DIE氏から、「少年法改正の是非を検討してほしい」というリクエストを頂いた。集中して勉強したわけではないので、言及を避けていたが、今まで読んだ本の知っている範囲で答えてみる。
2015-03-06 19:42:05まずアメリカの事例だ。アメリカでは1960年代に民主党のジョンソン政権が、「貧困との戦い」を打ち出し、アメリカ社会を悩ませる犯罪の原因などは、貧困にあるとして、再分配政策が大胆に推し進められた。しかし結果から言えば、犯罪はむしろ増えてしまった。
2015-03-06 19:42:31刑罰を軽くして、更正のための教育を施す保護主義的措置は、あまり効果がなかったようだ。そして80年代からは、再び厳罰化された。90年代に犯罪は激減し、犯罪統計を分析した「ヤバい経済学」も、効果があった関係は有力としている。
2015-03-06 19:43:49しかし日本では逆に、保護主義的措置の元で少年の凶悪犯罪が減少していった。アメリカと日本では、犯罪に関する社会や文化の違いが大きいのかもしれない。アメリカのように厳罰化すれば、さらに犯罪が減るかというと、未知数である。
2015-03-06 19:44:18日本でも、自転車泥棒や万引きなどの軽犯罪は、一時的な増加が見られる。取り締まり方針の変化や、カウントの仕方が変化しているという指摘もあるが、仮に増えているにしても、犯罪には適切な刑罰というものがある。
2015-03-06 19:44:40いくら抑止に効果があっても、自転車泥棒を死刑にせよ、という人はいないだろう。現行の少年法では、軽微な犯罪でも少年院送りになったりするので、軽犯罪に限って言えば、執行猶予が付いたり罰金ですむ成人より、厳しい処置が取られるともいえる。
2015-03-06 19:45:06再犯率はどうか。ある県の調査によると、1970年生まれの14歳以降で一度検挙されたものが、再び捕まったのは20%くらいである。3回は7%くらい、5回は2%だった。どんどんと少なくなっている。
2015-03-06 19:45:50重大事件にしぼったものでは、保護観察処分を受けた少年と少年院を仮退院した少年が、保護観察中に再び非行を犯して処分を受けた比率を見ると、それぞれ16%、23%くらいである。
2015-03-06 19:46:01一方で少年法の思想は、若干の問題をはらんでいるとも、私は考える。少年法は犯罪を行った少年を、矯正して更正できる、させるべきだという考えに基づいている。しかし本来、更正できるかできないかは、個々人で違う問題だ。成人でも寛大な処罰と教育で、更正できる人もいるだろう。
2015-03-06 19:52:37少年法は、成人と少年を「年齢」だけで区別する。別にハッキリとした科学的根拠はない。むしろ社会的に、大雑把に区別しているだけだ。
2015-03-06 19:53:07ちょうど選挙権などが、「成人なら政治的判断力を出来る市民で、少年は出来ない」という大雑把な区別に基づいているのと同じだ。それは少年の本質とはあまり関係ない。
2015-03-06 19:53:27追加
私の考えでは、一部の少年に成人並みの刑罰を与える一方で、少年達に現在よりも市民的権利を認めたほうがいいと思う。刑罰を受けるという事は、市民として一人前ということである。一部の保守派・右翼は大いに勘違いしているが、刑罰だけ厳しくして人権は制限される、という事はありえない。
2015-03-06 20:27:34