不知火に落ち度はない 33(第十七駆逐海賊団編 その1)

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不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

あかん。どういうことだ。 どういう理屈かさっぱりわからんぞ。 しかし、混乱してる俺を余所に、遠慮無く浜風は俺の首に腕を回してそのままぎゅーっと、抱きついてくるわけで。 「わかるまでこのままでいいですね?」 その上笑顔だけどなんか怒ってるわけで。 #不知火に落ち度はない

2015-03-03 21:09:36
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「いや。待て、ホントわからんから勘弁してくれねえか」 「……む-。じゃあ降りるまでこのままでいいってことですね」 「いや、それは本気で勘弁してくださいたのんます」 さっきから、ビジネスマンの人が書類放置してこっち見てんだよ。 縁交? みたいな感じで。 #不知火に落ち度はない

2015-03-03 21:12:20
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「私は。本当は、もっと別の理由で怒ってるんです」 「や。それは聞いたけどさ」 「だったらわかりますよね?」 「ごめん、全然わからん」 あ、浜風の眉根が寄せられてる。 ついでにエアバッグも寄せられてえっらいことになってる。 #不知火に落ち度はない

2015-03-03 21:14:28
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「じゃあいいです。つかの間の二人っきりをこうやって楽しみますから」 むにゅりとエアバッグ押し当てて、浜風が言う。 「触って良いですよ、今なら」 それはお断りします-!? ここ公共機関ですし-!? #不知火に落ち度はない

2015-03-03 21:19:47
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

まあまて落ち着け。ヒントは今までの会話の中にある。 えーっと、ほらあれか。 つまり浜風が言いたかったのはあれか。 「えーっと、要するに二人っきりになりたかった?」 「少し正解です。でもまだ駄目です」 #不知火に落ち度はない

2015-03-03 21:20:59
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

拘束は緩まない。顔も近いままである。 はよ正解しないと、確実になんか いろいろやばい。 私が一番怒ってるのはそういう所って、どういう所なわけですか。 えーと、えーと。あー。 もしかして、だけど。 #不知火に落ち度はない

2015-03-03 21:25:58
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「……ホテルから今までのやつって、ことか?」 「ええ。それはそれで怒ってます。結局いろいろあったけど、ドレスまで貰ったけど、結局最後の質問答えて貰ってませんし」 えーっ。緊急事態が飛び込んできたじゃんあれ。 しかも、それはそれでって、おい? #不知火に落ち度はない

2015-03-03 21:29:00
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

いや、本格的に迷宮入りしてきたんだが。 さっきまで軽蔑する、とかなんとか言ってたよな。 いやまて、あれって全部ブラフだったとか そういうんじゃねえよなもしかして。 と、すると──だ。 #不知火に落ち度はない

2015-03-03 21:32:12
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「金属探知機の件、真面目に答えなかったから、とかか?」 「そうです。あんなことになるなら事前に言ってくれていいじゃないですか」 いや。うん。 それって真面目に話すとお前、なんかしんどそうな顔すんじゃん。 「ほら、そういう所に怒ってるんです」 #不知火に落ち度はない

2015-03-03 21:35:33
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

指を指されるわけで。 いや、何つまりあれ? 「気にせず事情を話せと申しますか、浜風は」 「そうです。さっきだって何で怒ってるか、とか全然聞かないじゃないですか。わからないって言うくせに」 いや、正解して見ろって態度だったと思うんだが。 #不知火に落ち度はない

2015-03-03 21:37:32
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「私は聞けば答えます。兵頭さんは私のためにそれぐらい、してくれてるんです」 「や。俺上官ですし──」 むぎゅ、と頬つねられました。 いや、ちょい痛いんだけど。 「そうやって立場を理由になんでもない、って顔、私にしないでください」 「無茶言いなさんな」 #不知火に落ち度はない

2015-03-03 21:43:39
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「無茶なのは兵頭さんの方です。そうやって隠して流して。本当はあの二人が来られて困ったんじゃ無いですか?」 「あー……」 まあ、感情的な部分を入れればそうなる。 立てたプランを、一気に変更しなきゃなんなかった。 元々は一人で片付ける方向だったし。 #不知火に落ち度はない

2015-03-03 21:53:18
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「そこで一言くらい、空港で言ってくれればよかったのに。今度は神通教官に話をしてましたし」 「えっと。見てたん?」 「ええ。喫煙所で少し話してましたよね」 まあな。今回、俺が指揮を執るとは言え隊長格になるんだし。 話しておかなきゃならんことは一杯ある。 #不知火に落ち度はない

