【牧野淳一郎『被曝評価と科学的方法』を読む②】

宗教学者 島薗進氏のツイートをまとめました。 牧野淳一郎氏の『被曝評価と科学的方法』に関するまとめの第2弾です。
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島薗進 @Shimazono

0【牧野淳一郎『被曝評価と科学的方法』を読む②】 iwanami.co.jp/moreinfo/02963…  「まえがき」と第1章の紹介は→ togetter.com/li/808913 以下、第2章「チェルノブイリの甲状腺がん」の紹介です。第1~第4の4点にまとめてあります。

2015-04-20 09:22:00

【牧野淳一郎『被曝評価と科学的方法』を読む①】

まとめ 【牧野淳一郎『被曝評価と科学的方法』を読む①】 宗教学者 島薗進氏のツイートをまとめました。 牧野淳一郎氏の『被曝評価と科学的方法』に関するまとめの第一弾です。 3435 pv 185 1 user 45

島薗進 @Shimazono

1【牧野淳一郎『被曝評価と科学的方法』を読む②】p39のまとめを引き、説明を加えます。第1「被曝によって発生する甲状腺がん患者の総数について、WHOのレポートでは4000人(2011年の改訂版では6000人)ということになっているが、これは、被曝量が特に多い一部の地域で」

2015-04-20 09:22:19
島薗進 @Shimazono

2【牧野淳一郎『被曝評価と科学的方法』を読む②】「(甲状腺がん患者の総数について、地域限定の他)被爆時年齢・発生時期も全体の一部だけを推定したものであり、トータルの数は10万~100万に及ぶ可能性がある。」これは前著『原発事故と科学的方法』で示したとおり。

2015-04-20 09:22:33
島薗進 @Shimazono

3【牧野…『被曝評価と科学的方法…②】しかし『原発事故と科学的方法』後に読むことができた2012年のデミチクらの論文で新たな事実が見えてきた。第2「新しいデータでは、1987年以降に生まれた子どもでも甲状腺がんの発生は1986年以前よりも増えており、その原因はまったく不明である」

2015-04-20 09:23:20
島薗進 @Shimazono

4【牧野淳一郎『被曝評価と科学的方法』を読む②】2006年の論文ではチェルノブイリ事故後に生まれた子どもでは、甲状腺がん発生が低年齢では下がっているようだったが、2012年の論文では、2000年以後も14歳以下でも10万人・年あたり0.7人程度と非常に高いままという。

2015-04-20 09:23:37
島薗進 @Shimazono

5【牧野淳一郎『被曝評価と科学的方法』を読む②】広く検査をしているために増えているという説明でも、セシウム等による被曝が続いているためという説明でも矛盾が生じる。両者が作用しているという想定はできるが推測に留まる。いくつか参考になる研究はあるが、確たる判断材料はない。

2015-04-20 09:23:53
島薗進 @Shimazono

6【牧野…『被曝評価と科学的…②】第3「被爆時0~15歳だった人の甲状腺がん発症率について、1Gy被曝すると被曝しなかった場合の8倍程度、という結果が症例対象研究によって求まっているが、これは0~15歳の平均値ではなく、年齢の高いほうに大きなウェイトがかかった推定値になっている」

2015-04-20 09:24:31
島薗進 @Shimazono

7【牧野…『被曝評価と科学的方法』を読む②】(第3続き)「被曝時に低年齢だった人の増加率は1桁程度大きい」。カーディスらの2005年の論文に低年齢層の違いの牧野氏の評価を加味したもの。この論文は高度に洗練された方法を用いているが、かといって信頼度の高い結果が出ているとは言えない。

2015-04-20 09:24:56
島薗進 @Shimazono

8【牧野淳一郎『被曝評価…』を読む②】第4「被曝と発がん率増加についての理解は現在と大きく変わらなかったのに、1990年時点、つまり、実際の小児甲状腺がんの総数の予測は、WHOレポートの数字に比べても1桁以上、今後発生する分も含めた総数の予測と比べると2桁以上、小さくなっていた」

2015-04-20 09:25:27
島薗進 @Shimazono

9【牧野淳一郎『被曝評価と科学的方法』…②】チェルノブイリの甲状腺がんについてイリーンらが1990年に予測した論文がある。この論文では、「ゴメリ地域での全住民の、生涯でも増加を「61人」としています」他方、カーディスらの2006年の論文、それに基づくWHOやIAEAのレポートでは

2015-04-20 09:26:21
島薗進 @Shimazono

10【牧野淳一郎『被曝評価と科学的方法』を読む②】「実際の発生数を1000人前後としており、さらに今後の発生数全体を数えると、ベラルーシ全体で5~20万人、ゴメリ地域でその半分として2万5000~10万人にもなります。」1990時点での予測はおそらく2~3桁の過小評価だった。

2015-04-20 09:26:40
島薗進 @Shimazono

11【牧野淳一郎『被曝評価と科学的方法』を読む②】イリーンらの1990年の論文ではゴメリでの0~7歳の甲状腺被曝量を平均0.17Svと評価していた。2006年のカーディスらの論文では0~7歳の甲状腺被曝量を平均0.61Svと評価している。15年経って被曝量の見積もりが4倍になった

2015-04-20 09:26:58
島薗進 @Shimazono

12【牧野淳一郎『被曝評価と…』を読む②】しかし甲状腺がん発生の多さは被曝量を4倍に増やしても説明できない「この差は、広島・長崎の被爆者調査(LSS)の結果から求めらえている被曝量と甲状腺がん増加の関係が…0~7際の年齢層について1桁程度以上の過小評価になっていた」ことを意味する

2015-04-20 09:27:36
島薗進 @Shimazono

13【牧野淳一郎『被曝評価と科学的方法』を読む②】iwanami.co.jp/moreinfo/02963… 過小評価のために辻褄があわなくなる「科学」の歴史。第2章「チェルノブイリの甲状腺がん」の紹介、以上。「まえがき」と第1章の紹介は→ togetter.com/li/808913 (続)

2015-04-20 09:28:27