一日目、交流 - 今様に落つる怪奇譚

2015/04/02から2015/04/05までの、人間とあやかしの語らいの様子です。
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蓮田 颯丞 @hasterMissing

沈んだ気持ちとは裏腹に、不安感に押されるようにして足は自然と早くなる。 当てもなく彷徨い続けてようやく、何かがおかしい事に気が付いた。 見上げれば、寺の門が前にあった。 試しに、寺に背を向けて真っ直ぐに歩く。 何度も寺の方向を確認して、背を向けて。離れるように歩く。

2015-04-03 00:05:53
蓮田 颯丞 @hasterMissing

だというのに、ものの十数分後には再び寺の門が、夕奈の前にあった。 「…………」 考えてみればいくら方向音痴といっても、徒歩数分の近所の店に行く道を間違えて、まったく見知らぬ土地まで行くなど有り得るだろうか? 一つでも道を間違えれば、数分も経たずに気付くはずだ。

2015-04-03 00:07:46
蓮田 颯丞 @hasterMissing

言い様のない不安感に押し潰されそうになる。 心臓が早鐘を打ったようにどくどくと鳴るのを感じる。 夕菜は、寺の門を前にして、影が地面に張り付いたかのようにその場から一歩も動けなくなった。

2015-04-03 00:08:46
白堀之水藤 @sirafji

ずぅるりと。 木々の合間を進む、濡れ袖ひいた白蛇ひとつ。 此処までに何度間抜けな欠伸をしたことか。 確かに一度森を出てゴミを捨てて、堀へ向かおうとしてたはずなのに再び何処ぞしらぬ森へと入ってしまった。 あやかしが迷子なんて笑うのも面倒だ。

2015-04-03 00:15:12
白堀之水藤 @sirafji

同じような景色の中、ただぼんやりと進むとやっと別の景色に辿り着いた。 「…こんなところに寺なんてあったなんてねぇ…」 ずぅるりと。警戒なんぞするはずもなく近づく。 恐らく此処は寺の背部。 中に主たる神様とやらがいる気配はない。 かといって廃寺、というには綺麗過ぎる。

2015-04-03 00:15:47
白堀之水藤 @sirafji

「やっとお招きされた、…訳ではなさそうだねぇ」 ひとつ。ふたつ。…いやまだいる。 こんなところに人間なんて、祭りがあるわけでも無かろうに。 「……寺の中からいきなりバーンと飛び出たら面白いかな…」 どこか小さな隙間でもあれば、簡単に潜り込める。

2015-04-03 00:16:18
白堀之水藤 @sirafji

認識されるなんて期待していないが、いきなり扉が開いたらさぞ驚く顔が見られるだろうて。 そうと決まれば、ニヤリと口許を上げる。 ……結局そんな隙間なんぞ見つからず、長い長い溜め息をついて横から回ることになったが。

2015-04-03 00:16:55
染井 恭子 @Swamp_swap

「えーと?」 親しげに話しかけてきた針金のような男を見上げて首をかしげる。 未だに現状を理解していない彼女からしてみれば、針金男(失礼)は不審者レベル3である。少しだけ後ずさって距離を保ちつつ。 「確かに。ま、迷子だけ……ですけど。」

2015-04-03 00:17:25
白堀之水藤 @sirafji

見えるモノは寺の横から現れる其れがさぞ異質に感じるだろうて。 優雅に煙管を咥える、人間のようで人間でない、蟒蛇に。

2015-04-03 00:17:43
染井 恭子 @Swamp_swap

視線を転ずる 針金男と比べれば随分と可愛らしい少女 対比でキラキラと輝いて見える 「そ、その」 心配されている。 疲れとは別の理由で心臓の鼓動が速くなる 「だいじょうぶです。はい」 言いながら何度も頷いて 勢いよく頭を振りすぎたのか、少し気持ち悪くなった

2015-04-03 00:18:51
染井 恭子 @Swamp_swap

「お二人も、迷子。ですか?」 カタコトのように。 言い馴れていないぶつ切りの敬語を使う。 見知らぬ不審者(仮)と会話するのは、緊張で変な場所に力が入る。 どちらかが不振な動きをすれば急いで離れられるように身を固くして。

2015-04-03 00:19:12
不老 蓮 @Lotus_frow

「迷子というか、何かに引き寄せられたような……」 気もする。自覚があるわけではないのだけど、僕の中ではそう思える。女の勘とも言えそうだが、これは霊能力者、巫女としての勘。

2015-04-03 00:27:39
不老 蓮 @Lotus_frow

――まぁありていに言えば迷子に相違ない『現状』である。 「強い力に、ぐ、っと」 まるでテレビの中で語る霊能力者みたいなそれ。 「……お、落ち着いて大丈夫ですよ。危害を加えるようなことはたぶんしない筈、なので」 そんな風に両者を見比べる。

