３月３０日　ワダチと狭間

八尺ワダチ @kankyoizon2

@c_yu_n 答えになるのだろうか。 あまりにそれでは娘が可哀想でいやしないか。 自分の心は、娘に全く応えられないのだろうか。 必要があるなら言えるかもしれない。だが、心から表明できるかと言われれば、蟠りが、残る。→

八尺ワダチ @kankyoizon2

@c_yu_n 生きてるだけで役に立つか、という表現は、完全に自分の思考を、砕いた。 「……『答えない』ことは出来るか」 なんとまぁ小狡い答えであろうか、と。

狭間 駿 @c_yu_n

@kankyoizon2 狭間】「できます。」 問題ありません、と真顔で頷いて、 「…でも、じゃあ、…それなら、…けっこキツいこと言いますよ。今から。いいですか？」 ぎょろんとでかい目で、どこか一本コードが外れたように、じ、と相手を見る。だめ、と言われても、おそらく言うだろう。

八尺ワダチ @kankyoizon2

@c_yu_n ワダチ】「構わない」 覚悟は出来ている。

狭間 駿 @c_yu_n

@kankyoizon2 狭間】「…アナタはヒヅメさんに、ゆるされていないつもりで、いたほうが…俺は、いいと思います。」 少し考えて、まずは短く、そう告げる。

八尺ワダチ @kankyoizon2

@c_yu_n ワダチ】「……」 続けるように促す沈黙。

狭間 駿 @c_yu_n

@kankyoizon2 狭間】「ヒヅメさんが、実際許してるかどうかは知りません。…でも、許しきれてないのに、壊れてほしくなくて許すという、ことって、あります。実際許されてもほしいんです。苦しんでほしく、ねェのな…でも、それでも苦しんでほしい、…っていう思いが同時に、あります」→

狭間 駿 @c_yu_n

@kankyoizon2 →「責任感じて、自分を責めてほしいんです。じゃないと自分が、静かに苦しい。…ヒヅメさん本人が、そう思ってるかは知りません、」 言ってちょっと笑う。 「…俺がちょっと前、そうでした。許されてほしいけど、ゆるされきってほしくない。平気でいてほしくない、…、」

八尺ワダチ @kankyoizon2

@c_yu_n ワダチ】「元来そう思っているが」 許されて罪が消えるだなんてムシの良い話があるものか。だから苦しみ続ける。……それ、の、表明の必要性か、と思う。

狭間 駿 @c_yu_n

@kankyoizon2 狭間】「そんならいいや、」 へら、と笑う。 「そんならいいんです。そのつもりでいてくれるなら、きっといい。…ただ、今度は、ヒヅメさんが本当に、『許されてほしい』って自分から思ったときに、ちゃんと、許されてください」 笑ったまま繋げる。

狭間 駿 @c_yu_n

@kankyoizon2 狭間】「ヒヅメさんに、『ゆるされてほしい』と、思われてください。…そんときやっと、ほんとに、ヒヅメさんが救われる」 それは自分の実感だから、彼女に通用するか、知らない。…ただ、自分はそうして、救われた実感を、持っている。

狭間 駿 @c_yu_n

@kankyoizon2 狭間】「だから、あなたがゆるされてほしい、と…ヒヅメさんに、思われてください。そしてそうなったときには、きっちりちゃんと、ゆるされてください」 真顔に戻って重ねてそう言って、 「……どうでしょうね、俺見当はずれなこと、言ってますか？」 肩を竦める。

狭間 駿 @c_yu_n

狭間】許すという、父娘のやりとりがどのようなものだったのかは、想像の上のものでしかない。ひどく的外れな、射外したことを言っているかもしれない、とも思うが、それならそれでいい。外していたら赤っ恥の失礼だが、失礼にはなっても、害にはならないことだろう、…おそらく。と思う。

八尺ワダチ @kankyoizon2

@c_yu_n ワダチ】「……」 彼自身が何か別に思っているところがあるように感じたが、詮索することでもないだろう。 「『贖罪の許し』だ」 今までの言い方が悪かった、とおもいなおした。 「永遠に罪を償う許しだ。始まりだった……、言い直す」 →

狭間 駿 @c_yu_n

@kankyoizon2 狭間】エッ、という顔をする。

八尺ワダチ @kankyoizon2

@c_yu_n 「故に私は、彼女の望みを叶えたい。それが何らかの気持ちの問題でも、物質的なものでも。だが、私は彼女に、最終的な許しが欲しいとは思ってもいなかったが……それはヒヅメの、苦しみか？」 何が彼女の望みなのか、彼の言うことではまだ判断しきれない。

八尺ワダチ @kankyoizon2

ワダチ】感覚の差異はだいぶあるだろうな、と思った。それが彼の望む父親像なのだろうか。八尺ヒヅメの父親は、彼の言う、望み通りであるべきなのだろうか。この、ヒヅメよりも年下に見える青年の。

狭間 駿 @c_yu_n

@kankyoizon2 狭間】「俺が思うには、フツーにそれは、ヒヅメさんの苦しみじゃ、ないですか？」 目を瞬くようにして、永遠の贖罪、の響きに呆気にとられる。 「俺ならしんどい。ヒヅメさんがどうなのかは分かんないけど、…俺なら、しんどい」

狭間 駿 @c_yu_n

@kankyoizon2 狭間】「ヒヅメさんは、それ、喜んでたんですか…？　………分かんねえか、今日、なら」 包帯でぐるぐる巻きだったのだろう、と、問いかけて思い至る。

八尺ワダチ @kankyoizon2

@c_yu_n ワダチ】「そうなのだろうか。許せない人は一生許せない、そういうものなのでは」 彼の言っていることがわからない。

狭間 駿 @c_yu_n

@kankyoizon2 狭間】「ゆるせる相手じゃ、ないから、ゆるせないんですよ。ゆるせねえままいるのは、ツラいです…仮にも味方なら、なおさら」 じっと相手を見据えるようにして言う。仮にも味方なら…しかも、最も味方であるかもしれない相手なら、その相手に永遠に償われるのはきっと、

狭間 駿 @c_yu_n

@kankyoizon2 狭間】「贖罪のためにそばに居続けられて、贖罪のために甲斐甲斐しくされるなら、いずれ虚しくなるって、思いませんか」 自分はそう思う。するり、と、即座にそう感じてしまう。いずれ、自分って何なんだ、と思ってしまう。…この相手やヒヅメは、そうではないのだろうか。

八尺ワダチ @kankyoizon2

@c_yu_n ワダチ】……彼に話すわけにいかない事情がある。そこを話さずに、贖罪を続ける必要があることを説明することができない。それは、K子に洗脳される前から続く、娘への罪の意識なのだから。 ヒヅメ本人にも話すわけにはいかない、ことだ。 →

八尺ワダチ @kankyoizon2

@c_yu_n だとしてもそれが彼女の不幸になるのなら…… 何をすることも、何も言うこともできないで、沈黙が過ぎる。

狭間 駿 @c_yu_n

@kankyoizon2 狭間】「自分に笑ってほしい、と思ってくれる相手が、笑ってる自分を好きでいてくれるから、って思えるのと、…贖罪のためにそうしてるんだ、って思っちまうのとじゃ、…自分の存在の意義が、ぜんぜん違うと、思いませんか…、」