2015-03-03 21:55:33
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「不知火さんにもあれこれ質問しては、呆れられてましたし。あれ、わざとですよね」 「あー、まあな」 為替レートの話だよな。 たまには、間違ったことを言っておかなきゃならん時はある。 簡易ブリーフィングを兼ねた行為だったわけだ。 よく見てんな浜風。 #不知火に落ち度はない

2015-03-03 22:00:38
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「そうやって本当のところは押し殺して、隠して。それが行きすぎてるから怒ってるんです」 「うーむ」 いや、うん。そいつはすげえな、とは思う。 が、胸を押し当てながら言う台詞ではないとも思う。 プラスで言うと、浜風くんや。 本音それ以外もあるだろう。 #不知火に落ち度はない

2015-03-03 22:04:31
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「んじゃ包み隠さず言うから、その腕いったん離してくれ。頼むわ」 「イヤです」 Noと来ましたよこのお嬢ちゃん。 「じゃなきゃ、性的な興奮を覚えてですね」 「嘘ですよね」 はい。今だいぶ冷静になってるんで。 世間体以外は特に危機感を抱いてません。 #不知火に落ち度はない

2015-03-03 22:09:54
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「いや、だけど世間的には不味いって自覚あんだろ、流石に」 「っ……か、彼氏にですね、しても平気で……ですし」 声うわずってますよ。羞恥心に追いつかれましたねきみ。 このまま腕動かしちゃろか。 耳まで赤くなってわかりやすい奴ではある。 #不知火に落ち度はない

2015-03-03 22:11:32
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「じゃ、そのままでいいや。小声でやりやすい」 「や、やりやすいって……なんですか…っ」 どんな想像をしたかは割愛な。 「司令官としちゃ、その要請には応じかねる。現在一個人として動いちゃ居るが、基本俺の居る位置はそこだ」 「……」 #不知火に落ち度はない

2015-03-03 22:14:02
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

浜風が、見る見るとしおれた表情になる。だが話は続ける。 「急変する環境へ即応できない司令官は、前線に居られない」 「だったら別に…」 浜風から見れば、俺はわりと一杯一杯なんだろな。 「俺には、他にあいつらに届く手が無い。残念ながらな」 #不知火に落ち度はない

2015-03-03 22:18:57
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「それを諦めて、生きるのは──わり、無理だ」 「もし、事故でこの後色々無くしても?」 「そうでなきゃな……」 こいつは言っていいのか? 情の部分が顔を覗かせる。 望んだんだから聞かせてやれ。 冷たい思考がそう囁く。 #不知火に落ち度はない

2015-03-03 22:21:25
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「そうでなきゃ、かつぎ込まれた所でとっくに死んでた」 病院の中。 繋がれた透明な管とかかった抗菌シート。 身動き一つ取れない包帯の拘束。 毎日読み上げられる、諦めた奴の名前。 そんな中踏み止まれたのは一矢報いる、という感情あったからに他ならない。 #不知火に落ち度はない

2015-03-03 22:27:48
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「そこにしがみつく以上立場上隠したり、平気な顔したりは必要になっちまう。そこは浜風の要請でも無理だ」 「じゃあ……私を気遣ってくれたのは」 見るからに落ち込んだ浜風が、こちらを見ずに言う。 ここで偽るならば、おそらく理想的な答えはある。 #不知火に落ち度はない

2015-03-03 22:34:11
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

司令官として必要だったから。そう言うだけで浜風は、納得と共に離れるのだろう。 だが、ここまでして踏み込んだ相手に、それは難しかった。 故に正直に言うことにした。 「わからん。基地の連中からはぐれてる浜風を見て、むかっ腹が立ったのは事実だ」 #不知火に落ち度はない

2015-03-03 22:36:08
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

いや。ほんとな。 司令官として、なじめない浜風を心配したのか。 それとも、人間的感情の方で構ったのか。 たぶんどっちも、ってとこなんだとは思うわけで。 「俺な。そこまで器用な切り替えはあんま得意じゃねえんだ」 「……そう……ですか」 #不知火に落ち度はない

2015-03-03 22:38:24
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「ああ。不知火と、神通が協力してくれることに関しては喜ばしいと思ってる。同時にプランが狂ったから、調整かけねえと駄目だっていう面倒くささも感じてる」 「……はい」 うなずき、続きを求める浜風。 俺はそのままお望み通り続けることにした。 #不知火に落ち度はない

2015-03-03 22:42:24
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