通勤電車

PoKo @Poko8_m

【通勤電車26】忠義＊side そんな風に思って居ると… 「2名でお待ちの大倉様」 短髪の店員さんに呼ばれて、カウンター席に通される。 「コレ、メニューになります」 「うゎ、なんにしよ。とりあえず、ビールは飲むやろ？したら、生2つと餃子2人前」 「生と餃子2つ注文入ります」

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【通勤電車27】彼女＊side 「生と餃子じゃあかんかった？」 と忠義くんに顔を覗きこまれて、ドキっとしてしまう。 「ううん、完璧！」 「食いたいって言ってたもんな」 「生2つとお通しです」 もしかして？と気づいてから、遠くからしか見てなかったけど、やっぱり忠義くんって…

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【通勤電車28】彼女＊side かっこいいよね？女の子の扱いにも慣れてそうだし。 小さい頃に「忠義くんのお嫁さんになる」って言ってたのが申し訳ないような成長してないな…私。 もし、大人になって、忠義くんに会うことがあったら、綺麗になったねとか言われたいと思っていたんだけど…

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【通勤電車29】彼女＊side きっと…こういう人だったら、ちゃんと好きって、言ってくれるのかな？って思う。 「今はまだ、言えへんけど…ちゃんと…俺の気持ち言うから、そしたら、その…だから、待っててくれへん？」 って顔を紅らめた侯くんに言われてから、どれくらい経っただろう。

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【通勤電車30】彼女＊side その時の言葉を信じて待ってるのは私だけなのかな…とか、ふと思ってしまう。 「ほら、ビール持って！」 と言う忠義くんの言葉にハッとする。 「2人の再会に乾杯♪」 と言う忠義くんに合わせてビールジョッキをカツンと合わせてビールをぐびぐびと飲んだ。

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【通勤電車31】侯隆＊side 夜、部屋で本を読んでいると家の前に車が停まる音がする。 「親父か？接待とかあんのわかるけど…」 時計の針を見るともう1時近い。 一緒に住む弟夫婦には、小さい子が居るから、起こしたらあかんよな…インターフォンが鳴る前にと鍵を開けに玄関へ急ぐ。

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【通勤電車32】侯隆＊side 「親父、お帰り」 と言いながら、扉も開けると、目の前に親父の姿と乗ってきたらしい車はなくて。その代わりに、車から降りたばかりらしいあいつと目が合う。 住宅街の細い道路を挟んだ反対側があいつの家。 「おぅ…。珍しいな。こんな時間にどうしたん？」

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【通勤電車33】侯隆＊side 「うん、終電乗り遅れちゃって」 「飲み会やったん？」 「ちょっと、友達に急に飲みに誘われて」 「そうなんや」 「…うん」 「おばちゃんもおじちゃんも心配するから、あんま遅くなんなよ」 「大丈夫だよ、もういい歳だし」 「よくないゎ。俺が心配やねん」

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【通勤電車34】侯隆＊side 「え…？」 「あ…、え…っと、早よ家入り。おやすみ」 あかん…余計なことを言ってもうたゎ。 でも、好きな女の心配するんは当然のことやろ？ あいつと俺は付き合ってるか、付き合ってないかと聞かれたら、曖昧な関係で。 ちゃんとせなとは思っとる。

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【通勤電車35】侯隆＊side けど、あの時…俺が言ったことなんて、覚えてるわけ、あらへんよな。 それに、結局… 好きやって恥ずかしくて、ずっと…言えとらんし。 せやから、誰かとあいつが付き合ったって仕方ないことやって思ってる。 でも、やっぱり、嫌やし。自分勝手やけど。

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【通勤電車36】彼女＊side 忠義くんとの会話は思った以上に盛り上がり、目の前で終電に行かれてしまう。 郊外の終電は少しだけ早い。 「タクシーで帰るか？4駅、ヒールで歩いて帰るんしんどいやろ？」 「大丈夫だよ。歩いて帰ろう」 そう言ったのは、もう少し一緒に居たかったから。

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【通勤電車37】彼女＊side でも、こういう日に限ってなれないヒールで。1駅で歩いただけで、靴擦れして、結局、タクシーに乗った。 「言ったやろ？」 と少し、呆れた顔でこっちを見てくる。 「大丈夫だって思ったんだもん」 「そう思っても、大丈夫やないことやって、あるんやで？」

