式を駆る者 -オカルト探偵あきつ丸-

竹村京さん(@kyou_takemura)の書いてくださった、落ちぬい二次創作です。 今回は揚陸艦あきつ丸のお話。 オカルトに宗教、そして温泉宿といろいろ詰まった一作です。まるゆもあるよ! 続きを読む
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竹村京 @kyou_takemura

ホ級はまるゆが自分に攻撃を加えないと見るとあきつ丸に向けて砲撃を始める。だが洞窟の中であり、下手に撃つと自分も生き埋めになるという危機感から慎重にならざるを得ない。また砲弾もかなりの弱装である。#落ちぬい二次

2015-01-22 16:10:09
竹村京 @kyou_takemura

砲撃に躊躇いがあるので回避も簡単だ。あきつ丸はすたすたと歩いて砲口から逃れ、逃げ遅れて血煙になったまるゆを再構成する。 外れた砲弾は岩壁を穿ち、地響きを立てる。すぐに崩れはしないが、この調子ではそのうち落盤するのは間違いない。#落ちぬい二次

2015-01-22 16:11:59
竹村京 @kyou_takemura

「危ないでありますな。生き埋めになりたいなら一人でなっていろ、であります」 延べ8体ほどのまるゆが血煙になったところで祭壇の撤去が終わり、射界が開けた。 「では、こちらもやるであります」#落ちぬい二次

2015-01-22 16:15:46
竹村京 @kyou_takemura

広げた巻物から烈風を放ち、機銃掃射を加える。次いで出現させたのは15.5cm三連装副砲だ。 「こと陸の戦で後れを取る自分ではないのであります」 そう言うと札をばらまく。悪鬼を退ける陰陽道の霊符だ。それをひっつかんだまるゆ達がホ級に殺到する。#落ちぬい二次

2015-01-22 16:17:11
竹村京 @kyou_takemura

ホ級もまさか銃撃ではなく肉弾戦を挑んでくるとは思っていなかったのだろう、対応が遅れて組みつかれてしまう。まるゆの重さと霊符の力で動きが制限される。 「では、仕上げであります」 烈風の機銃掃射に続き、副砲をホ級に向ける。まるゆが動きを止めているので外す心配はない。#落ちぬい二次

2015-01-22 16:18:54
竹村京 @kyou_takemura

「それ、だーんちゃーく、今!」 三連装副砲の斉射。 全弾が命中し、ホ級は大破。まるゆも巻き添えで血煙だが、艤装さえ無事ならばいくらでも復活するので気にしない。#落ちぬい二次

2015-01-22 16:20:35
竹村京 @kyou_takemura

「お見事です、あきつ丸どの」 後ろから声をかけられる。振り返ってみると大月が棒を仕舞って拍手していた。その背後では先程の4人も含めインシュロックで拘束されている。うち2人は手足があらぬ方向に曲がっているが、まあ命に別状はないだろう。#落ちぬい二次

2015-01-22 16:23:38
竹村京 @kyou_takemura

「うむ。あとは身柄を引き渡せば任務完了でありますな」 二人は頷き合って洞窟を出る。ホ級も縛り上げた者たちもその場に残したままだが、その保護は彼らの役目ではない。#落ちぬい二次

2015-01-22 16:25:27
竹村京 @kyou_takemura

電波が通じる所に出ると、大月が電話をかけた。 「大月です。制圧完了しました。ええ、もちろん敵艦もまだ生きています。が、いかんせん大破状態ですので回収するなら早めに。ええ、私はあきつ丸どののお相手をしてから戻ります。では」#落ちぬい二次

2015-01-22 16:28:04
竹村京 @kyou_takemura

彼らが制圧したのは深海棲艦を崇拝する宗派の信者だ。土着の海神信仰が変容したものか、深海棲艦戦争後に現れた新興宗教かは後の調査を待たなければわからないが、どっちにしろ人類に対する脅威ではあった。#落ちぬい二次

2015-01-22 16:30:06
竹村京 @kyou_takemura

海軍は深海棲艦との戦いにこそ勇ましいが、内部の敵には弱い。対して陸軍は深海棲艦との戦いは得手ではないが内偵は得意だ。 そこを調整するのが対深海棲艦の司令部、通称大本営である。#落ちぬい二次

