『羽毛ティラノサウルスの復元画をどう考えるか』補遺・場外乱闘編
- gervillaria
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深夜にこっそり補足。展示、教育、社会、時代背景等、様々な条件で復元画は変化しうると思います。羽毛なしでと言っていた僕も、これが例えば特別展のための復元画となると、そうも言わないかもしれません。展示解説ではティラノに羽毛があったかもねとも言ったりしますしね。
2015-02-13 01:21:26最近のT-rexに羽毛があったのかという議論について、@kawabesoichiro さんから抱卵の視点からのコメントを勧められたので、休憩がてら少々
2015-02-13 10:57:58現生の鳥は抱卵時に羽毛を活用します が、良くイメージされる保温のためだけではなく、日陰作りや空気の送り込みなど、色々な環境維持に羽毛が活用されます
2015-02-13 11:00:26ここで気になるのが、羽毛は抱卵のために発達したのか?ということです。しかし、抱卵をするのも羽毛を持つのも現生では鳥類だけのため、比較が難しく良くわかりません ただ、羽毛の多用性を考えると、その発達が何か一つの特定の機能のために進んだ、という単純な議論は成り立たない気がします。
2015-02-13 11:09:19ちなみに、変わり者カモノハシはお腹の袋に卵を入れて暖めます。鳥類でもお腹に袋状のくぼみがあり、それで卵を包んで温めるものは存在し、ペンギンなどは顕著です。 この点から、単純に羽毛があるだけでは不十分、という考察は可能です
2015-02-13 11:12:00さて、話題のT-rexです ここで問題になるのが、彼女らが抱卵したか、という問題です。実はT-rexやその近縁種の巣や卵というものは見つかっておらず、抱卵の有無についてはまるでわかっていません
2015-02-13 11:15:31大型獣脚類については近年、Calgary大学の田中氏の研究により、ギガントラプトルやそれ以上の大きさの恐竜については、体重をかける形での抱卵はなかったのではないかという示唆がされています。 つまり、現生の鳥類のようなイメージでの抱卵は無かったのではないか、ということです。
2015-02-13 11:21:30田中氏のものはあくまでオヴィラプトロサウルス類に絞った研究なので、T-rexまで議論が広げられるかは定かではないですが、あの巨体が卵に覆いかぶさるのは想像しにくくもあります。 一方で、現生ワニやツカツクリ、一部の鳥脚類、竜脚類は、卵を土砂や草で覆って保護します。
2015-02-13 11:30:32T-rexもこの方法で抱卵していたと考える方がしっくりきます。 もしそうであったなら、抱卵の際の保温のためのダウンや、日陰作りや空気循環のためとしての羽根の機能は必要なかったでしょう
2015-02-13 11:36:24というわけで、少なくとも抱卵のためという理由でT-rexの羽毛の存在を議論するのは難しいかと思われます もしT-rexに羽毛があったとしても、抱卵時に役に立つことは無かったのではないでしょうか
2015-02-13 11:38:51昔は卵生より胎生のほうが進んだ繁殖法かと思っていたけど、古生代の魚の胎生の証拠とか上がってくると、実は胎生の哺乳類のほうがオールドタイプの生き物なのかもと思ってしまう。視点がずれると見えてくるものも違って面白い。科学ウォッチャーの醍醐味(#^^#)
2015-02-13 11:44:53T-レックスに羽があったかどうかより必要だったかどうかだと「必要性は感じられない」と言ったところか。確たる証拠が出てこないうちはティラノは鱗で良さげだね。お仕事によってどちらでも、という感じ。 pic.twitter.com/M3EUPBqV4v
2015-02-13 12:02:52先ほどティラノサウルスの卵化石は未発見と書きましたが、Qian et al. 2008 (Jiangxi Geology)で92Ma中国南部産のティラノサウルス科卵が報告されてます 長さ43cmの卵ですが、骨化石が無いために根拠に乏しいという難点があります
2015-02-13 12:56:49デマ記事のせいで古生物界隈から現生生物界隈までどんどんつながっていくこの感じ、棚から牡丹餅じゃないけれどなんか・・・ネットならではというかネットはじめたときにこういうのが見たかったみたいなものが見れてる気がするししゅごい
2015-02-13 12:57:03