TCR再構成 ~超初心者向け:STAP細胞よもやま話~
@Butayama3 TCRをつくるのはT細胞だけですから,TCR遺伝子の部分がちょっとだけ短くなっているのは,T細胞の証拠です。この断片を選び取るプロセスをTCR再構成と呼んでいます。英語は rearrangement です。再構成はちょっとわかりにくいですよね。
2015-01-27 00:32:54TCR再構成が、STAP細胞がT細胞から作られたことを証明するものだった。
@Butayama3 STAP論文では,緑に光った細胞のTCR遺伝子の部分を調べて,TCR再構成が起きている(遺伝子がちょっと短くなっている)ことを示し,「もともとはT細胞だった証拠」としています。
2015-01-27 00:34:45@Butayama3 あの論文ではTCR遺伝子の全部の部分を見ているわけではなく,ごく一部を見ています。「どの断片までを活かして,どの断片以降は捨てるか」といった切り出し方なので,長さはとびとびの値になります。
2015-01-27 00:38:59@Butayama3 STAP論文で見た場所を書かれた通りのやり方で調べると,切り出された(再構成が起きた)後の長さのバラエティは8種類のはずで,実際に電気泳動の縞が8本あります(わかりにくいですけれど)。
2015-01-27 00:42:56電気泳動ってのは、外から電場をかけて、DNAをゲルの中で移動させることなんですって。その移動の速さでDNAの長さとか形とかの違いがわかる。(であってます?)
@Butayama3 1つのT細胞にはTCR遺伝子のセットが2そろいありますが(母親由来と父親由来)TCRを作るのはどちらか一方だけで,もう一方はもとの長さのままになります(再構成は起きない)。なので,1つのT細胞だけでDNAの長さを見ると,電気泳動の縞は2本になります。
2015-01-27 00:47:23@Butayama3 STAP論文の電気泳動の写真をみると,一番上が太くて,そのあと薄い縞が見えますが,一番上(一番,DNAが長い)のが,再構成が起きていないもとの長さです。写真が必要でしたら,去年の3月の記事ですが,拙文をどうぞ。blog.miraikan.jst.go.jp/topics/2014031…
2015-01-27 00:50:35@Butayama3 1つのT細胞だけならば,もとの長さと短くなったのとで縞は2本ですが(例によって,生物なので例外はあり厳密にいうと0〜2本),論文ではSTAP細胞を塊のまま,解析しているので,いろんな長さの縞がでています。
2015-01-27 00:52:45@Butayama3 STAP論文では,緑に光った細胞(多能性遺伝子のOct4を発言している細胞)の中に,TCR再構成を起こしている細胞がある(=もとはT細胞だった)を示すことで,STAP細胞はT細胞を酸に漬けることで初期化した!と主張したわけです。
2015-01-27 00:54:59ところが、STAP細胞から作られたキメラマウスやテラトーマになった細胞には、TCR最構成が見られなかった。え?!
@Butayama3 ですが,ここでちょっとトリッキーなことが起きています。この後,論文ではテラトーマやキメラマウスといった実験で,本当に多能性があることを示していくのですが,テラトーマやキメラマウスになった細胞で,TCR再構成が起きたことは示していません。
2015-01-27 00:57:13@Butayama3 これはどういうことかというと,STAP細胞の塊にはたしかに「元T細胞」はあった。でも,その元T細胞がテラトーマやキメラマウスになったという証拠がないのです。つまり,STAP細胞の塊の中に別の種類の細胞があって,それがテラトーマやキメラになった可能性がある。
2015-01-27 01:03:27@Butayama3 STAP細胞の塊の中に「元T細胞」はあった。でも,キメラマウスやテラトーマになったのは,その元T細胞ではなく,塊の中に混ざっていた別の細胞かもしれない……というわけです。STAP細胞からはテラトーマやキメラだけではなく,STAP幹細胞も作られていますが,
2015-01-27 01:08:07@Butayama3 このSTAP幹細胞の8株にはどれもTCR再構成のあとが見られませんでした。このことは3月5日のSTAP細胞づくりの手順書(プロトコル)で唐突に示され,私のような素人だけではなく,研究者までもが「えっ」となりました。
2015-01-27 01:12:27となると、当然、もともとT細胞から作られたのではなかったのではないかと言う話になります。
@Butayama3 STAP幹細胞にTCR再構成が見られないということは「元T細胞」ではないことを示しており,そうだとすると,それこそES細胞の混入だったり,知られているほかの多能性細胞(Muse細胞のような)である可能性も捨てきれないからです。
2015-01-27 01:15:07@Butayama3 はい。本当にそんな感じでした。私の場合,あのプロトコルを読んで「えっ」となり,もう一度,丹念に論文を読み返してキメラマウスやテラトーマでTCR再構成を調べた結果が示されていないことに,初めて気がつきました(研究者には,もっと早くに気づいたいた方もいます)。
2015-01-27 01:18:14@Butayama3 あのTCR再構成を示した電気泳動の写真は「切り貼り」(改ざん行為)があったと,春の石井委員長の調査委員会が判定しています。ですが,この改ざん行為と,キメラマウスなどでTCR再構成を調べたデータがなかったことは,まったく別の話です。
2015-01-27 01:21:34@Butayama3 あの切り貼りに関しては,STAP細胞の結果をよく見せようとしたのではなく,T細胞そのものの結果を切り貼りしています。誰がやっても縞々が出るのが当たり前のところを切り貼りしたわけで,正直「何で,こんなことをしたんだ?」と理由がわからず,かえって不安になりました
2015-01-27 01:24:27@Butayama3 日経サイエンス2014年6月号「STAP細胞は存在したのか」nikkei-science.com/201406_054.html が詳しいです。あとは,先ほども書いた拙ブログ blog.miraikan.jst.go.jp/topics/2014031…
2015-01-27 01:28:06