やたらと真っ赤な<守護戦士>~激震のマウンピア~ 【第五話/宵闇の鋼竜と冒険者】

ログホラTRPGの世界観を舞台に、一緒に遊んだ人たちのPCを巻き込んで、自分のPCの一日を妄想してみたりとか 第一話/http://togetter.com/li/826678 第二話/http://togetter.com/li/826708 第三話/http://togetter.com/li/826726 第四話/http://togetter.com/li/826735
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Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

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2015-05-28 19:54:26
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

圧倒的な巨大感を伴って《変異大鋼竜(ミューテーション・アーンドラス)》が俺たちの目の前に降りてくる。 本来なら滑らかな鋼の鱗で覆われているであろう体表は瘴気に爛れ、至る所から歪な形の水晶が突き出し痛々しさと刺々しさを見る者に訴える。 <132>

2015-05-23 21:02:01
baton @_baton_

伊達さん( @Dateryu )に捧ぐ! 《変異大鋼竜》ミューテーション・アーンドラス #LHTRPG #LHZpics pic.twitter.com/DuMuBGcIvz

2015-05-24 02:11:27
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Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

《鋼竜アーンドラス》はそれぞれ固有の名前を持つネームドモンスターだがこの個体にはなく、ウインドウを開くとただ「アーンドラス」とだけ表示されている。 翼は大型化しており、苦手であった飛行も克服されているものと推測される。 だが、何よりも異様だった点はそこではなかった。 <133>

2015-05-23 21:07:01
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

「なんだ……こいつ、頭が3つもありやがる…!?」 アレクセイの口から驚きの声が漏れる。 そう、この《変異大鋼竜》にはまるで《多頭竜蛇(ヒュドラ) 》のように両の肩口から別の頭が生えており、その禍々しさを一層強めていた。 ここまで来るともはや怪獣映画である。 <134>

2015-05-23 21:14:59
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

「全長はおよそ20メートルといったところか。モビルスーツと大して変わらんな」 「お前が言うと妙に説得力があるな、弩砲」 冗談を言っていられる状況でもないが、こういう時にこそ柔軟な発想は必要というものだ。 「では、各自散開してセットアップ。迎え撃つぞ諸君」 <135>

2015-05-23 21:27:34
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

《禊ぎの障壁》の雅な光。《ハートビートヒーリング》の温もりある光。《リアクティブヒール》の眩しい光。《キーンエッジ》や《アキュラシーサポート》の付与魔法による魔力の光。 後衛から飛んでくるありったけのバックアップが俺の視界を鮮やかに彩る。 「さて、まずは小手調べだ」 <136>

2015-05-23 21:37:42
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

「《アンカーハウル》ッ!」 守護戦士の十八番のタウント特技で《変異大鋼竜》の注意をこちらに引きつける。 何しろ相手は変異したレイドランク。未知の相手だからこそ怯んでは居られない。 三つ首の鋼竜に魂の叫びを放つ。 「さぁ行くぜ!こっから先は、ヒーロータイムだっ!!」 <137>

2015-05-23 21:49:28
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

「んじゃま、初太刀はもらいますかねえ」 狐狼刀刃が一の太刀・狗狛が《闇鵺・斬萬斬り》を肩に担ぎ、低い姿勢から地面を滑るように鋼竜へと斬り込む。 更に、その後ろを二の太刀・秋水さんが《嵐刀・木枯丸》を手に追従する。 「待ちに待った大物だ。残さず喰らわせて貰おう」 <138>

2015-05-23 22:47:32
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

鋼竜の左の首が狐狼刀刃の二人を捉えるが、僅かに遅い。 戦に生きる二匹の獣が、鋼の竜を屠らんと雷速を以って肉迫する。 狼の牙と狐の爪がその首筋に突き立てられ、そのまま荒々しく引き裂いた。 爛れた鱗では満足に刃を弾く事も出来ず、斬り飛ばされた左の首は無残に宙を舞う。 <139>

2015-05-23 23:00:36
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

「御見事!」 まさか二太刀目でボスクラスの首を持っていくとは。げに恐るべきは狐狼刀刃。 恐らくは[変異]の影響で相手本来の防御力もガタ落ちしているのだろう。 だが、それを差し引いても尋常ならざる太刀筋であった。 「狗狛」 「ああ。大物にしちゃ随分と柔っこいな」 <140>

2015-05-23 23:21:50
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

「次、右の首だ。いけるかね?」 「了解しました!」「承知!」 ザインの指揮が飛ぶより早く弩砲騎士とバルタザールが最前線へと躍り出る。 空中から弩砲の放つ偏差射撃に合わせて、バルタザールが鋼竜の足元から胴へと飛び移り、アクション映画よろしく首元へと駆け抜ける。 <141>