2015-01-22 16:34:25
竹村京 @kyou_takemura

あきつ丸も通常の配属とは別に大本営から――いくつかの部署を経由してだが――命令を受けて行動している。 その任務は言えば上位部隊を通しては削除されてしまう情報を直接陸軍と大本営に流し、それをもとに憲兵隊と協力して内憂を除くこと。要するに海軍と国民に対する内偵だ。#落ちぬい二次

2015-01-22 16:36:06
竹村京 @kyou_takemura

大本営の直轄部隊は得体の知れない者がとかく多い。あきつ丸は自分などその中では可愛らしくて即ハイエースされるレベルだと思っている。#落ちぬい二次

2015-01-22 16:37:32
竹村京 @kyou_takemura

艦隊戦では平均的だが奇襲に関しては他の追随を許さない元コックの提督と駆逐艦娘だとか、深海棲艦を捕獲しては腑分けする部署とか、軍を離反したアウターヘブンとの調整機関とか、大本営にはそういうのがいくらでもある。#落ちぬい二次

2015-01-22 16:39:17
竹村京 @kyou_takemura

特に元コック組などは通常の鎮守府を持たず、特務執行機関などと呼ばれている。仮想敵部隊であればわかるが、特務執行機関とは? もしや大本営は深海棲艦のみならず艦娘に対する抑止力さえ求めているのではないか?#落ちぬい二次

2015-01-22 16:40:44
竹村京 @kyou_takemura

まあ、そんな小難しいことは軍の犬たるあきつ丸には関係のないことである。 考えても意味のないことは考えないに限る。 あきつ丸は艤装のランプで足元を照らしながらわざとらしく深くため息をついた。#落ちぬい二次

2015-01-22 16:42:16
竹村京 @kyou_takemura

「疲れたでありますな。宿に戻ってひとっ風呂浴びるであります」 「あの宿の者も全員検挙したのですが」 「荷物も置いたままでありますし、ついでに風呂くらい良いでありましょう」 「……まあ、風呂くらいなら」#落ちぬい二次

2015-01-22 16:44:11
竹村京 @kyou_takemura

二人は宿に入って各々汗を流す。 ゆっくり風呂に浸かっていた大月が荷物を回収しにあきつ丸の部屋に行ってみると、そこには想像もしていなかった光景があった。 あきつ丸が豪勢な飯を食っていたのである。#落ちぬい二次

2015-01-22 16:46:22
竹村京 @kyou_takemura

「おや、遅かったでありますな。ほれ、お前も食うであります」 「……あきつ丸どの、勝手に何をしているのですか」 「無論、払った分のサービスを受けているのであります」 「私には勝手に飲み食いしているようにしか見えないのですが」#落ちぬい二次

2015-01-22 16:48:21
竹村京 @kyou_takemura

部屋の座卓にはまるゆ一号から十号が次々と運んでくる料理で埋め尽くされている。あきつ丸はそれを片っ端から腹に放り込んでいた。#落ちぬい二次

2015-01-22 16:49:46
竹村京 @kyou_takemura

「仕方ありますまい。宿の者がみんなしょっ引かれてしまったでありますから、自分でやれることは自分でやるであります」 「しょっ引いたのは私らですけどね……というか、こりゃばれたら大目玉喰らいますよ」#落ちぬい二次

2015-01-22 16:51:11
竹村京 @kyou_takemura

「ばれたら、であります。お前は自分が損をするような報告をするつもりでありますか?」 下から懇願するような目つきで大月を見上げる。 「いや、それは……」#落ちぬい二次

2015-01-22 16:52:39
竹村京 @kyou_takemura

「ではばれないでありますな。ばれないのであれば、ほれ、お前も飲むであります」 猪口と徳利を差し出すあきつ丸。渋々対面に座って受け取る大月。ぬる燗が注がれ、溢れそうになって慌てて飲み干す。#落ちぬい二次

2015-01-22 16:55:25
竹村京 @kyou_takemura

「ぐちぐち言っていた割にはいける口でありますな。ほれ、返杯であります」 今度は自分の猪口を突き出して酌を催促する。大月はもう吹っ切れたのか、躊躇なく注いで、さらに手酌で自分の猪口も満たす。#落ちぬい二次

2015-01-22 16:57:38
竹村京 @kyou_takemura

「思う存分役得するであります!」 「付き合いますよ」 互いに酒を干し、飯を食う。 食い物はまるゆが調理したものらしいが、悪くはない。下拵えされていた物を仕上げただけかもしれないが、すきっ腹にはありがたい。#落ちぬい二次

2015-01-22 16:59:23
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