2015-04-03 00:28:54
赫滑ねぶる @akanameneburu

「まぁ……」 頭の後ろをポリポリと掻きながら。 「『お招き』頂いちゃったってぇ、カンジ?ああ、人間にわかりやすく言うんなら、あれよ。『神隠し』的な?……そう、お嬢ちゃん正解」 霊能力者を名乗るだけのことはあり、彼女もそのことを、感覚的に理解しているようであった。

2015-04-03 00:33:44
不老 蓮 @Lotus_frow

「……あなたはどうなんですか?」 長躯の男性――のあやかしに振り向いた。 「善玉と仰るなら怪異にかかわりが無いようにも思えますが」 そんな風に問いかけた後、に。

2015-04-03 00:44:14
蓮田 颯丞 @hasterMissing

ふと、音を感じた。 実際に耳に届いたわけではない。ただ、音がしたと感じて、ふと横へと視線を向けた。 「……ひっ…!?」 息が漏れる。 寺の横から現れた異形の影。ほおずきの様に真っ赤な瞳の、和服を身に纏った女。 ――ただし、それは半身はの話だ。

2015-04-03 00:45:11
不老 蓮 @Lotus_frow

視線をめぐらせると、門の前で往生している人間と、新しいあやかし風貌が見えた。やはり肩を震わせてしまうのは下級のあやかしではないから、そんな存在をしっかり視認することが無かったから。 「あの、そこの……」 人間とあやかし、2つ見えた存在。どう声をかけたものか躊躇う。

2015-04-03 00:45:40
蓮田 颯丞 @hasterMissing

下半分は人のものではない。鱗に覆われた白く長い、蛇のそれ。 ネットで見た怪談話に、そんな魔性がいた覚えがある。 私はこれに呼ばれて此処に来たのだろうかと、夕奈の瞳に恐怖が宿る。 宿るだけで、叫びもしなければ逃げもせず、蛇に睨まれた蛙の様に、硬直しているだけなのだが。

2015-04-03 00:46:52
赫滑ねぶる @akanameneburu

「あ〜うん、どうも、俺よりずっと高位の『あやかし』の力で……とは言っても、俺ぁ茶っぱの出涸らしみてぇなチンケな『あやかし』だぁら、大体の奴は俺より高位なんだけどよぉ。へへへ」 などと能天気に言う笑顔が、……凍る。 ーーーーずるり。 巨大な何かの這う音と、近づく『気配』。

2015-04-03 00:48:43
赫滑ねぶる @akanameneburu

バッ!と振り返れば、古寺の影から、ぬぅと現れた白蛇の姿。 「ひっ……!」 思わず引きつった声を上げ、腰が引ける。 「こ、こいつぁご無礼を致しやした!すすすっかりご挨拶が遅れっちまって……!お初にお目にかかりやす……ひぃぃ……」

2015-04-03 00:48:45
赫滑ねぶる @akanameneburu

相手がいかに高位の『あやかし』であるかは、あるていどは気配でわかるものだ。 赫滑ねぶるにとって、この神とも見まごう白蛇ほどに高位の『あやかし』と合間見えたのは、実に、初めてのことであった。 失礼があってはいけないと、体を曲げて、相手より姿勢を低くして、ソワソワと舌を揺らす。

2015-04-03 00:48:46
蓮田 颯丞 @hasterMissing

ほんの少し夕奈が冷静でいられるのなら門の奥に見える人影にも気付けたのかもしれないし、向けられた視線にも気付けたのかもしれないが、それを望むのは難しかった。 難しかったが、さすがに声を出せばそれと気づく。 反射的に門の奥へと目を向けて――本日何度目かも分からない後悔をした。

2015-04-03 00:50:29
蓮田 颯丞 @hasterMissing

一見すれば声を出したのは、ただの人だろう。少なくとも目前の女性よりは人間に近いかたちだった。 ただ、ゆらゆらと揺れる舌が、人間とは異なるものだと明確に主張している。 ただでさえパニック状態にあった少女の思考は、ここにきて完全に漂白してしまった。

2015-04-03 00:53:30
蓮田 颯丞 @hasterMissing

ぺたん、と膝から力が抜けてその場に崩れ落ちる。 ぼう、としたうろんな瞳で虚空を見ている。 気絶したわけでも壊れてしまったわけでもないが、どこか夢見心地といった風だ。

2015-04-03 00:56:12
白堀之水藤 @sirafji

「あれ、まぁ」 此方を見る者固まる者畏まる者。 認識されただなんていつ以来だろう。 10単位であっても、指が何本あれども足りぬくらいだろうに。 それにまさか同類がいるとは思わなかった。 十人十色という言葉がまさに合う、各々違った反応をするそれら。 …やばい、超楽しい。

2015-04-03 01:11:31
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