漢語上古音・中古音に関するツイートまとめ(1)
- motijuki1017
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@HishamWaqwaqi ちなみに、hl という文字列は、Baxterでは「無声のL」、鄭張では h+l という二重子音のつもりらしい。ややこしい。
2015-02-19 00:15:031.3 上古牙音(K-G-Ng系列)の口蓋化について
堯ゲウ:繞ネウってどういう対応かと思ったら、単に一方が口蓋化したのか。見落としてた。Baxter(1992), p212 #上古音 上古>中古 堯 *ngew > *ngew 繞 *ngjew > *nyew
2015-02-19 23:59:38@HishamWaqwaqi さらに燒セウのようにサ行になるのは、無声鼻音からの変化で 燒 *hngjew >> *syew という流れのようだ。 藝ゲイ・熱ネツ・勢セイなどの対応に同じ。
2015-02-20 00:06:01上古音>中古音 堯 *ŋew > ŋew ゲウ(平声) 曉 *hŋewʔ > xew ケウ(上声) 繞 *ŋjewʔ > ńiew ネウ(上声) 燒 *hŋjews > *xjew > śiew セウ(去声)
2016-02-19 21:56:01@HishamWaqwaqi 上古→中古の間に起こったと考えられる牙音の口蓋化 *kj > *tś *khj > *tśh *gj > *dź *ngj > ń *hngj > ś
2015-02-20 01:50:03@HishamWaqwaqi 例えば、 支*kje > *tśie 掣*khjets > *tśhiei 臣*gjin > *dźin 児*ngje > *ńie 勢*hngjets > śiei
2015-02-20 01:51:261.31 近世における牙喉音(K-Ng-H系列)の口蓋化について
@HishamWaqwaqi 「支」を「き」と読むのは古音の残存ですかね。ところでこのとき口蓋化しなかったグループ(上古再構音で介音 -j- を帯びていない)はそれから千数百年も経って、 金 kim > tśin 牛 ngiu > niu 曉 hieu > śiau のように変化
2015-02-20 02:26:092. 介音と主母音について
2.1 介音 *R について
「上古漢語の*r,*lについて」 repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/dspace/handle/…
2015-02-10 01:44:41(メモ)最近の諸家の説では、上古音に *r という子音が最構されるようになった。この *r は以下のような地位にある。 1. 声母(頭子音)としての来母 *r- 2. 介音あるいは頭子音クラスタの一部 *Cr- #上古音
2015-02-23 06:22:07@HishamWaqwaqi 1.の *r は中古音において *l に変化 2.の *r は、子音としては消滅したが、舌音(*t, d)や歯音(*ts, *s)の後では「そり舌音」を形成する要素になった
2015-02-23 06:29:56@HishamWaqwaqi さらに、2.の場合の介音 *r は、中古音におけるいわゆる「二等韻」を生み出す。 *kan > *kan (一等韻) *kran > *kæn(二等韻)
2015-02-23 06:45:47@HishamWaqwaqi 中古音の二等韻とは以下のような韻母のこと 例)平声 麻、佳、皆、肴、咸、銜、刪、山、江、庚、耕 これらは日本漢字音(呉音)においてもエ段・ア段だったり、現代諸方言でも前舌母音が現れるなど、前寄りの母音を主母音としていたと考えられる。
2015-02-23 07:01:162.2 介音 *-j- について
Baxter-Sagart(2014)の再構音では―
やはりj 介音は完全に想定されていない。どうやら咽頭化音の後では中古音になっても介音 j 無し、非咽頭化音の後で介音 j が発生するという流れのようだ。 模 mˤa > mo 無 ma >> mju
2015-02-13 05:09:21Baxterも以前は三等の*-j-を採用していましたが、音訳表記や同系語に*-j-の痕跡が見られないことを指摘しており、後にNormanの咽頭化説に改めました。ちなみにStarostinや鄭張尚芳は母音の長短(三等が短母音)としています。
2015-02-15 03:21:01また、Baxter(1992)では口蓋音化などの説明のために*-j-は必要であるとしていました。個人的にBaxter(1992)は音韻的表記、Baxter-Sagart(2014)は音声的表記という印象があります。
2015-02-15 03:36:252.3 介音 *W の起源について
Yakhontov(1960)によると、上古漢語には介音*-w-は無かった、中古音の介音-w-は *kʷ のような唇音化した頭子音と円唇主母音 *o, *u に由来する。中古音 kwanは *kʷan, *konからの変化。Baxter(1992)p180
2015-02-22 23:57:13@HishamWaqwaqi Baxterは、*kʷ, *ngʷ, ʔʷなど牙喉音系列にのみ唇音化子音を認めている。*tʷ とか*tsʷとかは無い。
2015-02-23 00:01:18つまり、下記のような変化 主母音が非円唇:*A > A *-an > -an *-jan > -jan 主母音が円唇:*O > WA *-on > -wan *-jon > -jwan
2015-02-23 00:04:033 韻母
3.1 上古魚部 *-a 歌部 *-aj について
上古音の「魚部」に分類される字は韻母 -a を持っていたと考えられている。これは中古期には後舌化し -o や -u に変化する。屠(ト)廬(ロ)烏(ウ)などいずれもオ段ウ段だが、浮屠(ブッダ)末廬(マツラ)烏弋山離(アレクサンドリア)などの音訳を見ても漢代頃には-aだったと分かる
2015-03-10 22:02:08