添乗員

PoKo @Poko8_m

【2号車の彼女8】 「本当？行ってみたい！でも、亮くん、私みたいなのを誘うより、彼女とか誘った方がいいんじゃない？」「え？彼女？居らんよ。じゃあ、決まりやな。でも、丸には内緒な。2人分の席しかないらしいねん」本当はあの時、告白するつもりで、自分でレストラン予約を入れていたらしい。

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【2号車の彼女9】 今となったら、きっと、あの頃は私も亮くんも好きになってたのかなぁ…とか、今となっては思ったりした。だから、別れた当初、そんなに好きじゃなかったしとか、丸山くんには強がったけど、好きじゃなかったら、そんなに付き合っては居なかったし、結婚とかも考えなかったと思う。

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【2号車の彼女10】 亮くんとは仕事ではそれほど、関わりがなかったし、仕事も人事異動があった関係で忙しくなって、このことも考えることもなくなった。というか考えないようにしていたのかもしれない。でも、時々、社内で亮くんと後輩が楽しそうに一緒に居る姿を見るたびに複雑な気持ちになった。

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【2号車の彼女11】 亮くんと付き合っていた頃、会社で一緒に過ごすことなんて無かったよなぁ。理由は付き合い始めた頃「会社で、付き合ってんのがバレるとなんか、恥ずかしいから、内緒な？」って気にしてたから。でも、今は彼女と人目を気にすることなくイチャイチャ。あの子…。可愛いからなぁ。

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【2号車の彼女12】 私なんかと付き合ってるってバレると、きっと亮くん…周りに何か言われちゃうと思って、あんなこと言ってたんだろうな。そんなことばっかり、気にしていなくても考えてしまう。そんな私を見兼ねて、同期の丸山くんが「今度、社員旅行やんか。折角やから、気晴らしに行かへん？」

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【2号車の彼女13】 って言ってきた「亮ちゃんは出張で、行かないみたいやから」丸山くんの言葉を信じて、行くことにしたんだけど、思いっきり、亮くん来てますよね？かなり、バツの悪そうな顔をしている丸山くんを後目に、亮くんと違うバスに乗り込む。私の隣には、必死に謝る丸山くんが乗り込む。

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【2号車の彼女14】 このバスもバスで、社内のお局様や重鎮のおじさんばかりのバスで、かなり居心地悪い。本当に社員旅行に来なきゃよかった。ずっとヘコヘコとしてる丸山くんを見たお局様たちは「あなたたち、本当に仲がいいわよねぇ」と冷やかされて、丸山くんは関係ないっていうのを伝えたくて、

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【2号車の彼女15】 「1号車の添乗員さん、カッコイイですよね」って言ってしまう。「あなた、ああいう人が好み？」と食いついてくるお局様「添乗員さん」思わずため息が出てしまう「…彼女いないらしいで？」「別にそういうつもりで、言ったわけじゃ…」と愛想笑いをしながら添乗員さんを見ると…

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【2号車の彼女16】 思いっきり、目をそらされる。え？何、この人…私、あんたに何かした？そうか。こんなのに、好かれてるんだ。アイツもかわいそうだなって思って、腹の中では笑ってるんでしょ？もう、本当に社員旅行に来るんじゃなかった。こんな旅行。気が晴れるどころか、気が重くなるだけだ。

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【同期の丸山1】 亮ちゃんが、ついに彼女と別れたらしい。彼女は俺の同期で、2人は俺を通じて仲良くなった。彼女が悲しんでる顔を見るのは嫌だけど、別れてくれてよかったって思ってる。俺にいよいよチャンス到来ってことやん。もう、2人は結婚すると思って、諦めてた。よくやってくれた後輩さん。

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【同期の丸山2】 って、内心で思ってしまった自分を恥じるけど、これが俺の本心やねん。内定者懇談会のときに初めて会った時から、彼女のことを気になっててん。一目惚れやった。でも、今はただの気心知れた友達。俺、男っていつからコイツに意識をされなくなったんやろ？俺はずっと意識してんのに。

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【同期の丸山3】 そもそも、あいつ自分が周りから美人とかモテてるってことを全く気づいてへんから、コレがまた厄介やねん。お前はさ、自分が気が強いから、男っぽいからとかモテないとか勝手に思ってるかも知れへんけど、美人やから近寄りがたかったり、彼氏居るって勝手に思われてるだけなんやで。

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【同期の丸山4】 亮ちゃんと付き合い始めたときも、別れたときも俺、言うたやん「お前のことを好きになるやつって仰山いるで」って…。なのに何でそのことに気づかないかな。ホンマに。まぁ、俺もその仰山いる中の一人やけど。もう振られたこと気にしてないって言ったけど、めっちゃ気にしてるやろ？

