編でしょうか。どこまで続けられるかわかりませんが、さらに加古衣編とか古鷹衣笠編とか古鷹加古編とか、目論見だけはあります。青葉編までが連載開始当初に考えていたお話でした』

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『お話を進めていくうちに、またTLで皆さんとお話しさせていただくうちに、衣笠さんたちの世界はどんどん広がりを見せていきました。ペースは落ちると思いますが連載は続けていこうと思いますので、気長にお付き合いいただければと思います。 また、本編の裏話やサイドストーリーも書きたいですね』

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『それと、今まで名ばかりだったのでちゃんとbotとして定期ツイートを流す仕様にすることも考えています。いずれにしてもしばらく充電期間をいただくことになると思いますが、今後ともどうかよろしくお願いいたします。こんな時間までお付き合い本当にありがとうございました！』

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～古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改に続く～