インフレは貨幣現象?・・・経済の「血栓」
- ShinShinohara
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インフレは単なる貨幣現象だ、という主張があります。 お金をジャブジャブ印刷すれば、世の中にお金が大量に出回ってモノの値段が上がる、という単純な論理です。 しかしその論理があまりに単純すぎて現実に合わないことは、人体に例えればすぐに理解できます。
2015-02-13 19:42:09血栓で足の血管が詰まった患者に「大量に輸血すれば足に血が通いますよ」という医者がいたら、素人でも藪医者だと分かるでしょう。 血栓をそのままにして大量に輸血されても足に血が廻らず、詰まっていない血管にばかり血が流れるだけだ、というのは素人でも予想がつくからです。
2015-02-13 19:42:24日銀が歴史的な金融緩和をしてもなかなかその成果が出ないのも、「血栓」を放置しているからです。 金融緩和をしても企業は銀行からお金を借りようとしません。
2015-02-13 19:43:02企業は正社員を減らして非正規雇用を増やすことで給料を減らしますし、正社員も「景気が悪いから、会社のためだから」と給料の上昇を抑えられるので、労働者の手取りが増えません。 日本経済のいたるところに「血栓」ができています。
2015-02-13 19:43:20それでも大量のお金が投入されるとどうなるか。 「血栓」のない場所にばかりお金が巡ります。 そう、金融市場にばかりお金が巡ります。
2015-02-13 19:43:43その結果、国際市場や株式市場は活気を呈し、資本家にはお金がジャブジャブ手に入るでしょうが、庶民へのパイプには「血栓」が詰まっているので、ぜんぜんおこぼれがありません。
2015-02-13 19:43:53そう、トリクルダウンと英語で書けばスマートに聞こえますが、訳せば「おこぼれ」。 しかしそのおこぼれさえ、「血栓」で詰まった先に位置する庶民には届きません。
2015-02-13 19:44:05このままでは大量のお金で「血圧」が上がった金融市場はバブルという名の「高血圧症状」に苦しむようになり、「血栓」で一向にお金が届かない庶民は、血液が届かない手足のように壊死してしまうでしょう。
2015-02-13 19:44:15日本経済を活性化させたいなら、「血栓」の除去こそが重要です。 血栓を取り除けば、血圧を上げずともその先に血は廻ります。
2015-02-13 19:44:25では、労働者にお金という「社会の血液」を送るにはどうしたらよいか。 企業の内部留保に課税すればよいだけのことです。 課税されて取られるくらいなら、自社のために働いてくれる労働者に手厚く分配したほうがマシ、と考える企業が増えるでしょう。
2015-02-13 19:44:36内部留保を企業が増やしたのは、バブル崩壊によって銀行が大量の不良債権を抱え、なおかつBIS規制なども影響して間接金融が機能不全を起こし、企業が自社でお金の算段をつけなければならなくなったという経緯があります。
2015-02-13 19:44:45しかしバブルで発生した不良債権問題も決着し、内部留保を許す理由はすでに失われています。 内部留保に課税することで、労働者にお金がいかなくなっていた「血栓」を取り除き、血をめぐらせてみてはいかがでしょうか。
2015-02-13 19:44:57内部留保に課税すれば、企業は自社で資金を賄えなくなります。 設備投資などに必要な資金を、銀行から借りざるを得なくなります。 銀行から企業へのお金の動きができれば、日銀が大量に放出したお金が一気に社会を巡ることになります。
2015-02-13 20:05:20銀行から企業にお金が通うのを邪魔していた「血栓」。 企業から労働者にお金が通うのを邪魔していた「血栓」。 そのいずれの血栓も、内部留保に課税するという単純な政策で、取り除くことができます。
2015-02-13 20:05:36弱い弱いと言われたアベノミクスの3本目の矢。 どうせ打つならこれがもっとも威力があると思いますが、いかが。
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