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【通勤電車38】彼女＊side 「それは、わかるけど」 「何で、無理して歩こうと思ったん？」 もう少し忠義くんと話をしたかったから。と言いたかったけど、言えなくて。 「タクシー代高いから…」 「でもな、男と居るんやし、甘えときゃえぇの。ねぇ？運転手さん」 「そうですよ」

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【通勤電車39】彼女＊side 「運転手さんもそう言ってることやし、俺に甘えなさい」 「ご飯代も出してくれたし」 「次、払ってくれたらえぇよ。また、誘うし。嫌じゃなければやけど」 え、次？ 「嫌じゃない…」 「じゃあ、また飲みに行こな？」 気がついたら、もう、家の近くで。

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【通勤電車40】彼女＊side 忠義くんにお礼を言ってタクシーから降りて、向かいの侯くんの家を方を見ると、おじさんが帰ってきたと勘違いした、侯くんが居て。 「おばちゃんもおじちゃんも心配するから、あんま遅くなんなよ」 「大丈夫だよ、いい歳だし」 「よくないゎ。俺が心配やねん」

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【通勤電車41】彼女＊side と言われて、思わず…ドキッとしてしまう。私のこと、心配してくれてるの？ でも、バツが悪そうに「…おやすみ」と言って、家に入る侯くんの後姿をジッと見つめるしか出来なくて。 心配するんだったら…早くちゃんと言ってよ。 私はいつまで待てばイイの？

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【通勤電車42】忠義＊side 彼女を送り届けてから、家へ向かうタクシーの中、携帯を見ると、不在着信5件と留守番電話とLINE多数。 新しい職場の女子社員からで、飲みに行きましょうよのしつこい誘い。 でも、1つだけ違う相手からの着信。 「え…？なんで…どうしたんやろ…？」

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【通勤電車43】忠義＊side 消したはずなのに、直ぐわかった。 無意識のうちにその番号へ電話をかける。 「もしもし…」 「ただいま電話に出ること…」 耳に響く機械音。 電話に出るわけないのはわかってた。 「忠義やけど、電話くれたのに、出れんで、ごめんな。どうしたん？」

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【通勤電車44】忠義＊side 「また、電話、待っとるから」 そう言って、留守電に伝言を残すことしか出来なくて。 電車を乗り継いで片道3時間。 会えない距離にいないわけや無いけど、会ったらいけない相手。 ホンマは電話もあかんねん。 わかっとるはずやのに… 会いたい。

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【通勤電車45】忠義＊side 留守電に声を吹き込んで、電話を切ると、さっきまで一緒に居た彼女から、LINEが来た。内容は今日のお礼。 連絡を取ることも、会うこともないだろう、あいつからの着信で、返信する気分では無かったんやけど… 折角、再会出来たのも縁やしと直ぐに返信した。

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【通勤電車46】彼女＊side 「今日はありがとう。楽しかったです。また、飲みにきましょう。また朝、駅で会いましょう。か…」 お礼のLINEを打ったら、可愛らしいイラストと絵文字付きで、すぐに返って来た。 誰かとは大違い。未読のLINEをスクロールして次々と既読へして行く。

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【通勤電車47】彼女＊side よく見るとその誰かさんからもLINEが来てるのに気づく。 よく見たら、既読スルー状態で。 明日、何しとるん？一緒にどっか遊びに行くか？と言う内容。 急いで、いいよ。と打って送信すると、 直ぐに来る返信なかったら、心配するやろ？帰りも遅いし。

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【通勤電車48】彼女＊side 「心配するなら、好きって、言ってよ。侯くんのバーカ」 弟くん結婚して、子ども生まれて、暫くしないうちに、おばさんの病気で入退院したりで、おじさんも仕事忙しくなっちゃって、家がバタバタしてるのはわかるけど… 私とのことも考えて欲しいんだけどな…

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【通勤電車49】彼女＊side 出掛けるって、明日もおばさんが入院してる病院行くのかな。 おばさんに侯くんと会いに行って、2人になると侯くんのことどう思ってるのか聞かれる。 多分…おばさんはいろいろと気づいて聞いてきて。いつも、最後に必ず早く元気にならなきゃねって言われる。

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【通勤電車50】彼女＊side 侯くんに待ってろって言われて、ただ、待ってるだけじゃダメなのはわかるけど… もし、私が勘違いしていたら？と思うと。 確か、私に…ああいうこと言っても、他に付き合ってる人、あの時に居たはず。 だから、今でも傷つきたくない気持ちばかりが先行する。