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【同期の丸山5】 亮ちゃんは、近々、長期出張もあるから、社員旅行に行かないって言うてたし、あいつ自身の気晴らしになると思って、旅行に引っ張り出して来たけど。まさか…亮ちゃんが居るなんて。あの後輩さん、恐るべし。その結果、彼女は朝からムッとしている。俺は謝りっぱなし。嫌われたよな…

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【同期の丸山6】 でもさ、俺…。早く、お前には元気になってもらいたいと思ってんねん。そんで、俺の方を振り向いてくれへんかな？そんなことばっかり、考え取るんやで。だから、この社員旅行で少しでも、俺を友達じゃなくて、男やって意識してもらいたいんやけど…。でも、これじゃ無理やろなぁ…。

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【運転手の村上7】 観光地に着くと大倉と横は旗を振りながら、お客さんを連れて、ガイドへ向かっていく「天気えぇなぁ。富士山がよう、見える」と駐車場でヤスとくだらない話をする「ホンマやな」俺のお節介とか勘違いやと思うんだけど、とりあえず、気になってしゃあないから、ヤスに聞いてみるか。

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【運転手の村上8】 なんか、気になってしゃあなくなってもうたし「ヤス」「ん？」「2号車に若い人、乗っとらん？」「若い人？居ったかなぁ…？結構、年齢高い人ばっかりやで？」と言いながら、ちょっと考えるヤス「あ、1人居るかも。前の方の席の通路側に座ってる人かな？結構、きれいな人やで？」

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【運転手の村上9】 「髪の毛が長くて、スラってしてて…。もしかしたら、信ちゃんの好きそうなタイプっちゃ、タイプやろ！って子」とニコニコと笑いながら、いたずらっぽく顔を近づけてくるヤスに「ちゃうわ」と思いっきり否定する「こんなに信ちゃんが否定するん、珍し。なんか、ますます怪しいわ」

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【運転手の村上10】 と笑いながら「でも、それで、やな」と頷くヤス「なんかあったん？」「いや、ちょっと横ちょ、態度がおかしい時があってん。合点が言った」と笑ってる「そうなん？でもな、ホンマに気になったんは俺やないで？大倉がめっちゃ美人が居るって言うたから、聞いただけやで。ホンマ」

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【運転手の村上11】 「そういうことにしといたるよ」と納得が行っていないような顔のヤスが、俺の方を向いて言った「その子、大丈夫なん？」「何が？」「とりあえず、なんとなくや。なんとなく。俺の方のバス、若い子が多いけど、あの子1人だけ違う年齢層の高い方のバスに乗っとるから、それで…」

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【運転手の村上12】 「そういえば、そうやな」「普通やったら、こういう時とか、同世代の人とわちゃわちゃしたいとはずと思うねん。だから、いじめられたりとかなんかなぁ…とか心配になっただけなんやけど」「ホンマに信ちゃん、見ず知らずの人に対してもお節介焼きさんやな」と呆れたように見る。

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【運転手の村上13】 缶コーヒーを一口飲み直したヤスが、しゃがみながら上目使いでまた、俺を見てくる「せやけど、あの人の隣に、イケメンが乗っとるよ。彼氏とかなんとちゃうかなぁ？実は見た目より年上で、年下のイケメン彼氏を連れている…みたいなんかな？って俺は勝手に思うてるんやけどなぁ」

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【運転手の村上14】 「俺も若く見えてってパターンか？思ってん」「その割には横ちょに大倉のこと聞いとったみたいやけど」また大倉か「でも、信ちゃんが気にすることやないと思うで」「そうかぁ？」「おん」でも、何で俺…彼氏が居るかもって聞いてちょっとショックなん俺。別に何も関係ないやん。

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【添乗員：横山8】 「あちらに見えますのが…」案内するけど、誰も対して聞いとらん。まぁ、いつものことやけど。せやけど、さっきから、気になってしゃあないねん。あの人の隣を陣取って離れん男。そういえば、バスも隣やったよな？付き合ってるんかな？思わず気になって、横眼で2人を見てしまう。

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【添乗員：横山9】 「この神社は有名なパワースポットで…」と言った瞬間、若い女の子達はきゃいきゃい騒ぎ出す。やっぱり、女の子ってこういうとこ好きやねんな。あの子も、きっと、こういうとこ好きなんかな？無意識のうちに、彼女を目で探してしまう。もう、何でこんなにも気になってまうんやろ。