ア・セイレーン・シング・フォア・ハー・ウイングス#1

2015年春イベSS、はっじまるよー!
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劉度 @arther456

「普通の人間が直接聞けば、一瞬で海に引きこまれます。陸ならともかく、深海棲艦がこんな大規模魔術を使ってくるなんて……」どうやら陸軍は、こういう魔術戦には慣れているらしい。「どうするの?」『当初の予定通りです。泊地水鬼を倒して、この歌を止めるしかありません』 47

2015-05-25 23:00:32
劉度 @arther456

「分かった。それじゃあ提督の代わりに私が指揮を執るわ。妖精さん、三隈と隼鷹を助けに行って!」「やー!」「やー!」網やネットを携えた妖精さんたちが、司令室を出て行く。すると後部甲板から電話がかかった。「もしもし!?」『Hey, どうなってんだこいつは!?』 48

2015-05-25 23:03:45
劉度 @arther456

電話口から聞こえてきたのは、野太い陽気な声。「ジャンゴウ!?」『Yeah!機関長が海に飛び込もうとして、抑えてるんだけどよ!なんだこれ!?』彼はジャマイカからやってきた出稼ぎ労働者で、色々あって鎮守府で働いている。「あなたこそ歌は大丈夫なの!?」 49

2015-05-25 23:06:59
劉度 @arther456

『歌?俺のHip-Hopがどうかしたか?Noiseがさっきから入ってるけどよ』よく聞いてみると、電話口の向こうでシャカシャカと音楽が流れているのがわかった。深海棲艦の重い呪歌ではない。「……歌なら平気ですって?なら……」『Ah-Han?』ビスマルクは思案する。 50

2015-05-25 23:10:13
劉度 @arther456

「ジャンゴウ。まずそのヘッドホンは絶対に外さないで。それとあなた、この船に大きいスピーカーを積んでたでしょう?今からそれを使うわ。準備して!」『Hey, 何する気だ?』「いいから命令に従いなさい!今は私が指揮官なのよ?」『……OK, OK.わかったよ』 51

2015-05-25 23:13:27
劉度 @arther456

それからビスマルクはMP3プレーヤーを取り出し、提督の耳にイヤホンを捻じ込んだ。提督はイヤイヤと首を振っていたが、音楽が流れだすとだんだん大人しくなり、遂には不思議そうに辺りを見回し始めた。「……何で私、縛られてるの?」「やっぱり」「何がやっぱりなの!?」 52

2015-05-25 23:16:42
劉度 @arther456

「いい、提督!まずこのイヤホンは絶対に外さないこと。外したら今度こそ死ぬわよ」いきなり物騒なことを言われて、提督は息を呑む。「私は用事ができたから、指揮権はアドミラールに返すわ。前線の子たちをちゃんと指揮してあげること、いいわね?」「アッハイ」 53

2015-05-25 23:19:55
劉度 @arther456

提督が大人しくなったことを確認して、ビスマルクは司令室を出ようとする。「待って、ビスマルクさん!どこに行くの?」「甲板に上がるわ」「出撃!?だったら三隈と隼鷹も……」「その必要はないわ!」言い切ったビスマルクの背には、自身が満ちていた。「ソロライブなら、お手の物よ」 54

2015-05-25 23:23:08
劉度 @arther456

【ア・セイレーン・シング・フォア・ハー・ウイングス】#1おわり#2へ続く

2015-05-25 23:23:49