2015-05-28 20:04:01
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

「とっておきの弾頭をくれてやる…!」 「凍嵐……朽木倒し!!」 弩砲のバリスタから放たれた螺旋式対要塞徹甲弾頭が着弾。 続いてバルタザールの掌が鋼竜の首元に押し付けられ、込められた氷の魔力が弾頭の炸裂と同時に発動する。 爆風と共に、右の首も木っ端微塵に吹き飛んだ。 <142>

2015-05-28 20:17:00
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

「見事な連携でした、弩砲さん!」 「あの爆発で傷一つ負わんバルさんも大したものだ!」 爆風の中から体を捻って脱出するバルタザール。ショー・コスギも真っ青である。 それに弩砲のとっておきと言うのも相当えぐい。 変人窟はいつの間にバンカーバスターなぞ開発していたのか。 <143>

2015-05-28 20:24:30
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

『GAAAAAA!!!!!』 左右の首を失ったことで咆哮を上げ、目に見えて悶え苦しむ《変異大鋼竜》。 全身に埋め込まれた水晶が怪しく明滅する。 畳み掛けるなら今しかない。 残った空中の《変異鋼尾翼竜》を踏み台に、俺は一気に大鋼竜へと接近する。 <144>

2015-05-28 20:40:16
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

「行っけぇぇっ!俺式爆熱オンスロートッ!!」 「―――拙い!離れろ伊達くん!」 直上から中央の首めがけてハルバードを振り下ろそうとしたその瞬間だった。 狐狼刀刃とドリホリコンビで落とした筈の《大鋼竜》の左右の首。 それが、こちらに顔を向けて大きく顎を開けている。 <145>

2015-05-28 20:50:40
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

「伊達さん!?」「兄貴!」「龍くん!」「伊達!?」 すぐさま反転しようと身を捩らせたが遅かった。 左右と中央、三方向からの光波熱線が同時に放たれる。 一瞬で視界が真っ白い光に包まれ、俺の体は真っ逆さまに地上へと落ちていくのだった。 <146>

2015-05-28 21:00:14
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

「ぅ……ぐっ……!」 「まだ生きている!タンクは前線の再構築!ヒーラーは伊達くんに回復を集中!」 「もうやってますっ!」 「こんなんでくたばるんじゃないよ、伊達の字ィ…!」 「驚異的な再生能力…それも瞬間的。道理で防御が脆いわけだ…!」 <147>

2015-05-28 21:06:12
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

痛覚で塗り潰されそうな全身の神経が、少しずつではあるが和らいでいく。 それと同時に視力と思考能力も戻ってくる。 まさかあんな反則技を持っているとは。 突撃前のセットアップでありったけの支援を受けてなかったら、間違いなく神殿行きだったことだろう。 <148>

2015-05-28 21:14:42
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

うっすら眼を開けると、秋風やアレク、狗狛たちが大鋼竜の動きを食い止めているのが見える。 秋風とアレクは後衛に向かう攻撃を食い止めていたはず。 それが前に出ているということは…… 「うぐっ…!?」 慌てて身を起こそうとするが、全身の熱傷が未だにしぶとく苛んでくる。 <149>

2015-05-28 21:19:48
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

「もう少しだから、まだ動かないで」 普段とは打って変わって真剣な顔のりいりる。 地に伏した俺の身体を抱き起こしながら、ヒールをかけ続けている。 こちらの布陣を抜けてきた《変異草蹄鹿》が接近してくる。 「ッ!?」 その角を受け止めたのは、よく見知った薙刀だった。 <150>

2015-05-28 21:32:38
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

「いつまで寝とるんだいおまいさんは。そら、見せ場が無くなっちまうぞ?」 そう言いながら《変異草蹄鹿》の角を薙刀で受け流す八薙。 だが、[変異]によって爆発的な推進力を得た《変異草蹄鹿》の突進は、八薙の技量を持ってしても慣性を殺しきれず、少しずつその障壁を削っていく。 <151>

2015-05-28 21:41:07
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

「後衛への接敵を認識。タスク優先順位変更……オレが、まもる…!」 八薙と《変異草蹄鹿》の間に割りこむように盾を掲げるヴィーラント。 蹄と角による連撃を正確に捌く機械的な動きとは裏腹に、その瞳には明確な「意思」が宿っている。 <152>

2015-05-28 21:59:44
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

その隣で《変異茨刺イタチ》を斬り伏せながらザインが言い放つ。 「立ち上がるなら早くしたまえ。いつまで女の尻にしがみついている気だね?」 るせえ、ちょっとくらい役得に浸らせろ。 これから一気に大逆転が始まるから見てやがれ。 奮戦する仲間たちの姿に、俺も鼓舞される。 <153>

2015-05-28 22:14:30
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

「あとはキュアで麻痺を解いてっと…はいっ、もう大丈夫ですよー」 まるで鉛のスーツを脱ぎ捨てたかのような開放感。 気分はまさに絶好調。バネ仕掛の玩具めいて飛び起きてみせる。 「助かったぜりいりる。ありがとよ」 献身的な狐尾族の少女の頭を軽く撫で、戦場へと向き直る。 <154>

2015-05-28 22:23:00