不知火に落ち度はない　35（第十七駆逐海賊団編　END）

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

つわけで、ここからはヒゲの妖精兵頭がお送りします。 いやー、なんかさおじさん夢見てたんですよ。 ガキの頃の夢でドッジボールやってた時のやつ。 クラスでさー。ああいうの三人ぐらい超うめえやついんじゃん？ 俺の場合、としおっつーライバルがいたんよ。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

ちなみに夢では、としおとの最終決戦ステージなわけね。 クラスの人気者一位を賭けた仁義なきバトルの結末やいかにって感じだろ？ そしたら流石夢。そしてさすがとしお。 なんかドッ●弾平もビックリな魔球投げてきやがんの。 すっげー燃えつつ、竜巻作ってるやつ。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

おっしゃかかってこいや－！ ってことで受けたんだよなあ。 冷静に考えりゃあれ反則で一発アウトなはずだけどさ。 まあ、夢なんでキャッチしても全然熱くないんだけど、その後止まったと思ったボールがな。 ぐにゃーんって変形して手の中で暴れやがんの。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

こいつはやべえ溶けるボールかよって、投げ返そうとしたら、ばっちこーんって音がしてですね。 すんげえほっぺた痛くてですね。 そうして意識がはっきりしてきたら、浜風がすんげえ怒ってますのなにこれふっしぎー？ あと不知火。なんでゴミ見る目で俺見てるんだ？ #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「おはようございます司令。無駄にグースカ寝てましたか？」 「おう悪い。むっちゃ寝不足だったんでな。今起きた」 「今起きたじゃありません！！」 うっわ、怒鳴られましたよ俺。 どういうことだこれ。 あー、待て待て、これはあれか。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「浜風、すまん。イビキうるさかった？」 「ちーがーいーまーすー！！！」 むぎゅーとほっぺたひっぱられてますなう。 おいおいやめておくれ、今そこ超痛いの。 「あ、あの……おはようございます提督」 やあ、おはよう神通教官。 何？ すげえ心配そうにして。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「足の具合、いかがですか？」 「お、そいや」 動かしてみると、痛くて突っ張るって感じか。 うん、まあ風穴開いてますしね。 幸い骨は当たってねえし、歩行に問題なし、かねえ。 血出そうだけど、まあレバー食えばいいやレバー。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「不知火、この辺焼肉屋ねえ？ できりゃレバーの美味い店」 「レバーがあまり好きではありませんので遠慮します」 「だからお前は育たないのだいろいろ」 シャキッ 「オッケーそのナイフ仕舞おうぜ」 不知火はいっつもナイフ持ってンね。 こわいこわい。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「のんきにやってる場合ですか！！ 今どんな状況かわかってるんですか！」 「浜風わり、もうちょっと声押さえて」 「浜風さん、もう少し声は小さく。近所迷惑です」 「ああもう！！！！」 おお、浜風が壊れたぞ。 わしゃわしゃわしゃーって頭かきだしたぞ。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「不知火、これあの日？」 「もう片方の目もそろそろ無くされてみますか？」 「そいつは勘弁」 「セクハラは以後禁止でお願いします」 余裕ねえなあ。 カルシウム取ってるか？ なあ？ あ、はい。神通教官、ぷるぷる震えながらおててあげてどうしましたか。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「はい……提督、お体は大丈夫ですか？」 「わりかし」 「打撲が頭部ほか色々ありましたが……本当に？」 「そこに居るプチドーベルマンの治療と、あと寝てたらどうにかなったわ」 ごめんうそ。まだズキズキはしてるけど、偏頭痛と思えば平気ッス。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

まあ、あれですよ。 頭が痛いのは偏頭痛。 足が痛いのは神経痛。 身体のあちこちは、テンションあげすぎた翌日の筋肉痛。 そう考えたらだいたい動けるから。 いやほんとに。 身体は甘やかすとすぐ脆くなるからねえ。 三十路の皆さんがんばろうぜ。なっ。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「あと……この後追跡はどうしましょうか。また、マーケットに戻りますか？」 流石神通教官。お仕事はちゃんとやってくれるのですね、ありがたい。 「武器調達は済ませてるか？」 「はい。ひとまずそこに」 お、足下のこれ？ どれどれ。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

うっわこれ、マシェットじゃん。 刃の幅が超広いやつじゃん。 しかも刃渡り長ッ！ 80cmオーバーサイズのマシェットなんてどこで売ってたの？ 「板金屋さんがあって……日本マニアらしくて……」 ぼそぼそと呟かれている。なにがあった？ #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「平たく言えば、アニメが好きな板金屋の若い人が日本に憧れて作ったそうです」 「コスプレにしちゃあ気合い入りすぎじゃね？」 「それでポーズ取ってくれたら売ると言われて」 ああ、なるほど。 「このキャラです」 「不知火さん！！！」 お、珍しい大声。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

で、不知火がそのキャラの画像見せてくれたんですが。 うん。 ええ。 はい。 おもっくそBLEACHでした。 なんで、その格好させたし？ 神通に何でその格好させたし？ 外国人が見られる奴は限られてるけどさー！！！ #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「お願いですから、もう仕舞ってください……」 「いや。うん、不知火。ありがとな」 「なかなかお似合いだと思いました。何のキャラかは存じませんが」 俺達の国で多分一番売れてる漫画雑誌の連載漫画だよ、不知火。 お前ほんと娯楽少ないんだな。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「では、みんな聞いてくれ」 ぱんぱん、と手を叩いてから向き直り。 俺は指示を出す。 「心配かけたかもだが、俺は無事だ。次の作戦に移行するわけなんで、これからホテルに戻るぞ」 「追跡は、いいんですか？」 ふふふん。そうだよな。それ心配するよな。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「ほい、不知火。これをやろう」 「何でしょうか。不知火にプレゼントですか」 「おう、七つ集めたら願いが貰えるボール探せる奴」 渡したのは、ストリートビューが表示されたスマホである。 現在位置というマーカーに、俺達の走ってる道路とは違う場所が表示中。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「司令。発信器をもしや」 「おう。トドメ刺すときゃ誰でも大ぶりになるからな」 だから防御してる余裕なんかなかったんだわ。 浜風と同じ服の仕様じゃなきゃアウトだったしな。 「スカートのポッケに突っ込んでやった。スマホで使える超小型GPS発信器♥」 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「え、え。そういうの普通は気づかれないものなんですか？」 「司令はその気になれば、スリで生きていけますから」 そう褒めるな。 実際あいつは『こいつにはもう勝った』って認識してたみたいだし。 「相手が勝ったと思ったときが、つけ込み時なんだぜ？」 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「……頼もしいですね」 ほっと、一息を着く神通。 おお、なんだ。心配してたの？ 「こういう時が一番生き生きしてますから、司令は」 褒めてねーだろ不知火。 「あのですね。すごく、すごく、心配したんですけど」 おうそうな。ハゲには気をつけろよ浜風。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

そして、あいつらは今頃まんまと逃げおおせたと息を吐いてるはずだ。 特に磯風。あいつは男前なこと言ってたからな。 別に逃げる必要は無い、なんて思ってるはずだ。 ほんっと、浜風がいないとああなんだな、とはよーくわかった。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「あ、それと兵頭さん……その」 「提督」 「あ、はい！すみません提督……えと、その、お話ししなければならないことが」 深刻な表情で、ぽつ、ぽつと話し出す浜風にそっと、俺はプリペイド携帯をお見せする。 「え？」 「こういうことなんだろ？」 #不知火に落ち度はない